②からの続きだよー
終点の三峰口駅に着いたSLパレオエクスプレスが折り返すまで1時間11分あります。
地方ローカル線でダイヤが薄いというのもあるけれど、なにより蒸気機関車は着いてすぐ反対方向に発車、というわけにはいきません。
駅前にあるのは2軒ほどの飲食店と床屋さん。
終端駅の雰囲気に満ちていてとても魅力的な駅ではありますが、都会的感覚で言えば失礼ながらなーんにも無い。
バスに乗りパワースポットとしても有名な三峰神社に向かう人以外のほとんど人は同じ場所に向かいます。
駅から踏切を渡り5分弱の公園。
その名の通りここまでパレオエクスプレスを引っ張ってきたC58をくるりと熊谷方向へ180度向きを変えるのです。
転車台(ターンテーブル)に入る前には水の補給と点検作業を見ることができます。
軸や可動部にオイルを差しているようですね。
どこからか来た鼻がめっちゃ高い西洋人と通訳の人がこのメンテナンススタッフに話しかけ写真も撮っている。
オイルメジャーの派遣員か?
冬には積雪凍結もある秩父山間部。
唯一凍らない機関車用オイルを開発したもののかえってそれが海外オイルメジャーの反感を買い妨害してくるように……
何の話かって?
「海賊とよばれた男」にそんなエピソードがあったなーと。
黒光の車体に金色に輝くマスコンハンドルにブレーキレバー、そして各種バルブが実に美しく艶かしい。
13時30分ころに転車台に侵入してきました。
重量のあるSLが転車台に乗った時の軋み音やレールの位置をピッタリと合わせるロック機構、そして切り替えのポイント作動が目の前で見れて電車大好き男の子もかつて男の子だったお父さんたちも大興奮です。
大宮の鉄道博物館でも転車台は一番の目玉として日に何度も回していますが、営業運転用として生きている転車台は迫力があります。
雨が降っていたら駅ホームから写真を撮ろうと望遠レンズを持ってきたけれど、これは傘をさしてでも目の前で見るべきものですね。
山に囲まれた立地なので虫が多く、夏場は虫除けが必須ですが。
向きを変え転車台を出たC58-363が機回し線を使い編成の先頭に付く動きに合わせて観客もゾロゾロと移動。
既に先頭にC58-363が連結されて発車を待っている折り返し14時05分発下りパレオエクスプレス「SL 崩壊:スターレイル」号に乗って戻ります。
往路と違って復路の乗車率は三峰口から秩父間では3割ほど。
途中から乗ってくる人も秩父や長瀞から乗ってくる人も多いのでしょうけれど、往路と違って崩壊:スターレイルのグッズ配布がこちらは無いからか乗車率は3割ほど。
秩父や長瀞から埋まる座席を入れても半分近くが空席となるようです。
そのためか往路の熊谷駅と違ってとてものんびりした雰囲気。
撮りたい写真があるので今度は最後尾車両に乗ります。
地図を見ながら最適な場所を選定。
窓を開けてスマホのレンズ部を差し出すと、
狙った通りの写真が撮れました。
単線なのでこちら側に架線柱が無いことも確認してこの場所を狙いました。
先の見通しがきかない場所も多く汽笛の音が時折聞こえます。
実を言うとあまりSLには興味は無く、ELやDLの方が好きだったのですが、今日1日でSL好きになった気がします。
シリンダーが蒸気を吐きながらピストンを動かしロッドに動きを伝えて大きな車輪を回す。
実際の出力値では無い見た目のパワフルさに魅せられしましたよ。
前後で表情が変わるのも良いよね。
復路は熊谷駅まで乗り通さず秩父駅で下車。
初めての秩父訪問。
街を歩きます。
(④に続くよー)