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音曲日誌「一日一曲」#118 フラワーカンパニーズ「元少年の歌」(Sony Music Associated Records)

2023-07-28 05:00:00 | Weblog
2010年4月18日(日)

#118 フラワーカンパニーズ「元少年の歌」(Sony Music Associated Records)





結成20年を超えたロック・バンド、フラワーカンパニーズの新曲。リードボーカル鈴木圭介の作品。

フラカンもなんだかんだで昨年結成20周年を迎えた。CDリリースに若干波はあるものの、解散することなく、結成以来不動のメンバーで活動を続けているのは、ファンの一人である筆者としても喜ばしい限りだ。

21枚目のシングルにあたるこの「元少年の歌」は、彼らが結成20年にして初めて手がけた映画音楽。荻原浩氏の小説を映画化した「誘拐ラプソディー」(公開中)の主題曲である。

大人だってみんな元少年だったと歌うこの曲は、永遠の「ハタチ族」たるフラカンの原点再確認、みたいな一曲。

いま、若い世代にとって日本のロック・バンドといって想起されるのは、大御所のサザンオールスターズを除けば、40才の桜井和寿率いるMr. Childrenか、42才の草野マサムネ率いるスピッツ、このあたりか。

しかししかし、忘れちゃいけない。彼らとほぼ同世代であるフラワーカンパニーズを、である。

フラカンは目立ったヒットこそないが、ここ10年以上、「最強のライブ・バンド」という評価にはゆるぎないものがある。

もう10年も前(つまりこのHPを始めた年でもある)になってしまったが、2000年5月の日比谷野外音楽堂で、筆者は初めてフラカンの生音を耳にした。

とにかくスゴい、このひと言だった。音のキレ、集約度といい、国内外を問わずこれだけ完成度の高いライブ演奏は、他にまず見つからなかった。何かといえば難癖をつけたがる筆者も、あっさり脱帽した。

同日ファースト・アクトをつとめたデビュー当時のGO! GO! 7188も、「フラカンが観られて感激」みたいなことを言っていたぐらいで、プロのバンドマンでさえ憧れ、一目置く。そんな存在だったのだ。

さて今回の新曲の出来はどうかというと、記念すべき節目のシングルとしてはちょっと拍子抜けするぐらい「フツーの曲」である。

多くのバンドがサウンドに凝り、シンフォニック化の一途をたどる中、ホント、このシンプルさはどういうことだろう。

ストリングス、ホーンなど使わず、下手するとまったくオーバーダビングしていないんじゃないかと思うぐらい、一発録りに近いバンド・サウンドのみ。ごくごくシンプルな、60年代ふうフォークロック・スタイルなのだ。

ボーカルにしても、ごく一部にしかコーラスを入れず、あくまでも圭介の歌をフィーチャー。

彼の歌って、テクニックとか声量とかが特にあるわけじゃないけど、ストレートに歌詞の内容が伝わってくる。そんな素朴な味わいがあるのだ。いわば生成りの歌。

衒い、ギミックを排し、あくまでも自然体で歌う。その姿勢、好きだなぁ。

メンバー全員が同年生まれで同学年なのだが、全員40才を迎えたというフラカン。

かつて「子供」という言葉をアイデンティティにして活動していた某先輩バンドはいつのまにやら解散し、大人への道を歩んでしまったが、フラカンなら初心を忘れず、これからも10年、20年とマイペースで活動し続けてくれるだろう。そう筆者は信じている。

そう考えれば、20年という大きな節目も、つまるところはフラカンにとっては通過点、一里塚のようなものか。

あせらず気張らず、とにかくいい歌をうたい、演奏し続けていって欲しいものであります。