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第20回ノーベル生理・医学賞 クローグ「骨格筋ポンプの発見」

2010年02月02日 | ノーベル賞

 足は第2の心臓?
 よく「足は第2の心臓」と言われる。これはどういう意味だろうか?

 人間の血管を、動脈と静脈に分けてみよう。心臓(ポンプ)の働きで、動脈を通してきれいな血液が全身(筋肉や内臓など)に送られる(動脈血)。各内臓などで仕事をした血液は、静脈を通して心臓に帰っていく(静脈血)。

 動脈は文字通り「動く脈」。手首のところで脈拍数を計るのは、動脈を触っている。動脈血は、心臓の働き(力)によって運ばれている。

 静脈は「静かな脈」。静脈は心臓の働き(力)の影響をほとんど受けない。静脈血は、周囲の筋肉の収縮などによって血液を運ぶ。
 人間が立っているとき、血液は重力の影響で脚の方にたまりやすくなる。そこで、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)などが静脈を圧迫して、血液を上へ押し上げている。このような働きを「骨格筋ポンプ」という。この、ふくらはぎのポンプ作用を、心臓の働きになぞらえて「足は第2の心臓」というのである。

 足がむくむ理由
 よく「足がむくむ」という人がいる。あれはどうしてむくむのだろうか?

 足がむくむのは足の筋肉を使わないから。例えば、厚底靴やハイヒールなどをはくと、足首の関節が固定されてしまって十分に筋肉が働かずに、足のむくみを作ってしまう。たとえ健康者でも、夕方になると足がむくんでしまう。足がむくまないようにするためには、歩いたり、足首を動かしたり、足の筋肉を適当に使えばよい。
 
 人間は普段立ったり座ったりしているので、血液は重力の影響を受け、足のほうへ溜まりやすくなる。そこで、歩いたり、運動したりすることで、足の裏や足首・ふくらはぎなど、下肢周辺の筋肉の収縮が起こり、血液を上へ押し上げている。この、心臓のような働きを「骨格筋ポンプ」と呼び、足が「第2の心臓」と呼ばれる理由である。

 1920年、デンマークの生物学者アウグスト・クローグは、こういった足の骨格筋に、細動脈や毛細血管を意図的に開閉する事の出来る制御機能があることを発見した。これにより、骨格筋にポンプのはたらきがあることがわかった。アウグスト・クローグはこの業績により、1920年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。受賞理由は「毛細血管運動に関する調整機構の発見」である。

 アウグスト・クローグとは?
 アウグスト・クローグ(1874年~1949年)はルーマニア人の母親を持つデンマークの生物学者。1916年から1946年までコペンハーゲン大学の動物学の教授を務めた。生理学の様々な分野で基礎的な発見を行った。

 1920年、クローグは骨格筋における毛細血管の制御機構を発見してノーベル生理学・医学賞を受賞した。彼は細動脈や毛細血管の開閉による血液循環の制御に関して初めて記述した。細動脈や毛細血管を意図的に開閉する事の出来る制御機能を発見した。それによって血液循環の機能が 飛躍的にアップが図れる事が判明した。

 クローグはまた比較動物学の草分けである。1915年にはカエルの皮膚呼吸と肺呼吸に関するRespiratory Exchange of Animalsという論文を書いた。後に水生生物のホメオスタシスの研究に取り組み、1939年にOsmotic Regulation、1941年にComparative Physiology of Respiratory Mechanismsという著書を出版した。さらにクローグは200を超える論文を、国際誌に寄稿した。また彼はスパイロメーターやメタボリック値を計測する装置など様々な計測機器を考案した。

 クローグは、1922年にトロントでフレデリック・バンティングとチャールズ・ベストがインスリンを発見するとそれをすぐにデンマークに導入した。またハーゲドルンとともに豚の膵臓ホルモンのエタノール抽出によりインスリンを製造する方法を考案し、デンマーク国内で製造を始めた。

クローグの仕事の多くは妻で、彼女自身著名な科学者であるマリー・クローグと共同で行われた。

 1910年、クローグはコペンハーゲン大学に動物生理学に関する最初の研究所を立ち上げた。これはコペンハーゲンの中心部近くに位置する小さな建物で、1928年にはロックフェラー財団の支援により新しい建物ができた。この建物では医学生理学、生物物理学の研究や、運動学の理論の研究も行われている。今日ではこれらの研究は、1970年に建てられたアウグスト・クローグ研究所で行われている。(出典:Wikipedia) 

 

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