一橋大学イノベーション研究センター教授の米倉誠一郎さんの「日本の競争力の強化のために」という講演を拝聴しました。
研究・技術計画学会が開催した公開シンポジウム「日本の競争力強化のためのイノベーションの実現に向けて」の中で、基調講演として講演されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/cf/3ee181f5e5d9d86335f6d2191bb3236f.jpg)
登壇すると、元気な声でお話を始めました。偶然、一橋大学本館で「犯罪学会も講演会を開催しており、最初は間違えて行ってしまった」と笑わせます。最初に映し出された講演タイトルは「創発的破壊」となっており、事前に公表されたものとは違っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/7c/a1c4f044304c8679bd71393f1f15fa9f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/49/721ee4e13a6db8b14669083c9c69def4.jpg)
「現在、日本の市場は消費層の中心である団塊の世代が60歳を超え、相当数がリタイアし始め、購入意欲を減らし、日本の市場が小さくなっている」と、現在、日本の電機メーカーが事業収益を落とし、事業赤字が増えている理由を説明します。
以下は、米倉さんの解説です。「日本は戦後の1947年当時の特殊出生率(大まかには、女性1人が産む子供の数)は4.54人と多数の子供が産まれていた。この結果、戦後数年間に子供が多数生まれて団塊の世代が形成された。1973年当時でも、特殊出生率は2.14人と2人を超えていて、人口は増えていた。この結果、日本の高度成長期には、多くの家庭がテレビ・洗濯機・冷蔵庫の“家電・三種の神器”や車を購入し、日本の市場は成長し、電機メーカーや自動車メーカーは成長した」のです。
ところが、「1996年になると日本の特殊出生率は1.42人と大幅に減少し、日本の市場は小さくなった。日本市場は少子高齢化によって収縮し始めているにもかかわらず、2000年以降も、日本の電機メーカーは市場が収縮している日本市場向けに製品を投入し続け、販売先を見誤った」と解説します。
「日本は貿易立国と考えている人は多いが、輸出比率データを調べると、あまり高くなく、国内マーケット重視で事業化を進めてきた。2000年以降の日本の携帯電話機(通称“ガラケイ”)は国内市場向けに開発され、販売されてきた。世界市場でみれば、日本の全メーカーの携帯電話機のシェアはわずか約3%弱しかなかった」そうです。この時点で、日本国内ではなく海外市場、時に人口が増え、市場が成長している中国やインドなどのBRIC'sなどの成長市場向けに参入することが大事だった」そうです。このことから、2000年ぐらいから、日本の電機メーカーは事業収益を高めるためにリストラを本格化したために、実は付加価値率を下げていったと分析します。
「日本が復活するには、ある程度の内需、優秀な労働力、高い教育・集団行動力を持っているので、成長市場向けのユーザーが求める製品を開発するイノベーションを起こすことが必要になる」と説明されます。
以下、発言内容を簡潔にたどると「日本はICT(情報通信技術)やセンサー、省エネ設計、ビッグデータなどを生かして、成長市場のユーザーが求めている製品を投入する。供給サイドと需要サイドの両方でダブル・イノベーションを起こすことで、日本は再起できるだろう」といいます。話は飛んで、将来の日本は「分権化された都市国家になるだろう」と予言します。
講演の中で、海外に行って日本の実情に詳しい方に「日本はイノベーションを起こすリーダーはいるのか」と質問されると、「毎年、首相を変えるぐらいリーダー人材はいると答える」とのジョークを飛ばし、「欧米に比べて、日本は女性を活用していない」との指摘に対しては、「日本は今後の切り札して、優秀な女性人材をとってある」とジョークで返しているそうです。
米倉誠一郎さんは才気あふれる方でした。
研究・技術計画学会が開催した公開シンポジウム「日本の競争力強化のためのイノベーションの実現に向けて」の中で、基調講演として講演されました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/cf/3ee181f5e5d9d86335f6d2191bb3236f.jpg)
登壇すると、元気な声でお話を始めました。偶然、一橋大学本館で「犯罪学会も講演会を開催しており、最初は間違えて行ってしまった」と笑わせます。最初に映し出された講演タイトルは「創発的破壊」となっており、事前に公表されたものとは違っていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/7c/a1c4f044304c8679bd71393f1f15fa9f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/49/721ee4e13a6db8b14669083c9c69def4.jpg)
「現在、日本の市場は消費層の中心である団塊の世代が60歳を超え、相当数がリタイアし始め、購入意欲を減らし、日本の市場が小さくなっている」と、現在、日本の電機メーカーが事業収益を落とし、事業赤字が増えている理由を説明します。
以下は、米倉さんの解説です。「日本は戦後の1947年当時の特殊出生率(大まかには、女性1人が産む子供の数)は4.54人と多数の子供が産まれていた。この結果、戦後数年間に子供が多数生まれて団塊の世代が形成された。1973年当時でも、特殊出生率は2.14人と2人を超えていて、人口は増えていた。この結果、日本の高度成長期には、多くの家庭がテレビ・洗濯機・冷蔵庫の“家電・三種の神器”や車を購入し、日本の市場は成長し、電機メーカーや自動車メーカーは成長した」のです。
ところが、「1996年になると日本の特殊出生率は1.42人と大幅に減少し、日本の市場は小さくなった。日本市場は少子高齢化によって収縮し始めているにもかかわらず、2000年以降も、日本の電機メーカーは市場が収縮している日本市場向けに製品を投入し続け、販売先を見誤った」と解説します。
「日本は貿易立国と考えている人は多いが、輸出比率データを調べると、あまり高くなく、国内マーケット重視で事業化を進めてきた。2000年以降の日本の携帯電話機(通称“ガラケイ”)は国内市場向けに開発され、販売されてきた。世界市場でみれば、日本の全メーカーの携帯電話機のシェアはわずか約3%弱しかなかった」そうです。この時点で、日本国内ではなく海外市場、時に人口が増え、市場が成長している中国やインドなどのBRIC'sなどの成長市場向けに参入することが大事だった」そうです。このことから、2000年ぐらいから、日本の電機メーカーは事業収益を高めるためにリストラを本格化したために、実は付加価値率を下げていったと分析します。
「日本が復活するには、ある程度の内需、優秀な労働力、高い教育・集団行動力を持っているので、成長市場向けのユーザーが求める製品を開発するイノベーションを起こすことが必要になる」と説明されます。
以下、発言内容を簡潔にたどると「日本はICT(情報通信技術)やセンサー、省エネ設計、ビッグデータなどを生かして、成長市場のユーザーが求めている製品を投入する。供給サイドと需要サイドの両方でダブル・イノベーションを起こすことで、日本は再起できるだろう」といいます。話は飛んで、将来の日本は「分権化された都市国家になるだろう」と予言します。
講演の中で、海外に行って日本の実情に詳しい方に「日本はイノベーションを起こすリーダーはいるのか」と質問されると、「毎年、首相を変えるぐらいリーダー人材はいると答える」とのジョークを飛ばし、「欧米に比べて、日本は女性を活用していない」との指摘に対しては、「日本は今後の切り札して、優秀な女性人材をとってある」とジョークで返しているそうです。
米倉誠一郎さんは才気あふれる方でした。
ユーザーが欲しがるスペックの商品でないと、売れないのは自明なことだと思いますが・・。
こう考えると、韓国、台湾、中国の新規の電機メーカーが登場すれば、競争が激しくなりのは当たり前です。
以前、米国で起こったことが、現在、日本で起きているといえます。
こうしたリスクをとって、成長市場に打って出る企業が増えるかどうかを注目したいと思います。