ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

遅まきながら、“温故知新のイノベーション本”を読み直し始めました

2012年06月07日 | 日記
 2012年6月4日の東京株式市場で日経平均株価が8295円63銭との歴史的な安値水準になり、日欧米などの“世界的な株安”傾向を反映した動きとなりました。その原因は欧州経済の不安と中国の成長の鈍化などといわれています。

 日経平均株価の下落を象徴するのは、ソニーの株価が32年振りに1000円を割り込み、パナソニックの株価が500円を割り込んだことです(過去の株式分割は考慮)。

 6月5日発行の日本経済新聞紙の朝刊は中面のコラムで、「ソニーの株式時価総額が、米アップル社の約41分の1、韓国サムソン電子の13分の1になり、ソニー株は歴史的な低迷期にある」と解説しています。そして問題は「消費者の嗜好(しこう)を先取りした製品を生み出す力」を示していないために、日本企業の競争力が低下していることを反映したものと分析しています。

 最近、2007年7月に発行された「技術とイノベーションの戦略的マネジメント 第4版」(発行は翔泳社)という教科書を読み直し始めました。


  
 米国で発行された「Strategic Management of Technology and Innovation Fourth Edition」という“教科書”の翻訳本です。米国で始まったデジタル革命では「1990年中旬から急激に普及したインターネットによって、米国は再びイノベーションの中心になった」と序文で語っています。米国の大学・大学院などのマネジメント系の教科書である原書を翻訳した本書は上・下巻で約1500ページもあり、かつ中身をよく知らない概念の説明が多く、あまり読みやすい教科書ではありません。

 再読し始めてまだ、上巻の半分ぐらいですが、改めて1970年から1980年代には米国の企業は新しい科学知識に基づく革新的な製品を出し続けていたことを再確認しました。本書では“イノベーター”と呼ぶこうした先進企業も、既存の大手企業との争いに負け、最初の市場形成には成功しても、量産設備や量産に向けた投資ができる大手企業に成長期以降は市場をとられていく仕組みが解析されています。この大手企業の中には、製品の量産が得意な日本企業も含まれています。「当初の“イノベーター”のデザイン(設計仕様)は流動的であり、その後の量産期にデザイン変更が行われ、量産に適したデザインに変更される」と説明しています。

 各ケーススタディー(学術誌に掲載した論文)の中身は、こんなに単純ではありませんが、現在の日本企業の“競合相手”の韓国や台湾などの企業(相手はもう日本企業をライバルとは思っていないかもしれませんが)との関係に投影できます。

 米国ロサンゼルス市で6月5日~7日(現地時間)に開催されている世界最大級のコンピューターゲームの展示会・見本市のElectronic Entertainment Expo(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ、略称はE3)に先立つプレ発表会では、ソニー・コンピュータエンタテインメントは携帯型ゲーム機「PSP」の後継機の「PlayStation(PS) Vita(ビータ)」の概要を発表しています。



 さらに同社は書籍型周辺機器「ワンダーブック」とその第一弾対応ソフトウエア「ワンダーブック:ブックオブスペルズ」のデモも披露したそうです。「ワンダーブック:ブックオブスペルズ」は、ハリー・ポッターの作者のJ.K. ローリングさんと共同開発したものでした。

 同様に、任天堂は「E3」に先立つ発表会で、次世代の据え置き型ゲーム機「Wii U」が仲間とのゲームの楽しみ方を変えるだけでなく、テレビの楽しみ方を変える「リビングルーム革命をもたらす」と発表しました。

 日本企業が「消費者の嗜好を先取りした製品を生み出す力」を維持してるのか、あるいは再び持ち始めているのかどうかが問われる試金石の一つになりそうです。

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