2001年2月4日(日)
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LOVE PSYCHEDELICO「THE GREATEST HITS」(ビクターエンタテインンメト)
最近、テレビやFMで、やたら3rdシングル「Last Smile」がかかっている「ラブ・サイケデリコ」、通称デリコのデビュー・アルバム。
まず、タイトルからして、人を食ったシャレだ。
このファーストがなぜか、いきなりのアルバム・チャート一位!
しかも二週連続で。
新人アーティストとしては、信じられないような快挙(怪挙か?)である。
それをなぜか妻が買ってきたので、一枚通して聴く機会を持った。
で、聴いて最初に口をついて出てきた感想は、「懐かし~い!」というもの。
収録曲のひとつの「ノスタルジック'69」というタイトルに象徴されるように、60年代後半から70年代前半にかけての英米ロックの「レプリカ」そのものなのである。
他の曲だって「LADY MADONNA」だの「Your Song」だのといったタイトルだ。
ボーカルのスタイル、コーラスの入れ方、ギターフレーズ、リズム・パターン、エコーのかけ方その他の録音方法、曲調、すべてが「アナログ」にして「アナクロ」な60-70年代感覚で統一されている。
懐古趣味まるだしのアルバム・アートワークにいたっては、もうなにをかいわんや、である。
(CDのレーベルが、アナログ盤に見えるよう、デザインされていたりする。)
ところが、デリコのメンバーは、そんな70年代のサウンドをリアルタイムで聴いたこともなければ、ヒッピー・ムーブメント、フラワー・ジェネレーション、ウッドストックなど体験したこともない、20代の若者たちなのである。
ボーカル・ギターKUMI24才、ギター・ベース・ボーカル・作曲佐藤直樹27才。
でも、KUMIのボーカルはカルメン・マキ、リッキー・リ-・ジョ-ンズあたりを彷佛とさせる、アンニュイでアクの強い声。彼女が歌えば、日本語もまるで英語のように聞こえる。
どう聴いても「明るく、健康的」がモットーのアメリカン・ポップスではなく、ベトナム戦争で疲弊、退廃したあの時代そのものの、暗く重いロック・サウンド。
これが発売即チャート一位なんだから、新世紀に突入して「日本も変わった」というべきだろう。
筆者たちの世代のときには、変えようと闘ってもまるで変わらなかった「古い日本」の感性が、いま、音をたてて瓦解してるのかも知れない。
この「ラブ・サイケデリコ」をテーマ曲として。
果たして、手放しで喜ぶべきかどうかは、さだかではないのだが。