2009年11月14日(土)
#99 ビリー・ボーイ・アーノルド「Get Out of Here」(More Blues on the South Side/Prestige)
#99 ビリー・ボーイ・アーノルド「Get Out of Here」(More Blues on the South Side/Prestige)
シンガー/ハーピスト、ビリー・ボーイ・アーノルド63年のアルバムから。B・B・キングの作品。
ビリー・ボーイ・アーノルドとゆーと、イコール「I Wish You Would」という感じで、ほとんど一発屋的にしか見られていない人だが、実際には50年代から2000年代に至るまで、極めて息の長い活動を続けているブルースマンだ。
もちろん全盛期はヴィー・ジェイ在籍時の50年代ではあろうが、その後もいくつかの佳作を残している。
このプレスティッジでのセッション・アルバムもそのひとつで、ギターのマイティ・ジョー・ヤングやピアノのラファイエット・リーク(以前取り上げたホームシック・ジェイムズのアルバムでもいい感じだった)らの好サポートを得て、ナイスな演奏を聴かせてくれる。
アーノルドは35年シカゴ生まれ。生粋のシカゴ・ブルースマンというわけだ。
近隣に住むサニーボーイ・ウィリアムスンI世の影響を受けてハープを吹くようになり、10代からプロの道を歩む。初期はボ・ディドリーとともに活動していた。
「I Wish You Would」のヒットで注目され、その曲や「I Ain't Got You」がヤードバーズによりカバーされたことで、ロックファンにも広く知られるようになった。
でも、なかなか原曲を聴くことは少ないに違いない。
本日の一曲は、60年代のBBナンバーのカバー。でも、BBの怒り節とはかなりテイストが違って、ちょっと掴みどころのないふにゃ~っとした歌い口が、ブルースというよりはR&B、ロックンロールという印象。
そう、ビリー・ボーイは、ブルースにしてはリキみがあまり感じられない「脱力系」なのだ。
この曲ではハープは特に吹かず、ギターがおもにフィーチャーされており、マイティ・ジョーの特にテクニカルとはいえないが、ソリッドでエッジの立ったトーンがビリー・ボーイの歌声をうまく引き立てている。
歌詞内容の殺伐とした内容にしては、へんにギスギスした感じにならず、クールというか飄々とした味わいに仕上がっているのは、彼のいい感じに力の抜けた歌唱ゆえといえよう。
ビリー・ボーイ・アーノルドの小粋な世界を味わってみてくれ。