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混迷のCOP15!COP16で採択は不可能?京都議定書延長か?

2010年04月11日 | 地球温暖化
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 COP16新議定書見送りへ
 2013年以降の地球温暖化対策を協議する、今年末の国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)では、「京都議定書」に代わる新議定書の採択を目指していたが、見送られる見通しとなった。不本意な結果に終わった昨年末のコペンハーゲン会議の反省から、議長国メキシコや欧州連合(EU)が拙速を避ける方針を固めたためだ。

 各国は4月9日からドイツのボンで始まった特別作業部会でCOP16の準備に取りかかるが、失速した交渉を前進させるため、途上国が要求する京都議定書の延長を容認する考えが欧州を中心に浮上している。

 昨年12月にコペンハーゲンで開かれたCOP15は、「ポスト京都」の枠組み決定を目指したが先進国と新興・途上国の対立で紛糾。主要28カ国がまとめた「コペンハーゲン合意」も採択できず、「留意」するにとどまった。

 EUは先月末、COP16の目標を「コペンハーゲン合意を国連交渉に結びつける具体的な決定を下すこと」と定め、新議定書の策定・採択を「射程外」に置いた。「いたずらに期待値を高めれば交渉が台無しになる恐れがある」(ヘデゴー欧州委員)ためだ。EUは「段階的な2年計画」(EU筋)で取り組み、COP16では失地回復に集中し、来年末のCOP17で新議定書を目指す戦術だ。

 京都議定書の延長
 交渉の「カンフル剤」として欧州で浮上したのが、先進国にのみ排出削減を義務付けた京都議定書の延長も、新議定書策定を条件に受け入れる選択肢だ。EUは従来、京都議定書の延長でなくあくまで新議定書を求めてきた。しかし、先月中旬の環境相会議で京都延長論を協議。英国のミリバンド・エネルギー気候変動相は最近、「条約が一つ(新議定書のみ)か二つ(新議定書と京都議定書の併存)かで交渉を脱線させたくない」と京都延長による「併存」を受け入れる姿勢を打ち出した。背景には、新議定書への一本化にこだわるEUの姿勢が途上国の反発を招いた反省がある。

 京都議定書には参加していない米国で温暖化対策法案の議会審議が難航していることから、「米議会に縛られるのは賢明ではない」(エルビラ・メキシコ環境相)との思いも関係国には強い。EUは「京都(議定書)に問題がある国は代替案を提示するか、延長にどう対応するかを示す必要がある」(ヘデゴー委員)と米国に対応を促している。(毎日新聞 2010年4月10日)

 コペンハーゲン合意
 COP15は2013年以降の京都議定書後の、温室効果ガス削減目標づくりを目指したが、合意には至らず、次のような方向性を示したに過ぎなかった。

1.産業革命以前からの地球の気温上昇を2度以内に抑えるべきだとの科学的見解を確認する。
2.地球全体と国ごとの温室効果ガス排出量が可能な限り早くピークを迎えるよう、各国は協力する。途上国で社会・経済発展と貧困解消が最優先されることも認める。
3.継続的で十分な資金、技術、能力開発を、先進国が途上国に支援する。
4.先進国は、個別または共同で、20年の温室効果ガス排出量を(数値は空欄の)別表のとおり設定する。
5.途上国は持続的な開発に向けた温暖化対策を取る。対策の内容は2年ごとに報告する。対策は各国内で監査や査定を受ける。先進国資金による対策は国際的に監査・検証を受ける。
6.途上国は、森林伐採や森林破壊による温室効果ガスの排出を減らす。
7.先進国は、費用対効果を高めつつ温暖化対策を図るため、市場の活用を含む多様な手法を追求する。
8.森林減少・劣化対策や技術開発など途上国の温暖化対策を支援するため十分な資金を途上国に提供する。300億ドルを10~12年までに提供すると確約した。また20年時点で年間1000億ドルを支援する目標を支持する。
9.ハイレベル委員会をつくり、(温暖化対策のための)財源の見積もりを行う。
10.途上国の温暖化対策を支援するため「コペンハーゲン気候基金」を設立する。
11.温暖化対策の技術開発や途上国への技術移転を強化する「技術機構」を設立する。
12.合意内容とその履行状況について16年に見直しをする。
(毎日新聞 2009年12月19日)

 日本は米国・中国の出方しだい
 京都議定書の延長案は、前回のCOP15でも出ていた。議長が京都議の単純延長を提案したが、この時は新基準を目指していたので否決された。

 仮にこの提案「だけ」が合意されてしまえば、現在、京都議定書に批准している先進国(日本、欧州連合、オーストラリア、ロシアなど。当然米国は含まれない)「だけ」が2020年までの削減義務を負ってしまう。

 もちろん、その後の交渉で他国にも削減を求める枠組みを追加することもできるだろう。しかし、日本の2020年までの義務を、他国(主に米中)の削減義務や行動がどうなるかわからないまま、固定させてしまうのは大きなリスクがある。

 今やCO2排出量、第一位・第二位になった、米国、中国の参加がないのに、温室効果ガス削減の中期目標を2020年までに1990年比25%減とするなど、政府が頑張りすぎるのは、日本経済に大きな負担を強いることになる。日本はCO2排出大国である米国と中国の行動に合わせて、方針を決めることが重要である。

 環境省によると、合意の賛同国・地域は、条約を批准した193カ国・地域のうち108カ国・地域で、世界全体の二酸化炭素排出量の8割以上を占める。しかし、4割以上の締約国が何の意思も示していない。残念ながらどの国も、地球環境より国益優先なのだ。ポスト京都議定書は、まだまだ不透明だ。


 

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東京都「キャップ&トレード」スタート!CO2「削減」努力から義務へ

2010年04月02日 | 地球温暖化
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 総量規定方式か原単位方式か?
 政府が進めている「地球温暖化対策基本法」は、2020年までに1990年比25%減とする温室効果ガス削減の中期目標を明記している。

 この中で話題になったのは「総量規定方式」か「原単位方式」かという言葉。企業などの二酸化炭素(CO2)排出量に上限を設け、その過不足分を取引できる排出量取引制度をめぐっては、環境省や外務省が、国が企業ごとの排出量を決める「総量方式」を主張していた。

 これに対し、一部産業界や労働組合の意向に沿って経済産業省は、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位方式」を求めた。排出効率を上げて上限を守ったとしても、生産量が増えれば、総排出量も増える懸念があるからだ。

 今後「総量規制方式」を基本としつつ、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位方式」も検討する方向で法律は定められていく。

 キャップ&トレード制度
 ところで4月1日東京都ではじまった「キャップ・アンド・トレード」制度では、「総量規制方式」を採用した。都内の大規模事業所を対象に2002~2007年度の任意の連続3年間の平均排出量を「基準排出量」とし、そこから削減義務率を割り引いた排出量上限(キャップ)までの削減が求められる。削減義務率は10年度開始の第1計画期間(5年間)では、事業所の分類により6%か8%。

 削減状況は都登録の28の民間機関が検証する。達成できなかった事業所は、義務分より多く削減した他の事業所などとの間で削減量の枠を売買(トレード)しなければならない。都は「20年までに東京の温室効果ガス排出量を2000年比25%削減する」との目標を掲げている。

 政府の「地球温暖化対策基本法」に先立つ、テストケースとして行われる。さすがは首都東京である。ところで、この東京都の取り組み、オフィスビルなどを対象に加えて総量規制するのは海外にも先例がなく、多くのテナントを抱える商業ビルや研究用に大量の電力を使う大学などからは、義務達成を危ぶむ声も漏れているという。

 東京都ではどんな事業所のCO2排出量が多いのだろうか?何と1位は東京大学・本郷キャンパスで8.7万トン。次が日本空港ビルで7.7万トン。以下東京ミッドタウン(6.5万トン)、サンシャインシティ(6.4万トン)、六本木ヒルズ森タワー(5.7万トン)など東京ドーム(4.87万トン)も8位に入っている。NHK(4.5万トン)は9位である。

 地球温暖化対策計画書制度
 都は新制度に先立ち、2002年に「地球温暖化対策計画書制度」を導入した。これは、大規模事業所に排出削減計画の策定と取り組み状況の報告を義務付けるものだったが、事業者の自主性に委ねられていたため、十分には効果が上がらなかった。

 排出削減の義務化にかじを切るにあたっては、経済界の説得作業が続いた。2007年7月~2008年1月にかけ、業界団体や消費者団体、環境NGOを集めた会合を計3回開催。日本経団連などは「キャップ・アンド・トレードの導入はエネルギー効率が良い企業の成長を抑制する」と反対姿勢を示した。都側は、業種や事業所の特性に配慮していると反論し、繰り返し理解を求めた。

 転機は2008年5月。東京商工会議所が賛成の立場に転じ、石原慎太郎知事に「個々の企業のCO2削減に向けて積極的に取り組む所存」と前向きな意見書を提出した。翌月、都議会は新制度を含む環境確保条例改正を全会一致で可決した。

 石原知事は「温暖化防止は人類の存亡にかかわる課題。直ちに実効性のある取り組みを進めなければ間に合わない」と、国の取り組み強化も求めている。

 東京都と国のダブルスタンダード?
 排出量取引をめぐって、政府は自公政権だった2008年10月から自主参加型の制度で試行している。具体的には、東京都と同じように総量に上限を設ける「総量方式」や、鉄1トンなど一定量の製品の生産で排出されるCO2を指標とする「原単位方式」など選択式になっている。

 しかし、2008年度に目標を掲げて参加したのは75企業・団体で、実際の取引は1件、CO2にして1トンだった。環境省の専門委員会は今年2月、「この試行では将来の貢献は限定的にならざるを得ない」と酷評した。

 温室効果ガス排出量の「2020年までに1990年比25%減」を掲げる現政府は3月、法整備をすることを盛り込んだ地球温暖化対策基本法案を閣議決定した。排出量取引は目標達成に有効とされるが、方式をめぐって閣内が対立。法案は総量を基本としつつ、原単位も盛り込んだ「玉虫色」に落ち着いた。

 一方で、東京都に続き、埼玉県は来年4月から、都の制度に準じた制度を始めるなど、自治体の取り組みは加速している。

 東京商工会議所は「経済産業省や環境省から温暖化対策に関連する計画がバラバラに出ている。事業者はどの制度に基づいて計画を立てればいいのか分からない状態で、都と国の目標期間や目標設定方法が異なると、現場はさらに混乱する」と訴える。

 大学「研究に影響も」・ビル「省エネで当面様子見」
 JR東京駅前にそびえる新丸の内ビルディング(地下4階、地上38階)。約150店舗が入るこのインテリジェントビルは、使用電力を青森県六ケ所村で作られた風力などの再生可能エネルギーで賄い始めた。年間のCO2排出量は、化石燃料を使う場合に比べ3分の2(約2万トン)も削減できる。所有する三菱地所は「環境負荷低減はテナントにとっても経費削減になる」と話す。

 ただし、同社は都内に約30棟の規制対象ビルを所有するが、他のビルは当面、省エネなどで対応する。テナントに終日取引する金融機関などが入ると、コンピューターシステムなどの稼働で消費電力は増え、天候次第で空調の稼働状況も変わる。「減らしたくても減らせないのが実態」と担当者は言う。最終的には排出量取引に頼る可能性もある。

 事業系で最もCO2排出量の多い本郷キャンパス(文京区)を抱える東京大は、2008年度までに全キャンパスの蛍光灯20万本を消費電力を約半分に抑えられるインバーター制御に換えるなどの対策を実施した。磯部雅彦副学長は「今後5年間で平均8%の削減は厳しい。大学は研究、教育活動の拡大という社会的使命を担っており、目標達成のために研究などを控えるのは本末転倒だ」と頭を抱える。(毎日新聞 2010年4月1日)

 

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地球温暖化!南極で巨大氷山衝突・分離 影響は未知数

2010年03月24日 | 地球温暖化
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 巨大氷山2つが衝突
 地球温暖化のためか、南極の巨大な氷床が分離し、2つの巨大氷山となって大海を漂い始めた。大きさは埼玉県ぐらいのものと千葉県の半分ぐらいのものだという。

 氷山の一角という言葉がある通り、見えている部分でそのくらいであるから、見えない部分は10倍ある。さしずめ関東平野ぐらいだろうか?そんな巨大の氷が環境にどんな影響を与えるか専門家は様々な警告を発している。

 南極の巨大氷山が半島状の氷河をもぎ取り、新たな巨大氷山をつくった様子を、米航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星アクアが撮影した。氷山の面積を日本に当てはめると、埼玉県が房総半島とぶつかり、千葉県の半分がもぎ取られたのと同じくらいになる。新たな氷山は、重量が7千億~8千億トンで、豪州の方向にゆっくり動き始めた。

 埼玉県ほどの氷山B-09Bは、1987年に南極大陸から離れ、周辺を漂っていた。その後、2月7日にメルツ氷河に接近、根元にひびをつくった。そして、ひびが広がって氷河がちぎれ、長さ78キロ、幅39キロの氷山になった。

 メルツ氷河はペンギンの繁殖地。ペンギンを乗せたまま漂流したとみられ、専門家は生態系への影響が出るとみている。(asahi.com 2010年3月19日)

 そもそも氷山とは何か?
 氷山が見られる海域は限られており、南半球では南氷洋、北半球ではグリーンランド東岸とその周辺の島々から流出したものが北大西洋高緯度に広がる。北太平洋やベーリング海などでは氷山は見られない。

 南極地域と北極地域では氷山の成因が異なる。南氷洋では、南極大陸から押し出された棚氷により形成されるため、上面の平らな台状を呈し、巨大なものが多い。北大西洋では氷河が海に流れ込んでできるので、とがった山型の形状のものが多い。

 氷山の形成に関する説明は、1760年にロシア人のミハイル・ロモノーソフによって初めて発表された。

 20世紀になると氷山の研究や監視のため幾つかの機関が設立された。タイタニックの事件を教訓にして1914年に設立されたInternational Ice Patrolは、北大西洋の氷山を監視している。

 北大西洋に存在する氷山の平均的な一生は、およそ3,000年前に雪として降り、万年雪となって堆積して50年後には氷河となり、数千年かけて移動し、最後に氷河から分離して氷山として海に浮かぶことになる。同海域の氷山は、氷山になってから平均で3年経過したものである。

 海洋循環への影響 
 上の図はベルトコンベアのように地球規模で流れる、海洋大循環の図である。南極大陸沖合の冷たい深海流もこの循環に組み込まれており、栄養豊富な海洋深層水を表層まで押し上げて世界中に運んでいる。

 オーストラリアにあるタスマニア大学の外郭団体「南極気候学・生態システム学共同研究センター(ACECRC)」の研究者は、問題になっている2つの巨大な氷山について次のように述べた。「流れ着いた先で海洋循環や海氷・深層水の形成に影響を与える危険がある」。

 衝突現場のメルツ氷河は南極大陸の東端付近に位置し、傍らを冷たく塩分濃度の高い深層海流が通っている。巨大な氷山の影響で海流の動力源である高密度の海水の形成が減速すれば、深層海流に変化が生じるかもしれない。深く沈み込んだ高密度の海水は深海生物に酸素を供給する役割も果たすため、一部の海域に酸欠の“不毛地帯”ができるのではないかと懸念する科学者もいる。(National Geographic News March 2, 2010)

  海洋微生物やペンギンへの影響
 衝突によって生まれた氷山の南極海漂流について、NASAのゴダード宇宙飛行センターで海氷研究を行っているクレア・パーキンソン氏は次のように話している。「海洋循環が今回の氷山のような漂流物によって阻まれると、その海域の全生物も影響を免れ得ない」。

 同氏は海洋の変化がエサとなる微生物の減少につながることもあると述べ、海洋生態系の食物連鎖全体に予測不能な影響を及ぼしかねないと指摘している。画像のコウテイペンギンも例外ではない。ドキュメンタリー映画『皇帝ペンギン』で描かれたコウテイペンギンたちも、この海域に生息しているのだ。

 例えば、北方向へ広がった海氷が開放水域を覆うと、植物プランクトンの光合成に必要な太陽光が遮断され、食物連鎖の上位にまで悪影響をもたらすことになるという。

 また、今回の巨大な氷山が障害物となる可能性もある。「海洋を移動中にペンギンの通り道を突然ふさいでしまうこともあり得る」と同氏は話している。(National Geographic News March 2, 2010) 

 

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まさか?減速する地球温暖化 成層圏の水蒸気減少が影響?

2010年02月16日 | 地球温暖化

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 地球温暖化がストップ?
 今年の冬は、日本の各地に大雪をもたらした。あまり雪の降らない湘南でも、数回降雪している。その原因は、たびたび上空に流れ込んでくる寒気にある。地球温暖化はどうしたのだろう?そう思うのは私だけではないであろう。その予兆は昨年からあった。

 それは太陽黒点である。黒点がほとんど出現しない時期が1年ほど続いたあと、昨年の2009年9月28日にようやく出現、それから増加の傾向にあるものの、まだまだ少なく太陽活動は全体的に静穏期にある。本格的な増加は夏以降だと見られている。このような太陽活動の少なさは、これまでの約100年間に見られなかったものだ。

 また、空気中に含まれるエアロゾルの影響も見逃せない。1991年のピナトゥボ山噴火は、エアロゾル濃度の世界的な増加をもたらし、気温を低下させた。恐竜の滅亡も、隕石の衝突によるエアロゾルの増加が関係しているとされる。

 このように、地球温暖化は温室効果ガスとして、二酸化炭素ばかりが注目されているが、太陽活動などや他の要因も多く関係している。


 
 温室効果ガスの主役は?
 そもそも温室効果ガスとは何だろうか?温室効果ガスは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより温室効果をもたらす気体の総称である。

 対流圏オゾン、二酸化炭素、メタンなどが該当する。京都議定書における排出量削減対象となっていて、環境省において年間排出量などが把握されている物質としては、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)(一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類がある。

これらの温室効果は二酸化炭素を1としたとき、メタンは21倍、一酸化二窒素で310倍にもなる。六フッ化硫黄では23,900倍もある。もちろん圧倒的に二酸化炭素の濃度の方が高いのは確かだが、二酸化炭素よりもっと濃度が高く、温室効果の高い気体がある。それは何だろう?

 正解は水蒸気。これは二酸化炭素より多量に空気中に存在し、最大の温室効果をもたらす。現在の大気の温室効果は約6割が水蒸気、約3割が二酸化炭素によるものだそうだ。つまり、もし大気中の水蒸気量が変化したら、地球温暖化に大きな影響が出ることになる。

 しかし、まさか空気中の水蒸気はそんなに変化しないだろう...と思われていた。

 成層圏の水蒸気が10%減少
 今世紀に入って地球の気温上昇が鈍り、横ばい傾向になっているのは、上空の成層圏にある水蒸気の減少が関係しているとの分析を米海洋大気局(NOAA)のスーザン・ソロモン博士らのグループがまとめた。米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2007年報告書は地球温暖化により、今世紀末に気温は20世紀末に比べ1.1~6.4度上昇すると予測している。しかし、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)は増え続けているのに気温上昇が横ばいなことから、一部の専門家は「地球温暖化は止まった」とIPCCの分析を疑問視している。

 成層圏は地表に近い対流圏の上にある。水蒸気の量などは衛星観測により、広範囲のデータ分析が近年可能になった。水蒸気が減った理由は不明だが、気温の変化の仕組みを解明する手がかりになる可能性がある。

 研究グループによると、成層圏下部の水蒸気濃度は2000年ごろを境に、10%程度減っていた。温室効果ガスなどによる気温上昇の効果を25%程度抑え、本来なら気温が0.14度上がるところ、0.10度にとどめたと分析した。1980~1990年代で気温上昇が大きかったのも、水蒸気量の多さと関係していた可能性があるという。(asahi.com 2010年1月30日)

 「二酸化炭素=地球温暖化」という短絡的な図式は、どうも「?」が点滅してきたようだ。

 

参考HP Wikipedia「温室効果ガス」「温室効果」 

地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む(DOJIN選書20)
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ローマ帝国滅亡に新説!1500年前、地球に巨大隕石衝突か?

2010年02月11日 | 地球温暖化
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 ローマ帝国滅亡に新説
 現在、地球では温暖化が心配されているが、今から約1500年前、西暦500年ごろの欧州は寒冷化が問題であった。この時期の欧州はローマ帝国の末期に当たる。ローマ帝国はこの寒冷気候のために、植民地からの食料確保が困難となった。また、西暦300年~700年にかけて、ゲルマン民族の大移動があり、急速に衰退していく。

 この寒冷化の原因が、オーストラリアのカーペンタリア湾に落下した巨大隕石ではないかという説を、海洋地球物理学者ダラス・アボット氏が語っている。「衝突によって吹き上げられた物質が大気上層部を覆い、冷却化が始まった。オーストラリアでは先住民アボリジニが2つの衝突の目撃情報を残している」という。  

 オーストラリア・カーペンタリア湾
 約1500年前、巨大な小惑星か彗星の破片が地球上空で分裂し、オーストラリア沖に落下した可能性があるという。現地で衝突クレーターとみられる痕跡が見つかった。

 ラモント地球研究所(LDEO)の海洋地球物理学者ダラス・アボット氏がオーストラリア北部カーペンタリア湾を衛星から測定したところ、海面の水位にわずかな変化があることがわかった。海底に衝突クレーターがある証拠だという。

 衛星データによるとクレーターは2つあり、それぞれの直径は18キロと12キロと推定される。アボット氏は以前から、この湾沿いにある複数のV字型砂丘は衝突で発生した津波によって形成されたと主張していた。

「これらの砂丘は衝突地点を指し示す矢のような形をしている」とアボット氏が言うとおり、砂丘は湾内の1点に向けて収束しており、その地点は2カ所の海面低下が確認された位置と一致している。

 同氏は次のように説明する。「西暦536~545年に地球の気候が冷却化して作物の収穫に影響を与えた。この冷却化と大規模な衝突を結び付ける手掛かりは複数あるが、今回の研究はその中で最新の成果となる」。

 西暦536~545年地球寒冷期
 その説によると、衝突によって吹き上げられた物質が大気上層部を覆い、冷却化が始まったという。時期はアジアとヨーロッパの樹木の年輪データから特定された。「当時、欧州ではローマ帝国が崩壊しつつあり、オーストラリアでは先住民アボリジニが2つの衝突の目撃情報を残している」とアボット氏は語る。

 海底に2つのクレーターを残した天体は、元は1つだったが地球接近中に分裂したというのがアボット氏の考えだ。柔らかな堆積地に直径10キロ以上のクレーターを刻んだとすると、分裂前の天体の直径は約600メートルだったと推定される。

 この地域で採取したコアサンプルも、そのような衝突の可能性を裏付けているという。以前の調査では、サンプルに磁気を帯びた滑らかな小球体が含まれているのが見つかっていた。天体が衝突して爆発したときに溶けた物質が、空中に吹き上げられたものだと考えられる。

 また、2004年に「Astronomy and Geophysics」誌に掲載されたある論文は、西暦500年頃の地球冷却化の原因は衝突によって発生した“ちり”であると述べており、衝突の規模も今回のアボット氏の計算結果とほぼ一致していた。

 アボリジニの民話
 さらに衝突の目撃者もいたようだ。調査チームは論文発表前に詳細を明かすのを控えているが、アボリジニの美術様式である岩壁画(ロックアート)にそれらしき記録が残っているとみられているのだ。

 シドニーにあるマッコーリー大学の博士課程大学院生デュアン・ハマチャー氏は、岩絵の調査には関与していないが、アボリジニの民話を分析すれば隕石クレーターの場所を特定できるかもしれないと提案している。

「オーストラリア各地のアボリジニ・ドリーミング(Aboriginal Dreaming)と呼ばれる宗教的民話には、炎のような星が空から降ってきて地球に衝突し、死や破壊を引き起こす話がたくさんある。民話の描写から考えると、単なる作り話ではなく目撃記録だったのではないか」とハマチャー氏は自身のブログで述べている。

 まだ論文発表前だが、ハマチャー氏は一連のアボリジニの民話とグーグル・アースの画像から、オーストラリア、ノーザンテリトリーのパーム・バレーにある直径280メートルの衝突クレーターを発見したという。

 だが、前述のアボット氏の結論には懐疑的な専門家もいる。アメリカ、ニューメキシコ州アルバカーキにあるサンディア国立研究所(SNL)の物理学者マーク・ボスロー氏は、カーペンタリア湾に2つの別々のクレーターがある点について指摘する。

「1つの大きな衝突体が地球に接近する最後の段階で分裂したとすれば、破片同士は衝突時も非常に接近していたはずで、本来なら1つの物体のような痕跡が残る」とボスロー氏は述べている。

 アボット氏の研究は2009年12月にサンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理学連合の秋季集会で発表された。 (出典:2010年2月4日 ナショナルジオグラフィック) 

 

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