1月16日に放送され録画していたブラタモリ「#27 熱海」をやっと観ました。表記はありませんでしたが吉田初三郎「熱海温泉理想郷桃山案内」鳥瞰図が解説に使われていて歓喜!
最初流し見した時は「あれ、肉筆原画?」と疑ったものの、折本(パンフ)特有の折れ目があり印刷物と確認。手持ちの同図を改めて広げてみました。
現在は有名企業の療養所などが連なる一帯、この図にはもっと貴重な「丹那トンネル」描きこみもありますが、放送では残念ながら触れず。
熱海一帯の交通体系を変えターニングポイントとなった丹那トンネルですが、開通は1934(昭和9年)。しかしこの図には完成したかのように描かれています。調べてみると、当初はこの図が描かれた1925(大正14)年に完成予定だったんですね。
これは初三郎の鳥瞰図が依頼主の希望に合わせて、完成予定などの「近未来」を描いていることの象徴的な事例。研究者や郷土史家は、初三郎図など観光鳥瞰図を資料とする際に、記載を鵜呑みにせず心して確認せねばないわけです。
これ、実はイベントのポスターやチラシ、新聞の記事も同様です。地震や台風、事故など予期せぬアクシデントで行事が中止になるのはよくあること。予告やお知らせの記事や資料、計画発表記事などがあったとしても、それが実際に実現したのかは別問題。この点はデータベース化やアーカイブが進んでも、読み解く側が労力を惜しむと間違いを犯しがちかもしれません。