ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

高橋大輔アイスダンス転向

2019-09-28 22:15:00 | ノンジャンル
自分の願望が見せた幻かと思ったらホントのニュースでした第二弾(2年ぶり)。

今頃になってチンタラ氷艶の感想書いている間に衝撃の新SP「Phenix」からのこの展開。
ジェットコースターとか言っている場合ではない。

確かにね、妄想した事は何度かありましたよ。大ちゃんアイスダンスに挑戦とかやらんかなーなんて。いやでもまさかホントにやるとは。

確かに、「男子シングルの高橋大輔」が見られなくなるのは寂しい気もします。
あの衝撃的な「Phenix」も、個人的に超好みな「Pale Green Ghosts」もあと2回しか(試合では)見られないなんて勿体無いと思います。

でもそもそも、この2シーズンの現役復帰自体、もともとあり得ないと思ってたことですもんね。それを見せて貰えただけでも、既に奇跡のようなものでした。

その上で、今度はアイスダンスという新しい表現に挑む高橋大輔を見せて貰えると思うと、楽しみな気持ちの方が大きいです。
というか、過去に見て来たアイスダンスのプログラムをアレコレ思い出して早くも妄想してしまう…バンクーバーの時のデイビス&ホワイトのインド舞踊みたいなのとかやってくれないかな♪

元々大ちゃんの中に、潜在的にずっとアイスダンスへの憧れはあったと思うんですよね。
でも相手のいることだから、やりたいからってすぐにやれるようなことではない。
それが今回、オリンピックに行った実績も持ってる村元哉中ちゃんから一緒にやりませんかと言われた。
私ならこれ、神様からのお告げだと思うと思います。大ちゃんもそう思ったんじゃないかな。
そして彼は、チャンスの女神の前髪を掴んだんじゃないでしょうか。

以上、ひとまず今の自分の気持ちの記録として。

氷艶ー月光りのごとくー

2019-09-28 21:35:00 | ノンジャンル
※既にTV放映も終わっていますので、遠慮なくネタバレしています。ご注意下さい。

光る君がセリフ付きだったとか歌が上手かったとかいやいややっぱりスケートがとか言いたい事は山ほどありますが、そこは私が語らずとも既にたくさんの方が代弁してくれてますのでひとまず置いておいて。

脚本について、実際に見終わってまず思ったのは、

思ったより原作忠実だったな☆

…ってことでした。

***

基本的に「源氏物語」って、原作忠実に他のメディアで展開することができない話だと思います。

紫式部ってプロの作家でもなんでもないですしね。「紫の上のモデルは紫式部自身」という説を信じるならば、寧ろ日本史上初の夢女子による日本最古のドリーム小説だった訳で。お話としての起承転結がわかりにくいというか、ないんじゃないかと個人的には思ってます。

様々な女性と華麗な恋絵巻を演じた光源氏が結局どうなったかって?
…いや、特にどうもなってないよね、と思うのです。なんかいつの間にか出世して位人臣を極めていますが、本人がガツガツ出世に向かって邁進しているような描写も特にないのでそこが到達点という訳でもなさそうだし。そして源氏がいつどうやって死んだのかもよくわからないまま、次の世代のお話へと続き、物語としてケリがついたから終わった、ではなく、「書くのをやめた」みたいな終わり方してませんか。
まあ、紫式部プロの作家でもなんでもないので、「お話をちゃんと終わらす」義理も何もないんでしょう。

しかし、現代の作家たちはそうも行きません。
オチのない話に、どうにかしてオチを付けなければなりません。故に、「源氏物語」を原作にするなら、多少の思い切ったアレンジは必須だと思われます。

***

そして出てくる事前情報。
海賊の女首領はわからなくもない。せっかく宝塚の元男役トップスターに出て貰うんだから、男装の麗人やって欲しいですよね。原作の明石の君のキャラを立てようとしてちょっと盛り過ぎたんだろうとそれはともかく。
我らがデモンナイト波岡一喜の役名が「長道」って誰やねん(原作にそんな人多分いない)。
ビジュアル見ると悪役だし。いや、知ってたけど(特撮以外で見る波岡氏は大体悪役)。

さらにはショートトラック出身の元PIW松橋さんも参戦。これ絶対アクションシーンやるよね(デモンナイトがいる時点でどう考えても戦う気満々ですが)。

正直、一部の登場人物の名前くらいにしか原型留めてないんじゃないかと思ってました。
そして開幕。

***

「あの方は、月でございました」で始まり、「あの方は、月でございました」で終わる。
オチのない原作とは対照的に、オチから逆算してきれいに物語としてまとまっていましたね。
同じく平安舞台で「物語の祖」と呼ばれる「竹取物語」(こっちは起承転結がしっかりしている)から一部取ってきているのかも知れません。
月からやって来たかぐや姫が竹の中から生まれ、月に帰って行く物語。
(ただし帰る方法は「星の王子さま」方式を採用)

複雑過ぎる人間関係も長過ぎる物語も整理。

○源氏と朱雀君を対比させる構図にするため、原作ではライバル兼友達みたいな立ち位置の頭中将を惟光(原作に出てくる源氏の腹心)と合体させて2号ライダーのポジションに。

○弘徽殿の女御を悪の女王的ボスキャラに。悪の幹部・長道を登場させてわかりやすく話を回して貰う。

○桐壺の更衣が弘徽殿の女御にいじめられて早世する
 ↓
 桐壺の更衣が弘徽殿の女御に呪殺される
※六条御息所が生霊になって夕顔・葵の上を取り殺す下りがあるので、原作的にもオカルトは有り。イメージが被る六条・夕顔・葵の上は割愛。その他、空蝉とか花散里とか色々いるけどばっさり割愛。末摘花とかで遊んでる暇は元からない。

○朱雀君と朧月夜を取り合って立場がまずくなったので須磨・明石で自主的に謹慎。明石の君と出会う。
 ↓
 朱雀君と紫の上を取り合って瀬戸内のどこかへ流される(物理的に)。松浦・咲風と出会う。

悪役側の配置が見事に特撮の悪の組織っぽくてわかりやすいですね。
前回の氷艶で、緊迫したシーンでも全く緊張感のなかったニニギノミコトは今回着ぐるみ怪人のポジションに。緊迫したシーンでヘラヘラ笑っていても、なんかそういう狂気じみた演技に見える上手い配役だと思いました。
他のキャラクターと感情が交わる場面もないので、前回みたいに、「木花之開耶姫にひと目惚れした感じが全くしない(それが話のキモなのに)」とかそんな心配もありません(そもそもそうまでしてこの人を出演させなければならないどんな事情があるのかが謎ですが)。

***

個人的に一番びっくりしたのは、藤壺が源氏との間に息子(つまり不義の子)を設けて、そして不義の子であるにも関わらず、その子が次の帝になる下り。
完全に忘れてたけど、こういうトンデモな展開に限って原作そのままだったりします。。。
その後朱雀帝即位によって弘徽殿の女御が権力を握り、身の危険を感じた藤壺が出家して寺に篭るのも割と原作通りでしたね。

「月」の光源氏と「太陽」の朱雀君。
この二人の対比が物語の中心ではありますが、その背後には二人の母の対比も隠れているように見えました。

息子を愛しているというより、息子に執着する事で自分の欲求を満たそうとしているような弘徽殿の女御。息子が一人前の大人になり、帝として即位しても尚息子を自分の思い通りに操ろうとします。
息子がこの母の支配から逃れるためには、母を手にかけるしかなかったのでしょう。

一方藤壺は出家して政治の世界とは距離を置きます。まだ幼い我が子を一人で送り出す姿に、「子離れ」という言葉が頭に浮かびました。
親が思い切って子供の手を離さなければ、子供は一人前にはなれません。
子供が可愛い、側にいたいと思う気持ちは子への思いやりなのか、それとも親のエゴなのか。考えさせられる場面でした。

***

原作と一番違うのは、貴族だけでなく「庶民」の存在が描かれている所だなと思っていたら、演出の宮本亜門さん自身から、彼のたっての希望で入れた要素だという発言がありましたね。
これをやって良いなら引き受ける、というくらいだから相当な思い入れです。

紫式部に限らず、平安貴族にとって「世界」とは即ち京の都の貴族社会のこと。その外に生きる一般庶民など、存在自体を認識してないくらいのアウトオブ眼中っぷりです。

でもいくら「源氏物語」が彼らの存在を無視していても、現実に彼らは生きていた。

そこで松浦です。
源氏が流されて出会った相手が、貴族社会の一員である明石入道から海賊・松浦へ変更。
平安時代中期には、瀬戸内の海賊による反乱である藤原純友の乱が起きているので、海賊が都に乗り込んでくる展開もあながち荒唐無稽ではありません。

ちなみにこの時、純友追討軍の副官をやってたのが義経様のご先祖様だったりします(清和源氏祖・源経基)。
源氏や平家といった武家集団が力を持ちはじめ、経基の孫で清和源氏三代目の頼光になると大江山の山賊集団を討伐して鬼(酒呑童子)退治の伝説になります。
この時頼光に従った「四天王」の一人渡辺綱は「羅生門の鬼」で有名な人ですが、この人は嵯峨源氏の出身(因みに嵯峨源氏の祖である源融は光源氏のモデルとも言われている…らしい)。
そんな渡辺綱の子孫は「渡辺党」と呼ばれ、大阪湾を拠点に瀬戸内の水軍を束ねています。更には肥前松浦地方で組織された「松浦(まつら)党」と呼ばれる水軍勢力も、渡辺綱が祖だと言われています。

はい、だいぶ遠回りしましたが松浦様の名前の元ネタらしきものもここで出てきました。

平安時代は決して貴族だけの時代ではなかった。
平安貴族の物語である「源氏物語」に、紫式部が書かなかった、しかし当時確かに生きていた「庶民」を登場させる。
源氏の登場シーンで、最初から市井の人々と気軽に交わる源氏の姿を見せた上で、松浦たちとの出会い、弘徽殿グループの圧政と繋げて、光源氏の個人的な復讐劇から、庶民による貴族社会への反乱に昇華。
男装の麗人松浦様が、庶民の側についてフランス革命を戦ったオスカル様とダブりますね。

そんなこんなで、荒唐無稽なトンデモ源氏物語かと覚悟していたら、ちゃんと原作をベースにした上で史実の歴史的背景もミックスしてオカルト有り・スペクタクル有りにまとまってて、率直に言って面白かったです。