masumiノート

何を書こうかな?
何でも書こう!

給油拒否するかしないかと、それよりも

2014年05月02日 | ガソリンスタンド2



上の画像は燃料油脂新聞です。
「ある特約店が下した決断」が4月30日で、「系列仕切り格差広がる」が5月1日のものです。

「ある特約店が下した決断」
10年程前に組合の要職にあった特約店主が、SSをそのまま続ける財力はありながらも会社を清算、解散した。
数年後に話した理由は「家屋敷を抵当に入れる前に心を決めた」「続けていたら、間違いなく借り入れが膨らむ」

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この方が正解だと思います。
masumiさんもこの頃に「早く一抜けたってした方が賢いよ」とこうちゃんに言って来ました。

今でもその話になるとこうちゃんは不機嫌になります。
「こうちゃんはよう決断せんかったんや」と言うと、「決断とか、そういう簡単なことではないんや!」と、怒ります。

でもこうちゃんの気持ちも分かるんです。

決断出来たこの方は“特約店(2者店)”です。
自分の生活圏で生業的に営業をしている1SSオーナー3者店とは違う。
やはりどちらかと言うと“ビジネスライク”に徹することが出来る立場なのだと思います。

地場3者店主は自分の店に顧客がある限り、昔からの小口配達先がある限り、“まだやれる状態”で店を畳むことは出来ないようなところがあります。

もちろんそんな義理堅い人ばかりではなく、先日の記事のように「やめた方は悠悠自適で、可哀想かと言えば決してそんなことはない」といったケースもあるのですが...。

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>数量は確実に減りますが経営的には思った程ダメージは無いと思います。

多牌さんは代行給油“拒否”強める(発券店値付けカード)のコメント欄でこう書かれていますが、それは全ての店に当て嵌まるとは限らないのではないでしょうか?
やはり得ている「リッター当たりの粗利」によって答えは違ってくると思うのです。

例えば先日載せた業界紙の記事、「月刊販売量50キロで粗利が5円だと25万円の収益」っていう話。
市街地では、安値セルフの進出でそんなふうに粗利も販売数量も激減させたお店も多いようです。
(※市街地、都市、過疎地、離島・・・共通の問題もあれば、それぞれ別の事情もある)

だけど生活圏での生業だから簡単に店を畳むこともできず、かといって25万の収益では従業員も雇えない。
夫婦とか親子で細々と続けているような状態だと思います。

“土地開発”によって交通の便がよくなったのと同時進行的に、発券店値付けカード客の割合が増えました。
元々の顧客(掛けや現金客)が安値店に流れるのと入れ替わるように、です。

今や3割から半数近くを発券店値付けカード客が占めるというお店も少なくないようです。

元売子会社や元売資本の入った大手特約店また広域大手などが軒を連ねるような市場では、それらのお店より10円以上高値で売っても粗利は5円しかない。


そんな状況下で発券店値付けカードだからといって給油拒否できると思いますか?

3割から5割近くを占める発券店値付けカードを給油拒否すれば、販売数量と共に3割から5割近くの粗利も消えるのです。
例え代行給油手数料といえども粗利は粗利です。

ただ発券店にピンハネされながら現金客と同等のサービスは行いたくないし、行う義務もありません。
ハラガタツオさんが心配される「差別待遇」も、この仕組みを知れば皆さん理解されます。
代行給油システムなのですから。

説明させてもらった方の中には「入れてもらえるなら(給油してもらえるなら)それだけで有難い」とおっしゃる方も多いです。
でも、それはこのカードが「安いから」なのかも知れません。

そういう意味でも、掛けや現金、又一般提携クレジットなど、当店の高値でも利用して下さるほんとうの顧客の有難さがひとしおです。

発券店値付けカードを給油拒否できる環境にあるのなら給油拒否するに越したことはないと思いますが、それぞれの店の置かれた状況等もあります。
当ブログのコメント欄で賛同者を募ることは良いとしても、給油拒否しない店を一概に責めたり馬鹿にしたりすることのないようにだけお願い致します。 

それから、私にとっては発券店値付けカードより業転問題の方が重要なのです。

あ、その前に発券店値付けがSS減少の大きな要因ということについてー
当店が一時危なかったというハナシ。

社員2名(私を入れて3名)とアルバイト3人ほどを雇用していたときの話です。
掛け会員だったA社の売り上げは月100万を超えていました。
当時の掛け会員の粗利は15-20円はあったと思います。
細かい数字や金額は忘れましたが、その1社から得られる粗利で社員の給与が賄えていたと思います。
それがある日突然、発券店値付けカード客になったのです。
軽油車が主でしたから、代行給油手数料は5円弱です。
15-20円あった粗利が1夜にして5円弱です。
当時はそのカードの仕組みも知りませんでしたし、それまでと同様のサービスを行っていました。

こちらが行う作業は同じ、販売数量も同じ、経費(人件費)も同じ。
ただ粗利だけが一夜にして三分の一とか四分の一に減っていたのです。
そりゃあ一気に赤字になるというものです。
(実際の赤字の原因は複合的ですが)年に数百万づつ、従業員が0になるまで、数年間続きました。

当店ではその1社だけでしたが、それが同時期一度に何社も、となれば、それだけで倒産となってしまった販売店もあるのではないでしょうか。
※赤字の販売店を馬鹿にする特約店や商社関係者がいますが、この場合、販売店に非があるのでしょうか?
もしあるとすれば、「その仕組みを知らなかった」、ということだけだと思います。


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masumiさんにとっては業転問題の方が上

今でこそ減りましたが12-3年前は業転業者の営業が物凄くありました。
数社がしょっちゅう来ていました。
「この商圏では9割のお店が業転を取ってますよ」「灯油なんかは何年も前からですよ」と言われました。
営業トークかも知れませんが、地場3者店で安値にピッタリ追随しているのを見れば強ち大袈裟ではないように思いました。

お客さんから「何でお前のところだけこんなに高いのだ」と言われたとき、
その安値が新規出店してきた店だけなら、「あれは元売子会社だから」「あそこは広域業者だから」「あれはセルフだから」との説明で良くても、
新規店が出来るまでは同じような値段(1-2円の差)で売っていた他の地場3者店の安値はどう説明すれば良いのでしょうか。

2012年08月21日に「業転」という文字が朝日新聞に載るまでは、「不思議ですね」「うちの仕入からは考えられません」と答えるほか無かったのです。
堪え切れなくて、流通ルートが2つあると言っても更に嘘つき呼ばわりされるだけでした。
当然、高値の当店は「ぼったくり」扱いされます。


最後の最後まで堪えての、背に腹は代えられない「業転」ならまだしも、あの当時はまだそうじゃなかったはずです。
それに「灯油は何年も前から」という疑惑。(あくまでも疑惑です)

あの苦しい時期の悔しい思いが長かったから、どうしても「業転問題」に対して腹に据えかねるものがあるのです。

業界紙でもずっと「ネギや牛肉のような産地偽装のような真似はできない」とか「お客さんを騙すようなことはできない」という3者店主のハナシが紹介されていました。

それに対して「元売もバーターしている」とか「同じ製油所から出た同じものなのだからお客さんを騙すことにはならない」とか、「消費者は安ければ良いのだ」などの浮気組さんのハナシも紹介されていました。
(※当ブログへもそういう理屈と共に、嫌がらせのようなコメントも多数ありました)

そして現在、「系列でも業転OK」へと向かっています(?)

昔も今も、消費者へは何の説明もされていません。


系列100%仕入れを貫いてきた地場3者店は総じて疲弊しています。
では業転玉で薄めてきた販売店はというと、
現在では、「(その差額を)大きな原資にできた」と言われる販売店主と、「体力温存できなかった」と言われる販売店主があります。