2022年12月11日(日)
#392 HOWLIN’ WOLF「Change My Way」(MCA/Chess CHD 93001)
ハウリン・ウルフのコンピレーション・アルバム。75年リリース。
ウルフの、58年から66年に至る、チェスでレコーディングされた15曲を集めた編集盤である。レナード・チェス、フィル・チェス、ウィリー・ディクスンによるプロデュース。
ウルフ・ファン、そしてヒューバート・サムリンのファンにとって、聴き逃すことの出来ない音源で満載の一枚だ。
ハウリン・ウルフの曲は、いくつかの類型に分けられると思う。
数としてけっこう多いのがワン・コードで延々とリフを繰り返すタイプ。
オープニングの「Mr. Airplane Man」(59年)はそのタイプの典型で、おなじみのハウリン・ボイスが聴ける。
歌うというよりも語り、吠え、唸るスタイル。
ウルフ、ここにあり。62年の「Do The Do」も、このジャンルだ。
続いて多いのはミディアム・シャッフルの16小節ブルース。
「Love Me Darlin’」はその代表例だが、ここでのサムリンのプレイが実にイカしている。
伝統的なブルース・ギターのフォーマットにこだわらない奔放な音の選び方は、キース・リチャーズをはじめ、当時の多くのギター・キッズを魅力したものだ。
「I Better Go Now」「New Crawlin’ King Snake」 「I’ve Been Abused」も同系統のナンバー。
これらの曲でもサムリンの、独特のタッチが印象的だ。
一般的にブルース・ギターは長いサステインを狙うのだが、サムリンは細めのゲージの弦を使って、一種シタールのような音の減衰を狙っている。
まさに、ワンアンドオンリーなスタイルだな。
一方、ゆったりとしたスロー・ブルースも、ウルフお得意のスタイルだ。
59年の「Change My Way」や58年の「Howlin’ Blues」は、彼のハープをフィーチャーしたナンバー。
心にしみるブロウを、とくと味わわれたし。
60年代に入ると、シャッフルに代わってエイト・ビートのナンバーが増えて来る。
例えば65年の「Don’t Laugh At Me」がそうだ。64年の「Killing Floor」以降は、エイトなノリが増えていく。
シャッフルがベースでも、アレンジを加えて、新感覚のビートを生み出す、そんな試みもある。
例えば62年の「I Aint Superstitious」(迷信嫌い)は、白人ロックバンドにも大きく影響を与えた一曲だ。
第一期ジェフ・ベック・グループでのカバー・バージョンがあまりにも有名だが、元ネタもぜひ聴いて欲しい。
シンプルなギターリフの繰り返しが耳にこびりついて離れない、麻薬的な一曲だ。
ラストの「Hidden Charms」(63年)は、一風変わったビートのナンバー。オリジナルはチャールズ・クラークとウィリー・ディクスン・バンドによって58年に録音されている。
原曲はシンプルなシャッフルだが、これをモダンにアレンジして、ギターとサックスのリフによりアクセントを付けている。
60年代はブルース界にも他ジャンル(ロック、ラテンなど)の影響が押し寄せて来て、ビートも次第に複雑化していくが、この曲もその過程を示した一例なのではないだろうか。
白人のロックにも多大な影響を与えたふたりの巨人、ウルフとサムリンのブルース新時代に向けた模索が、この一枚にある。
ロックファンにこそ、聴いて欲しい。
<独断評価>★★★★
ハウリン・ウルフのコンピレーション・アルバム。75年リリース。
ウルフの、58年から66年に至る、チェスでレコーディングされた15曲を集めた編集盤である。レナード・チェス、フィル・チェス、ウィリー・ディクスンによるプロデュース。
ウルフ・ファン、そしてヒューバート・サムリンのファンにとって、聴き逃すことの出来ない音源で満載の一枚だ。
ハウリン・ウルフの曲は、いくつかの類型に分けられると思う。
数としてけっこう多いのがワン・コードで延々とリフを繰り返すタイプ。
オープニングの「Mr. Airplane Man」(59年)はそのタイプの典型で、おなじみのハウリン・ボイスが聴ける。
歌うというよりも語り、吠え、唸るスタイル。
ウルフ、ここにあり。62年の「Do The Do」も、このジャンルだ。
続いて多いのはミディアム・シャッフルの16小節ブルース。
「Love Me Darlin’」はその代表例だが、ここでのサムリンのプレイが実にイカしている。
伝統的なブルース・ギターのフォーマットにこだわらない奔放な音の選び方は、キース・リチャーズをはじめ、当時の多くのギター・キッズを魅力したものだ。
「I Better Go Now」「New Crawlin’ King Snake」 「I’ve Been Abused」も同系統のナンバー。
これらの曲でもサムリンの、独特のタッチが印象的だ。
一般的にブルース・ギターは長いサステインを狙うのだが、サムリンは細めのゲージの弦を使って、一種シタールのような音の減衰を狙っている。
まさに、ワンアンドオンリーなスタイルだな。
一方、ゆったりとしたスロー・ブルースも、ウルフお得意のスタイルだ。
59年の「Change My Way」や58年の「Howlin’ Blues」は、彼のハープをフィーチャーしたナンバー。
心にしみるブロウを、とくと味わわれたし。
60年代に入ると、シャッフルに代わってエイト・ビートのナンバーが増えて来る。
例えば65年の「Don’t Laugh At Me」がそうだ。64年の「Killing Floor」以降は、エイトなノリが増えていく。
シャッフルがベースでも、アレンジを加えて、新感覚のビートを生み出す、そんな試みもある。
例えば62年の「I Aint Superstitious」(迷信嫌い)は、白人ロックバンドにも大きく影響を与えた一曲だ。
第一期ジェフ・ベック・グループでのカバー・バージョンがあまりにも有名だが、元ネタもぜひ聴いて欲しい。
シンプルなギターリフの繰り返しが耳にこびりついて離れない、麻薬的な一曲だ。
ラストの「Hidden Charms」(63年)は、一風変わったビートのナンバー。オリジナルはチャールズ・クラークとウィリー・ディクスン・バンドによって58年に録音されている。
原曲はシンプルなシャッフルだが、これをモダンにアレンジして、ギターとサックスのリフによりアクセントを付けている。
60年代はブルース界にも他ジャンル(ロック、ラテンなど)の影響が押し寄せて来て、ビートも次第に複雑化していくが、この曲もその過程を示した一例なのではないだろうか。
白人のロックにも多大な影響を与えたふたりの巨人、ウルフとサムリンのブルース新時代に向けた模索が、この一枚にある。
ロックファンにこそ、聴いて欲しい。
<独断評価>★★★★