NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音曲日誌「一日一曲」#298 ジョニー・テイラー「Who's Making Love」(Who's Making Love/Stax)

2024-01-28 05:22:00 | Weblog
2013年12月15日(日)

#298 ジョニー・テイラー「Who's Making Love」(Who's Making Love/Stax)





ジョニー・テイラー、68年の大ヒット曲。ホーマー・バンクス、ベティ・クラッチャー、ドン・デイヴィス、レイモンド・ジャクスンの共作。

このコーナーでジョニー・テイラーを取り上げるのも、これで三回目になる。これまではブルース・シンガーとしてのテイラーにスポットを当ててきたが、今度はソウル・シンガーとしての彼も取り上げてみたい。

38年、アーカンソー州クロフォードビルに生まれたテイラーは、53年にシカゴのドゥ・ワップ・グループ、ファイブ・エコーズの一員として初のレコーディングをしている。

以来、ハイウェイQCズ、ソウル・スターラーズで63年まで活動。一時引退して牧師をしていたが、65年に復帰、メンフィスのスタックス・レコードと契約、本格的なソロ活動のスタートを切る。そしてこの「Who's Making Love」で大ブレイクを果たすのである。

R&Bチャートで1位、総合でも5位。テイラーは一躍、全国区スターになる。

その後、スタックス時代には「Jody's Got Your Girl and Gone」「I Believe in You(You Believe in Me)」の2曲でR&Bチャートのトップをとっている。

まさに、スタックス期は彼のソウル・シンガーとしての、黄金時代だったのである。

75年末にスタックスが倒産した後は、コロムビアに移籍。そこでR&Bチャート、総合ともに1位という快心のヒット「Disco Lady」を飛ばす。

いま思えば、ソウルからディスコの時代への変遷を意識した、見事な方向転換であった。

その後は、マラコへ移籍、ヒットを出すことよりも、アルバムを丁寧に作り込む方向へシフトするようになる。ゆえに、マラコ時代に名盤が多いと評価されているのだが、でも、スタックス時代の華々しさもまた、捨てがたいと思う。

「Who's Making Love」は、ブッカー・T&MG'S、メンフィス・ホーン、ピアノにアイザック・ヘイズとアラン・ジョーンズがバックに入り、レコーディングされた。プロデュースはMG'Sのアル・ジャクスン。

いってみれば、スタックス・オールスターズ。典型的なメンフィス・ソウル・サウンドをバックにつけたのだから、まあ、ウケないわけがない。

曲もいいよね。陽気なノリのわりには、歌詞はドキッとするような不倫ネタ。でもこれがいいスパイスになっている。聴いているうちに、ニヤリとすること間違いなし。

テイラーの特徴ある塩っ辛い声も、そのビターな内容に見事ハマっていると思う。

歯切れのいいリズムに、心を揺さぶるようなワイルドなシャウト。これぞソウル・ミュージックの粋であります。

80年にはブルース・ブラザーズによってカバーされ、再び注目されたナンバー。今聴いても十分イケてると思う。

2000年に亡くなるまで、ドゥ・ワップ、ソウル、ブルース、ディスコとさまざまなサウンドでその懐の深さを見せてきたシンガー、ジョニー・テイラー。彼もまた、稀代のソウル・マンだった。もう一度、そのスゴさを、45年前の音源に感じとってくれ。