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音曲日誌「一日一曲」#296 ボビー・ウーマック「Lookin' For A Love」(The Best of Bobby Womack/Capitol)

2024-01-26 05:26:00 | Weblog
2013年12月1日(日)

#296 ボビー・ウーマック「Lookin' For A Love」(The Best of Bobby Womack/Capitol)






ソウル・シンガー、ボビー・ウーマック、62年のファースト・ヒット。J・W・アレキサンダー、ゼルダ・サミュエルズの作品。

ボビー・ウーマックは44年、オハイオ州クリーブランド生まれ。兄弟のセシル、ハリー、カーティス、フレンドリーとともにウーマック・ブラザーズというゴスペル・グループを結成、リード・ヴォーカルを担当。トップ・シンガー、サム・クックに歌の才能を認められ、彼のプロデュースした「Somebody's Wrong」で61年デビュー。

この曲はヒットしなかったが、翌年ヴァレンティノスと改名しての第一弾シングル、この「Lookin' For A Love」がスマッシュヒット(R&Bチャートで8位)して、一躍注目される。

64年のヒット「It's All Over Now」はローリング・ストーンズにもカバーされ、全英1位のヒットになった。こちらはボビー&シャーリー・ウーマックの作品。ボビー・ウーマックはソングライターとしても一流なのである。たとえば、ジョージ・ベンスンのヒット曲「Breezin'」はもともとウーマックの作品だ。実にキャッチーで美しいメロディを多数生み出しているのだ。

それにしても、デビューして50年以上のキャリアをもつにもかかわらず、彼は日本ではあまり話題に上ることがない。数々のヒットをもち、カバーされることも多く、ストーンズ、ロッド・スチュアート&フェイセズ、マライア・キャリーといったフォロワーたちをもっているのにもかかわらず、である。ちょっと残念だ。

たしかに、サム・クック、オーティス・レディング、マーヴィン・ゲイといったソウル・シンガーたちが、早世したことも後押しとなって神格化され「伝説」となったが、彼には特にそういったカリスマ性、天才性は、ない。

だが、こうも言えるのではなかろうか。ボビー・ウーマックは長く生き続けることで、常に時代と切り結び、最新の音楽を生み出し続けることが出来たのだと。

彼はシンガーソングライターとしてだけでなく、ギタリストとしても才能を示し、ソロ活動の一方でジャニス・ジョプリン、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ロン・ウッド、ストーンズなどのアルバム制作に参加するなど、70年代以降も健在ぶりを示している。2009年には、ロックンロール・ホール・オブ・フェイムに殿堂入り。

昨年には、18年ぶりのスタジオ・アルバムをリリースしており、今後も、トップ・シンガーとしての活動が期待できそうだ。

さて、きょうの一曲。ウーマックは74年にソロでも再ヒット(R&Bチャートで1位)させており、これを聴いていただこう。あわせて、ヴァレンティノスのオリジナル・レコーディング版もどうぞ。

ウーマックの特徴ある塩辛声が印象的な、底抜けに明るいナンバー。ひたすらノリが良く、ダンサブルだ。

師サム・クックが得意だったネアカなソウル・ミュージックを引き継ぎ、聴く者をみなハッピーにさせるシンガー、それがボビー・ウーマックなのだ。。

神がかりではなくつねに一般の人々と共にいる、民衆派シンガーの歌声を、楽しんでくれ。


(62年のオリジナル版)