ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

『ポルテーニョ』って響きが好きだ

2010-10-05 02:16:00 | 日記
無事終わりましたねジャパンオープン&カーニバルオンアイス。

この時期の団体戦の大ちゃんに関しては、過去の例からしても、ここで結果が悪くても必ずしも悲観する必要はない、逆にここで変にきれいにまとまっちゃうとプログラムが小さくまとまっちゃいそうで怖いし、ここではシーズン本番に向けて、審判の方にも見て頂いて課題の洗い出しをする方が結果よりも大事だし。
でも人前に出る以上あんまり出来が悪くても見てて気の毒だし、団体戦に出る以上チームに迷惑もかけられないし、それに4回転。ここらで試合で決めておくと、気持ち的にもシーズン本番に向けて弾みが付くんだけどな~…。

…なんてことをうだうだ考えながら見ていたんですが。

絵に描いたような理想の展開ではありませんか。

4回転。やっとここまで戻って来たのね(涙)。今までも練習で飛んでいるのは見たけど、試合ではなかなか決まらなくて。やっぱり手術の時に腱を移植した右足のバネがなかなか戻らなかったんだろうけど、それでも「絶対に手術前に飛べていたジャンプは取り戻してみせる」という強い決意で飛び続けて…オリンピックにはちょっとだけ間に合わなかったけど、でも本当によくここまで取り戻してくれたと思います。

そしてプログラム。
かっこいい曲にかっこいい振付け。ステップの所の打楽器の音が何とも男臭い。まだ荒削りな所はあるし後半バテていたけど、アダルトな色香は伝わって来ました。今後が楽しみ。
激しく踊りながらもストーリー性を感じさせますね。特にスローパートの部分に、何かこう、のたうつようなドラマを感じてしまいます。大ちゃんが苦労しているのも分かるような気がするけど、カメレンゴさんは流石だと思いました。

「ロクサーヌ」や「eye」も、当時の大ちゃんの年齢からすると随分大人っぽい印象でしたけど、今回のは更に「オトナの男」って感じですね。なんか、男性用香水の匂いを感じる。
個人的に感じるイメージは、
ロクサーヌ…若くて野生的な男が魔性の女に振り回されてボロボロになる。
eye…魔性の男が女性を次々に誘っては弄んでボロボロにして捨てる。
ブエノスアイレスの冬&春…オトナのいい男がオトナのいい女と狂おしく身を焦がすような恋に落ちている。
今のところこんな感じで、順調に年齢を上げてます!(笑)

ところでこの曲、原題は「InviernoPorteno」「Primavera Portena」直訳すると「港町の冬&春」みたいな感じなんでしょうか。
Wikipediaによると、ブエノスアイレスは港町で南米の中では最もヨーロッパ文化の影響を強く受けた町、人々は自分たちを「ポルテーニョ(港の人、くらいの意味?)」と自称しているそうなので、「港町」=ブエノスアイレスってことなんでしょうね。
いやすごく親近感が出ました。だって港町と言えば神戸だから(笑)。旧居留地やメリケンパークを思い浮かべながら、地球の裏側へ想いを馳せています。

***

カーニバルオンアイス「アメリ」。やっと普通に見れるようになりました。最初の頃はマジに怖くて、3回深呼吸しないと見れなかった。
ちょっとお疲れな感じもしましたが、逆にこのくらい力が抜けてる方がこの曲には合ってるのかなと思ったり。外側へ向かって解放するようなラテンMIXとは逆に、自分の内面に向かって強烈に訴えるプログラムだとは思います。そのラテンMIX、アンコールで最後のステップだけやってましたが、FOI以上に体に馴染んでてノリノリだったような。カメラの角度のせいか、「こんな凝ったことやってたんだ!」という新たな発見もありました。それにしても楽しい。大ちゃんも楽しそうだし。途中で両足で跳ねながら半回転する所がお気に入りです。
ボーンさん振付けだと、鈴木さんのWWSでもステップの途中で可愛く跳ねる所がありましたね。ああいうの上手いなあと思います(ていうか、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で、サーキュラーステップの途中で片足を曲げてジャンプしてたのもボーンさん発案だと思ってる私…あのステップも大好きでした。華やかで躍動感があって)。

アメリ(2001年 フランス)

2010-10-02 02:31:00 | 映画感想
※ゆるーくネタばれアリです。拍手コメントへのお返事もここに。

まず、色のイメージが強烈な映画。多分画像をコンピュータで処理してると思うんですが、赤と緑がヴィヴィッドな蛍光色で浮かび上がって来る。背景のセットなんかも赤と緑が多用され、独特のおしゃれ感を醸し出しています。ヒロイン・アメリの服や髪型も可愛いし、ひとつひとつのシーンが絵はがきみたい。
お洒落映画の代表みたいに言われてるのが分かるような気がしました。

***

で、ストーリーですが。
一見「不思議ちゃんヒロインのお洒落でちょっと風変わりなラヴストーリー☆」っぽく見せかけて、実際は「精神的ヒキコモリヒロインの社会復帰リハビリストーリー」ですねコレ。

ヒロインのアメリは確かにちょっと変わった女の子ですが、映画の冒頭に出て来る彼女の生い立ちを見れば、彼女が「ちょっとフツウのヒトとは違う感性を持ってるの☆」な女の子ではなくて、同世代の友達とふれあう経験が皆無に等しいまま大人になってしまい、他人とのコミュニケーションに自信が持てずに自分の殻に閉じこもってる女の子なのが分かります。

一応、実家を出て一人暮らしして、カフェに務めて仕事もしているけど、精神的には人々の中に入って行けていない。映画館で、映画を見ている観客の表情を見るのが好き、というのは、常に傍観者であって当事者ではないという彼女のメンタリティを象徴している。ように思えます。

もっと分かりやすいのは、アメリと同じアパートに住んでいる『ガラス男』。人より骨が脆い体質のために滅多に表へ出ず、自室でルノアールの絵を模写している老人。この老人とアメリが絵の中の少女の話をするとき、実は少女を通してアメリ自身の事を話し合っている。「大勢の人々に囲まれているのに、彼女自身はここにはいない」というのが、正に社会の中でのアメリの状況。

そんなアメリが、自分の部屋に40年前に住んでいた男の子が残した『宝箱』を見つけたのをきっかけに、一歩を踏み出そうとする。
それでも当初は傍観者のままなんですね。時にはびっくりする程大胆な行動に出てるけど、自分自身が当事者として表に出ることは決してなく、常に影で糸を引く方に回っている。
八百屋のおじさんにいたずらを仕掛ける時、最後に彼女は想像の中で、扉にZの文字を刻んでいます。怪傑ゾロのマーク。彼女にとってこのいたずらはヒーローごっこなんですね。ごっこ遊びであって現実ではないから、ちょっと大胆な行動もとれる。

しかしそんな彼女も、自分の恋となると、自分が当事者に回らなければならなくなる。一目惚れした相手を、影からならさんざん振り回すことができるけど、いざ自分が当事者として相手の前に出なければならないとなると途端に立ちすくんでしまうという…。

さて、その恋の結末はどうなったのか…というのは、実はそんなに重要な事ではないかも。
ただ、『宝箱』を見つけた時に、これをきっかけに一歩を踏み出そう、と心に決めたり、彼女自身、心のどこかで自分も世界に出て行きたい、という気持ちはあったんだろうなあと思います。
最後の方、彼との甘い生活を妄想したりしていましたが、そうやって自分が当事者になる事を心のどこかで夢見ていた。それと、精神的な理由で引きこもっていたアメリに対し、物理的な制約のせいで引きこもらざるを得ないまま人生を送っていた『ガラス男』。彼がとても親身になってアメリの背中を押したのも大きいと思います。
たった一度の人生、他人の絵の模写ではなく、下手でも自分自身の絵を描きたいものですね。

***

所でこの映画、謎が溶けた時にぱああ…と世界が光に包まれたり、現実の人物の隣に妄想ビジョンがもやもや~っと浮かんで来たり、落ち込む時に水になってべしゃっと凹んだり、現実にはあり得ない絵だけど、心理描写として分かりやすい表現が多用されてました。で、これってよく漫画で使われる技法だなと。フランスって、ヨーロッパの中でも特に日本のオタク文化がウケてる所という印象があるんですが、何か関係あるんでしょうかね?

***

これを見た後で大ちゃんの「アメリ」を見ると…やっぱり強烈なまでに繊細で内省的なプログラムですね。この映画自体全編心理描写の塊みたいですけど。
ジャパンオープンの後のカーニバル・オン・アイスではまた「アメリ」を滑ってくれるみたい。広く一般にウケるタイプじゃないんですかねえ…個人的にはすごく好きなんですけど。

<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=urokonotubuya-22&o=9&p=8&l=as1&m=amazon&f=ifr&md=1X69VDGQCMF7Z30FM082&asins=B000063UPL" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>

■Web拍手へのお返事

2010/9/27 15:48
カンブリア宮殿、録画して見る価値はありました。企業はお金を儲けなければ存続できないから、自社の利益を第一に考えるのは当然の事ですが、どうせ働くなら人から感謝される仕事がしたい、と改めて思いました。