保護される絶滅危惧種・保護されない絶滅危惧種
絶滅危惧種は私たちの地球環境の「今」を知る上で大切な指標である。コウノトリ・トキなどのように野生種を増やそうとしている絶滅危惧種もいるが、人類の勝手な都合により、確実に減少、絶滅する動物もいる。
岐阜市の岐阜高校自然科学部生物班は、同校で保護して生育させた絶滅危惧種のカスミサンショウウオを市内の生息地に放流した。同校生徒が2007年から卵や幼生を保護し、各務原市の県世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」と協力して育ててきた。
この3年間で約2600匹の放流を終え、今年はさらに同校が1400匹、「アクア・トト」が400匹を放流した。ひとまず危機的な状況は脱したという。(2010年6月3日 読売新聞)
一方、「ヨウスコウカワイルカ」は中国の揚子江に住むイルカであるが、最近の中国の発展とともに汚染が進み、数が激減。絶滅が確実となった。日本でも米軍の辺野古移転により、確実に減少が予想されているのが、天然記念物「ジュゴン」である。最近の絶滅危惧種の話題を追ってみた。
絶滅危惧種の「クロツラヘラサギ」飛来
世界的に千羽程度しか生息していないとされるクロツラヘラサギが5日、香川県・小豆島の土庄町肥土山の水田地帯で確認された。国内では九州などで越冬するが、四国で観察されるのは珍しいという。
クロツラヘラサギは東南アジアにのみ生息するトキ科の鳥で、環境省レッドデータブックでは絶滅危惧IA類に指定されている。全長は約75センチで、黒色で細長いしゃもじ形のくちばが特徴。
発見されたには1羽で雄か雌かは不明。クロツラヘラサギは水田から水田に飛び移っては水中にくちばしを入れてエサをついばんでいる。
クロツラヘラサギはまれに越冬地を離れないことがあるとされ、小豆島自然観察指導員の山本英樹さん(46)は「夏まで見られるかもしれない。珍しいケースなので静かに観察していたい」と話していた。(2010.6.6 産経ニュース)
辺野古「ジュゴン」の希少種指定を要請
沖縄県の米軍普天間飛行場の移設予定地の辺野古周辺海域などに生息し、国内での絶滅が強く懸念されているジュゴンを、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種とするよう求める要請書と、賛同する約3万人分の署名を、環境保護団体「ジュゴン保護キャンペーンセンター」が28日、環境省と外務省に提出した。
国内希少野生動植物種は捕獲が原則禁止で、政府が必要に応じて保護区の設定などをすることになっている。
ジュゴンは国の天然記念物で、国内では沖縄県周辺の海にすむ。個体数は十数頭以下との推定もあり、辺野古への移設で生息に大きな影響が出ると指摘されている。
提出後、同センターの蜷川義章さんは「辺野古の基地建設でジュゴンの餌の海草の藻場が荒らされる」と移設を強く批判した。(2010/05/28 共同通信)
希少野生動植物種とは、日本の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づき指定される絶滅の危機にある野生生物である。
哺乳類では、イリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ、ダイトウオオコウモリ、アマミノクロウサギ、オガサワラオオコウモリ の5種がいる。
確実に絶滅する「ヨウスコウカワイルカ」
2006年12月13日、baiji.org Foundation により、ヨウスコウカワイルカはほぼ絶滅していると発表された。同年11月から12月にかけて、長江流域ののべ 3,500km に渡る大規模な調査が行なわれたが、ヨウスコウカワイルカは1頭も発見することができなかった。
人類が引き起こしたクジラ類の絶滅としては最初のものであり、15世紀以降の哺乳類における科全体の絶滅としては4例目で、大型脊椎動物の絶滅としてはここ50年間で唯一の事例であると考えられている。 2007年9月12日にはIUCNも絶滅した可能性があると発表した。
2007年8月19日、ヨウスコウカワイルカと思われる動物が撮影されたことにより、再調査が計画されている。しかし、種の維持には最低でも50頭程度が必要と言われており、ヨウスコウカワイルカが危機的状況にあることには変わりがない。
なお、2009年9月には東洞庭湖保護区で江豚(スナメリ)が約132頭確認されている。スナメリは主に海水域に生息するが、淡水である長江に生息する個体群も存在し、中国では江豚と呼ばれている。
ヨウスコウカワイルカに比べ、体型は小さく、吻および背びれがほとんどない。確認された約132頭のイルカはスナメリ属の小型イルカであり、ヨウスコウカワイルカ (L. vexillifer) ではない。長江に生息するスナメリもヨウスコウカワイルカと同様に絶滅が危惧されている。(Wikipedia)
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