記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

究極のサービスを達人に学び、自分で考えたこと。

2007年07月27日 21時39分26秒 | まちづくり
 25日夜、久々に九州ベンチャー大学に参加した。主催の栢野氏が家族世界一周
行脚から帰って初めての参加である。今回はゲストが高萩氏だったので、どうし
ても参加したかった訳である。知っている人は知っている、高萩氏は旬の人。6月
の「ガイアの夜明け」にあのリッツカールトン・ホテルとともにサービスを極める
人として取り上げられた。

あなたの夢をかなえる旅行術

 氏は私と同じ大分県出身で年も近く、以前「博多非凡会」でご一緒してから身近
な注目人であった。大手旅行代理店出身ながら、旅行会社が避けるような、動けな
い高齢者や障害のある方に対して社会が持っている身近な「バリア」を取り除き、
依頼主の「旅行」「夢」を叶える仕事をしている。一人ひとりの希望や潜在願望を
詳細な聴き取りで拾い出し、「旅」を通した依頼人のオーダーメイドな人生を支援
している。

 氏が実体験から語る「サービス」の本質は、アタマの中で判っているつもりでも
なかなか実行できるものではない。しかし氏の巧みな話術も加わり、「あ、それな
ら自分にもできるかもしれない」と思ってしまう、納得してしまうのである。

売れるサービスのしくみ

 講演は期待通り、サービスの本質=ボランティア精神とイコールではないこと。
サービスを継続させるための方法=できることを明らかにし、ムリをしないこと等
々、実にシンプルな発想で私が最近抱えていた悩みを取り払ってくれた。

 私が最近ずっと気になっていることを、帰り際に高萩氏に少し話した。自分の母
親も含めて、田舎に暮らす年輩者の多くが「旅」をしたくてもきっかけが無いと動
く意欲を持てないこと。また都会に暮らす年輩者の多くが、動けなくなり亡くなる
前に「もう一度、故郷に行きたい」「自分のルーツを辿りたい」等を考えているこ
と。これは冷泉での聴き取り、吉田初三郎の作品探しや絵葉書資料の取材で常に聞
こえてきた声である。

 実際にはそれらを実行するには壁=バリアが多い。自力で遠出をすることが困難
なこと、身内に頼むと身内がムリをし大変になるのではないかという気兼ね。そし
て社会構造や交通インフラなどが基本的に年輩者を対象として構築されていないこ
とがある。ボランティアでできることには限りがある。善意で対象者に接している
以上、善意を受ける方には本当にしてほしい事があっても「迷惑かも」と遠慮して
いる事実がある訳だ。

 しかし、それが多少なりとも対価を払って「サービス」として接してもらうので
あれば、文句も言えるし多少無理なことでも相談しやすい。また、現在は核家族化
が進み、自分の祖先のことはもちろん、両親がどんな生き方をしてきたのかすらよ
く知らない若い人が増えている。昔は代々家に伝わる作法や礼儀、しきたり等は家
の中で伝えられていたが、今はそれを望めない。

 冷泉の戦後史の聴き取りをした際にも、時代が新しくなるほど、実は町の出来事
や情報が曖昧になっていった。昔のことは代々引き継いだことも含めて知っている
のだが、高度成長期以降となると家業を継ぐのではなく、サラリーマン世代が多く
なり、当然サラリーマンをしている間は家のことは判らない訳だ。定年となり地元
に戻ると、ほとんど浦島太郎状態なのである。

 高萩氏も自分の母に「母の人生」について聴いてみたいのだが、なかなか面と向
かって聴くきっかけが無いと言われた。これは私も同感で、苦労した時代を語りた
がらない年輩者、身内の話はやはり聴いておくべきだと思う。自分のルーツがどこ
にあるのか、それは年齢を重ねるごとに気になってくるもの。若い人が自分探しを
するのと根本は同じである。

 自分が生きてきた証を後世へ、子孫へ伝えたいと思う人はどれくらいいるのだろ
う。堂々と伝えたいと言えないまでも、自分を思い出してもらえるような写真や遺
品はあるだろう。家族の古い写真を親子で観ながら、写真一枚一枚に込められた時
間や想い出を語り合い聴いておこうと思う。それができない方、すでに語り合えな
い方がルーツを辿るお手伝いができたら、こんな素敵なサービスはないのでは?と
考えた。

今日の写真は、築上郡黒土村(現・豊前市久路土)昭和2年の絵葉書。
米国民と日本人との友好の証として米国から日本へ送られた「青い目の人形」
がこの地へも届き、記念して撮影された1枚。この写真の中央右の方はご健在、
当時のことを懐かしそうに語ってくれた。多少ボケが入っていても子どもの頃
のことは特に憶えているとのこと。

アンティーク絵葉書に観る懐かしの風景・町並み
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鳥瞰図絵師・前田虹映

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