2001年2月25日(日)
バーニー・ケッセル・ウィズ・シェリー・マン&レイ・ブラウン「ザ・ポール・ウィナーズ」(CONTEMPORARY)
濃厚なフルコースを食べたあとは、なにかあっさりした「口直し」を食べたくなる。
ということで、これである。
モダン・ジャズ・ギターの開祖チャーリー・クリスチャンの流れを汲む、ウェスト・コースト派のギタリスト、バーニー・ケッセルをリーダーとするユニット「ザ・ポール・ウィナーズ」のアルバム。57年3月の録音である。
リズムのふたりも、それぞれリーダー・アルバムを何枚も出している名プレイヤー。
ことに、ベースのレイ・ブラウンはオスカー・ピータースン・トリオの一員として何度も来日しているから、ご存知の方も多いだろう。
「ザ・ポール・ウィナーズ」というユニット名の由来は、彼らが56年、雑誌「ダウン・ビート」「メトロノーム」「プレイボーイ」(あのバニーヘッドのPBである)における読者投票で、三誌すべてで、それぞれのパートの人気第一位(POLL)に輝いたことからきている。
PBまでがそういうことをやっていたとは、ジャズがポピュラー・ミュージックのメインストリームだった時代ならではの話である。
そういう人気・実力抜群の3人が組んだユニットだから、もちろん水準以上の出来。
デュ―ク・ジョーダンのオリジナル「ジョードゥ」から始まる、おなじみの「サテン・ドール」「ミーン・トゥ・ミー」「グリーン・ドルフィン・ストリート」など、スタンダード中心に選曲された全9曲。
とにかく、明るいトーンで軽快にスウィングするバーニー・ケッセルのギターがひたすら心地よい。
これぞウェスト・コースト・ジャズだ。
それをビシッとバックアップする、リズムのふたりの演奏も素晴らしい。
レイ・ブラウンの指さばき、シェリー・マンのブラッシュ・ワークに、達人ならではの「技」を感じる。
モダン・ジャズという音楽につねに内省的なものを求めるようになった60年代とは違って、とにかくわかりやすい、痛快なプレイ。
脳天気といわれるかも知れないが、これはこれで、けっこうイケてると思う。
「重厚長大」なのだけが、モダン・ジャズではない。ウキウキするようなジャズもあるってこと。