今年春に入手していた1935(昭和10)年発行「福岡市消防施設完成」写真帖のデジタル化をようやく終えました。
昭和8年の「福岡市消防組宣言」を経ての消防団と施設の完成記念写真集、当時のはしご車や火の見櫓施設などに加えて、消防出初式なども豊富です。
掲載写真を過去の博物館展や回顧写真集などでも見たことがないので、けっこう貴重かもしれません。また、消防組織の役員や消防団の方々の肖像写真・集合写真も豊富で、昭和初期の福岡市発展を支え名前しか知らなかった方々の肖像を把握できました。
場所の解読も進めていますが、1枚目・4枚目は埋め立てが完了したばかりの長浜一帯(博多築港大博覧会会場予定地)ですね。1枚目後方には松屋百貨店の航空灯台も見えます。
5枚目は那珂川西中島橋沿い(福岡ホテル=旧福岡日日新聞社屋の建物も見えます)。いずれも写真の部分トリミングで、実際には消防訓練などのワイド写真が20点ほどあります。同時期に発行され、同じく過去の郷土写真集や企画展などで拝見した事のない膨大な写真が掲載された「福岡市郷土写真帳」とともに、今後の研究課題がまた一つ増えました。
福岡市の場合、1945(昭和20)年の福岡大空襲などでこれら資料の多くは消失しており、個人所有で現存するものもわずかな様子です。