2022年12月2日(金)
#383 MUDDY WATERS「Trouble No More:Singles (1955-1959)」(MCA/Chess CHD-9291)
マディ・ウォーターズの編集版アルバム。89年リリース。
マディが55年にレコーディングしたシングル「Trouble No More」をメインに組まれたコンピレーション・アルバムである。12曲を収録。
まずは「Trouble No More」についてだが、戦前のブルースマン、スリーピー・ジョン・エスティスが1935年に録音した「Someday Baby Blues」が元ネタ。
タイトルと歌詞を変えて吹き込んだマディ版がビルボードR&Bチャートで7位のヒットとなり、一躍メジャーな存在となった。
オールマン・ブラザーズ・バンドが、スタジオ盤とライブ盤両方でこの曲を取り上げているので、それで知ったという人も多いだろう。
マディ版は、通称「ヘッドハンターズ」と呼ばれた、ジミー・ロジャーズ、リトル・ウォルター、オーティス・スパン、ウィリー・ディクスン、フランシー・クレイというシカゴ・ブルースのトップ・プレイヤーたちとともに演奏されている。(ヘッドハンターズは、かっちりメンバーが決まったものでなく、集合体みたいなもののようだ。)
当然ながら、極上の出来映えだ。とりわけ、リトル・ウォルターのむせび泣くようなブロウが印象的だ。
上記メンバーのヘッドハンターズとでは「Sugar Sweet」も録音しており、これもチャートインしている。
この2曲以外で有名な曲を上げると、名ライブ盤「Fathers And Sons」のオープニングでも演奏されていた「All Aboard」がまず挙げられるかな。
そのバージョンではマイケル・ブルームフィールドがギター、ボール・バターフィールドがハーブを務めていたが、本盤ではもちろん、ロジャーズとウォルター、そしてジェイムズ・コットンが、正調シカゴ・ブルース・スタイルでキメてくれている。
「Got My Mojo Working」もマディの十八番的ナンバーでライブや再演やらでいくつものバージョンがあるが、ここに収められている56年録音版こそが、オリジナル・シングルだ。ハープはウォルター。
21世紀の現在も、いまだに多くのミュージシャンがカバーしているブルース・スタンダード。
ブルースを愛好する者ならば、そのオリジナル、ぜひ一度は聴いておいて欲しい。
他にわりと名前の通ったナンバーとしては「Rock Me」「Mean Mistreater」があるかな。
前者は聴けばすぐ分かるが、冒頭は後年「Mannish Boy」となったナンバーの原型だが、終始ワンコードではなく、通常のブルース進行へと続いていく。実質的にはBBもよく演っている「Rock Me Baby」と同じ曲である。
後者は、マディの愛弟子、ジョニー・ウィンターがカバーしたことでロックファンにもよく知られるようになった。なお、グランド・ファンク・レイルロードにも同じタイトルの曲があるが、こちらは同名異曲である。
「She’s Got It」は54年に録音された「Hoochie Coochie Man」の改作バージョン。58年、シングルとしてリリース。
「She’s Into Something」は59年のリリース。ルンバ調のエイト・ビートが、時代の変遷による音楽スタイルの変容を感じさせて興味深い。
同じくシングル編集版である55年のアルバム「The Best Of Muddy Waters」と合わせて聴けば、1950年代のマディ・ウォーターズの活躍ぶり、その音楽のスゴさが把握出来る一枚。
ブルースを極めたい者は、このアルバムを絶対避けては通れないぜ。
<独断評価>★★★★☆
マディ・ウォーターズの編集版アルバム。89年リリース。
マディが55年にレコーディングしたシングル「Trouble No More」をメインに組まれたコンピレーション・アルバムである。12曲を収録。
まずは「Trouble No More」についてだが、戦前のブルースマン、スリーピー・ジョン・エスティスが1935年に録音した「Someday Baby Blues」が元ネタ。
タイトルと歌詞を変えて吹き込んだマディ版がビルボードR&Bチャートで7位のヒットとなり、一躍メジャーな存在となった。
オールマン・ブラザーズ・バンドが、スタジオ盤とライブ盤両方でこの曲を取り上げているので、それで知ったという人も多いだろう。
マディ版は、通称「ヘッドハンターズ」と呼ばれた、ジミー・ロジャーズ、リトル・ウォルター、オーティス・スパン、ウィリー・ディクスン、フランシー・クレイというシカゴ・ブルースのトップ・プレイヤーたちとともに演奏されている。(ヘッドハンターズは、かっちりメンバーが決まったものでなく、集合体みたいなもののようだ。)
当然ながら、極上の出来映えだ。とりわけ、リトル・ウォルターのむせび泣くようなブロウが印象的だ。
上記メンバーのヘッドハンターズとでは「Sugar Sweet」も録音しており、これもチャートインしている。
この2曲以外で有名な曲を上げると、名ライブ盤「Fathers And Sons」のオープニングでも演奏されていた「All Aboard」がまず挙げられるかな。
そのバージョンではマイケル・ブルームフィールドがギター、ボール・バターフィールドがハーブを務めていたが、本盤ではもちろん、ロジャーズとウォルター、そしてジェイムズ・コットンが、正調シカゴ・ブルース・スタイルでキメてくれている。
「Got My Mojo Working」もマディの十八番的ナンバーでライブや再演やらでいくつものバージョンがあるが、ここに収められている56年録音版こそが、オリジナル・シングルだ。ハープはウォルター。
21世紀の現在も、いまだに多くのミュージシャンがカバーしているブルース・スタンダード。
ブルースを愛好する者ならば、そのオリジナル、ぜひ一度は聴いておいて欲しい。
他にわりと名前の通ったナンバーとしては「Rock Me」「Mean Mistreater」があるかな。
前者は聴けばすぐ分かるが、冒頭は後年「Mannish Boy」となったナンバーの原型だが、終始ワンコードではなく、通常のブルース進行へと続いていく。実質的にはBBもよく演っている「Rock Me Baby」と同じ曲である。
後者は、マディの愛弟子、ジョニー・ウィンターがカバーしたことでロックファンにもよく知られるようになった。なお、グランド・ファンク・レイルロードにも同じタイトルの曲があるが、こちらは同名異曲である。
「She’s Got It」は54年に録音された「Hoochie Coochie Man」の改作バージョン。58年、シングルとしてリリース。
「She’s Into Something」は59年のリリース。ルンバ調のエイト・ビートが、時代の変遷による音楽スタイルの変容を感じさせて興味深い。
同じくシングル編集版である55年のアルバム「The Best Of Muddy Waters」と合わせて聴けば、1950年代のマディ・ウォーターズの活躍ぶり、その音楽のスゴさが把握出来る一枚。
ブルースを極めたい者は、このアルバムを絶対避けては通れないぜ。
<独断評価>★★★★☆