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音曲日誌「一日一曲」#108 amingdon boys school「From Dusk Till Dawn」(ABINGDON ROAD/Epic)

2023-07-18 05:00:00 | Weblog
2010年1月31日(日)

#108 amingdon boys school「From Dusk Till Dawn」(ABINGDON ROAD/Epic)





西川貴教が現在所属しているバンド、amingdon boys schoolの8番目のシングル。西川貴教・柴崎浩の作品。

西川は70年生まれの39才。T.M.Revolutionとしてメジャーデビューしたのが96年。以来、足掛け14年のキャリアを持つシンガーだ。

楽器演奏、作曲はせず、ボーカル専任なのだが、このひとのうたは本当にハンパなくうまいと筆者は思う。

そのシャープにしてワイルドな歌声は、現在の日本のミュージックシーンにおいても、屈指の存在ではなかろうか。

たとえていうなら、ヒトではない、神もしくは悪魔の域に達した声。そういう、超越的なものさえ感じる喉なのである。

とはいえ、デビュー以来快進撃を続けていた西川にも、いささか失速していた時期があった。結婚、そして離婚というプライベート面の問題が大きかったのか、2000年前後は、本業の活動がしぼみがちであった。絶大であった人気も、正直下降線をたどっていた。

だが2005年、心機一転、amingdon boys schoolという名の新グループを立ち上げ、西川は復活した。以前よりもロック色を強め、バンド・スタイルでの再出発を果たしたのだ。

「ゼロからのスタート」。まさにそういうスタンスであった。

翌年12月にはメジャー再デビュー。人気TVアニメ「D.Gray-man」のオープニング曲で華々しく登場した。

エッジの立ったギター・サウンドにのって激しくシャウトしまくる西川のパフォーマンスに、デビュー以来のファンたちはホッと胸をなでおろしたものだ。

以来3年余、おもにアニメやゲームのタイアップ曲を中心に地道に活動しているが、もちろんヲタク御用達のみではない。TM時代以上に幅広い支持を集めており、さらには海外進出も果たしている。

インターネットでの世界同時発信/流通により、Takanoriの名前もワールドワイドになった。

昨年11月には初のワンマン・ヨーロッパツアーで6か国にて9公演を敢行。12日間のハードスケジュールを無事乗り切ったという。

きょうの音源の最後の部分で、4回ものライブを行ったドイツでのステージの模様を聴くことが出来る。西川が満場のドイツ人観客を前に「ダンケシェーン!!」と叫ぶさまに、思わず胸が熱くなる。

筆者の持論として、「歌手はいやしくもプロと名乗る以上、ただ上手いだけじゃダメだ。リスナーを感動させ、泣かせるくらいのものがないと」と思っている。

とはいえ、聴く者を思わず知れず落涙させてしまうぐらいの「チカラ」を持ったシンガーなど、いわゆるプロにだってそういるもんじゃない。

が、西川貴教は、まぎれもなく、その数少ないプロ中のプロといえる。少なくとも筆者は、そう思っている。

ワイルドなロックと正統派ポップスが完璧に融合した、西川畢生のバラード「From Dusk Till Dawn」。隠れもなき名曲であります。