エマニュエル・トッドの「西洋の敗北」という本が
本屋に並んでいたので思わず購入。
事前に知らず先週店で見つけました。
以前、「欧州の自死」という本を紹介しました。
その本は、移民大量受け入れのドイツを象徴として、
壊れていく欧州を描いたものでした。
でも、もっと大きな視点の本が出ました。
幅広い観点から書かれていて、テレビ報道のように偏らず、
西洋人視点で西洋が弱体化していく姿を捉えています。
自分のレベルだと、肌感覚で(ここ10数年、最近数年は特に)、
欧米は最近勢いがないと感じていました。
ここ数年で、さらにがくっと落ちてきた印象です。
ロシア、ウクライナから北欧、欧州中心部、そしてアメリカと、
ノルドストリームの話から政治、経済、宗教、家族制、
教育(理系)、プロテスタンティズム、市民のアトム化、ニヒリズム、
西側諸国の寡頭制化、LGBT、などがもたらす変化・・・
いやあ、もっと色々なキーワードがあったけど、大変だこれは。
一つ一つのテーマでも本を書く人がいるけれど、それらを
広くカバーし、こうも分析している本は中々ないです。
ロシアの事は権威主義的民主主義としつつも、西側諸国の
方が今や寡頭政治で深刻だと言う。
選挙で選ばれてない人たちが色々決めてるからね。
よく言われるDSって考えは、これにあたりますが、
寡頭制という言葉で言い切る人はいなかった。
自分レベルでは、現象を追いかけるだけしかできないけれど、
こういった本を読むと、目から鱗が何枚も落っこちます。
もっと早くエマニュエル・トッドの本くらい読んどけと
怒られそうですが、古い時代の本ばかり読んでいたので、
そろそろ現代に比重を置いてもいいかなと思った矢先の本でした。
でも、温故知新の言葉にあるように、古いものは大事です。
古典を読んでいたおかげで理解も深まります。これ本当です。
話は大きく逸れましたが、実際のデータや
そこから導かれる帰結など、今のメディアと正反対の
内容が書かれています。そして、メディア批判も
あります。なので自分にとっては補強の本です。
専門家とは、こうでなくては。
テレビに出る知識人は恐らく読むはずですが、彼らは
信じたいものを信じているだけです。普通の人と同じです。
でもこれを読めば、この本から影響を受けざるを得ない。
今後、こういった話題が出るのかどうかで、
テレビの未来も分かりそうです。無視されるかな・・・
それとも、トッドは極右という扱いになるんだろうか?
これはあり得る。
この本読むと、夫婦別姓問題だって、民主的で良さそうじゃん、
なんて、言えなくなるくらいになります。
LGBTもそうです。急に進めていい軽い問題ではないですね。
これを推進・既にやっている国々が、西洋であり、衰退中で、
これを地政学的にみた世界の分布が興味深い事になってます。
メディアが騒ぐ心地よい問題提起は気を付けましょう。
今後はこうだよ、遅れるよ、欧米見習いなよ・・・って、
それをやってる欧米が何故に弱っていくのか、
いろいろ考えさせられる本です。
日本は日本で進む道を決めないと、何時までの欧米の
価値観に振り回されて自分たちを見失ってしまうと、
主権のないままの国になって漂流します。