NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#408 LARRY CARLTON「サファイア・ブルー」(ビクターエンタテインメント/Bluebird VICJ-61126)

2022-12-27 05:00:00 | Weblog
2022年12月27日(火)



#408 LARRY CARLTON「サファイア・ブルー」(ビクターエンタテインメント/Bluebird VICJ-61126)

米国のギタリスト、ラリー・カールトンのスタジオ・アルバム。2003年リリース。彼自身によるプロデュース。

カールトンは、おもにフュージョン、ジャズを演奏するギタリストだと言われているが、彼自身の音楽はジャズと同じくらい、黒人ブルースから強い影響を受けている。

それは本人も幾度となく語っているし、何より彼の弾くフレーズを聴けば明らかだろう。また、自身のバンドに「サファイア・ブルース・バンド」と名づけていたりする。

当然ながら、ブルース曲をメインにしたアルバムも、何枚か作っており、例えば白人ハーピスト、テリー・マクミランとコラボした「Renegade Gentleman」という93年のアルバムがよく知られているが、本作はそれに続くブルース・アルバムである。

オープニングの「フライデイ・ナイト・シャッフル」からして、いかにもB・B・キングあたりのブルース・ショーの出囃しに使われそうな曲である。ホーン・セクションも四管体制と豪華だ。

息子のトラヴィス・カールトン(B)らとのトリオ・バンドでも、このナンバーはよくオープニングで演奏されていたから、覚えている人も多いだろう。

カールトン本人も、BBばりに気持ちよさげにチョーキングを決めている。

続く「ア・ペア・オブ・キングス」は、アルバート・キングの「クロス・カット・ソー」を彷彿とさせるナンバー。ギター・プレイも、いかにもアルバートっぽい。

リズミカルな2曲の後の「ナイト・スウェッツ」はムードも一転して、物憂げなスロー・ナンバー。

ジャズィでブルーズィな匂いが横溢する、カールトンのフレーズが目一杯楽しめる。

「サファイア・ブルー」は、緩急に富んだギター・プレイがスリリングな、スロー・ブルース。

ホーンの強力なバッキングも相まって、ドラマティックな展開が繰り広げられる佳曲。

「7 フォー・ユー」は、裏打ちのリズムが特徴的なミディアム・テンポのナンバー。ギターとホーンの掛け合いがイカしている。

「スライトリー・ダーティー」はファンク色の濃いアップテンポのナンバー。キレのいいリズムを叩き出しているのは、黒人ドラマーのビリー・キルソン。

後半からアンプリファイド・ハープで飛び込んで来るのは「Renegade Gentleman」のマクミランだ。実に10年ぶりのレコーディング共演である。

「ジャスト・アン・エクスキューズ」は、スロー・ブルース。BBばりのスクウィーズ、そして後半はネチッこい速弾きを繰り返すカールトンのプレイが、本盤のハイライトだと言えそうだ。

「テイク・ミー・ダウン」は、チェンジアップのナンバー。これまでのギブソンES335をアコースティック・ギターに持ち替えて、ダウンホームなスタイルのブルースを弾くカールトン。

相方をつとめるのは、ハープのマクミラン。今度はノン・アンプリファイドだ。

最小編成でのセッションは、いい感じで盛り上がる。
アコギでブルースなカールトンも、悪くない。

ラストは日本のみのボーナス・トラックで、おなじみのナンバー「ルーム335」。筆者もこのトラックを聴くために、あえて日本盤を買いました、ハイ。

オリジナル(「夜の彷徨」所収バージョン)と比べると、テンポを少し落としているのと、ホーン・セクションが加わって、よりファンキーなサウンドになっているのが、大きな相違点だ。

フュージョンよりも、伝統的なブルース・バンド・サウンドに寄せているってことやな。

オリジナルのスピーディな演奏もカッコいいが、ファンキーなこのバージョンも決して捨てたものじゃないぜ。

いつものアルバムとは違い、カールトンの個人的趣味で作られた一枚とはいえ、われわれブルース・ファンにも十分楽しめる内容になっている。ぜひ一聴を。

<独断評価>★★★★

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