NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音盤日誌「一日一枚」#19 バーニー・ケッセル・ウィズ・シェリー・マン&レイ・ブラウン「ザ・ポール・ウィナーズ」(CONTEMPORARY)

2021-11-30 05:27:00 | Weblog
2001年2月25日(日)



バーニー・ケッセル・ウィズ・シェリー・マン&レイ・ブラウン「ザ・ポール・ウィナーズ」(CONTEMPORARY)

濃厚なフルコースを食べたあとは、なにかあっさりした「口直し」を食べたくなる。

ということで、これである。

モダン・ジャズ・ギターの開祖チャーリー・クリスチャンの流れを汲む、ウェスト・コースト派のギタリスト、バーニー・ケッセルをリーダーとするユニット「ザ・ポール・ウィナーズ」のアルバム。57年3月の録音である。

リズムのふたりも、それぞれリーダー・アルバムを何枚も出している名プレイヤー。

ことに、ベースのレイ・ブラウンはオスカー・ピータースン・トリオの一員として何度も来日しているから、ご存知の方も多いだろう。

「ザ・ポール・ウィナーズ」というユニット名の由来は、彼らが56年、雑誌「ダウン・ビート」「メトロノーム」「プレイボーイ」(あのバニーヘッドのPBである)における読者投票で、三誌すべてで、それぞれのパートの人気第一位(POLL)に輝いたことからきている。

PBまでがそういうことをやっていたとは、ジャズがポピュラー・ミュージックのメインストリームだった時代ならではの話である。

そういう人気・実力抜群の3人が組んだユニットだから、もちろん水準以上の出来。

デュ―ク・ジョーダンのオリジナル「ジョードゥ」から始まる、おなじみの「サテン・ドール」「ミーン・トゥ・ミー」「グリーン・ドルフィン・ストリート」など、スタンダード中心に選曲された全9曲。

とにかく、明るいトーンで軽快にスウィングするバーニー・ケッセルのギターがひたすら心地よい。

これぞウェスト・コースト・ジャズだ。

それをビシッとバックアップする、リズムのふたりの演奏も素晴らしい。

レイ・ブラウンの指さばき、シェリー・マンのブラッシュ・ワークに、達人ならではの「技」を感じる。

モダン・ジャズという音楽につねに内省的なものを求めるようになった60年代とは違って、とにかくわかりやすい、痛快なプレイ。

脳天気といわれるかも知れないが、これはこれで、けっこうイケてると思う。

「重厚長大」なのだけが、モダン・ジャズではない。ウキウキするようなジャズもあるってこと。

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