ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

早池峰ダム

2016-05-09 09:45:00 | 岩手県
2016年5月2日 早池峰ダム
 
早池峰ダムは岩手県花巻市大迫町内川目の北上川水系稗貫川にある岩手県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、稗貫川の洪水調節、安定した河川流量の維持と花巻市への上工水用水の供給、岩手県企業局早池峰発電所での最大1400キロワットのダム式水力発電を目的として2000年(平成12年)に竣工しました。
建設途上の1994年(平成6年)に『地域に開かれたダム』に指定され、ダム湖畔各所が園地として整備されているほか道の駅が置かれるなどダム湖一帯がレクリエーションエリアとなっています。
 
大迫から県道43号を北上すると早池峰ダムに到着します。
ダム右岸に管理事務所と駐車場があり、ここに車を止めて見学をします。
丸みを帯びたエレベーター棟とずらっと並ぶ自由越流式洪水吐が特徴。
 
左は取水設備、右はエレベーター棟
天端は歩行者のみ通行可能。
 
管理事務所も丸みを帯びたデザインで、資料展示室が併設されています。
 
ダム湖(はやちね湖)
奥に冠雪した早池峰山がわずかに頭を見せています。
 
減勢工
右手は早池峰発電所。
オリフィスから放流されています。
 
東北とはいえ豪雪地域ではないため水位は低くなっています。
 
右岸展望台から
ダム湖畔は公園になっており、対岸には道の駅もあります。
 
堤体直下への遊歩道があり下りてみます。
 
エレベーター棟は北海道でよくみられる灯台のよう。
内側に折れた導流壁も早池峰ダムの特徴です。
 
ずらっと並ぶ自由越流式洪水吐は壮観です。
早池峰発電所は岩手県企業局の運営です。
 
ダムの規模が大きく、周辺整備も進みダム湖畔には道の駅もあります。管理事務所には資料展示室が併設されており、さながら国交省直轄ダムと見まがうばかりの充実ぶりです。
そのため、予定では1時間程度で見学を終えるつもりが3時間もダムに滞在することになりました。
時間に余裕があるなら、一日過ごしても飽きないダムです。
 
追記
早池峰ダムには洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0274 早池峰ダム(0358)
岩手県花巻市大迫町内川目
北上川水系稗貫川
FNWIP
73.5メートル
333メートル
17250千㎥/15750千㎥
岩手県県土整備部
2000年
◎治水協定が締結されたダム

日向ダム

2016-05-09 09:30:00 | 岩手県
2016年5月2日 日向ダム
 
日向ダムは岩手県釜石市甲子町の二級河川甲子川水系小川川にある岩手県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、釜石市を東西に貫く甲子川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的に1997年(平成9年)に竣工しました。
 
堤体直下は公園で、ちょっとした遊具も設置されています。
洪水吐はクレスト自由越流頂6門と自然調節式オリフィス1門
オリフィスゲートから放流中です。
 
治水ダムのためオリフィスの位置がずいぶん低くなっています。
 
天端は歩行者のみ通行可能
 
高欄には釜石の花であるハマユリの装飾。
 
減勢工
堤体直下は公園になっていてすぐ先には民家があります。
 
ダムを周回する遊歩道があり、バックフロントにも公園があります。
花桃が満開で花見をしている人もいます。
 
ダム湖に架かるふれあい大橋
 
松とダムがよく似合っています。
水位は低いですが、治水ダムのためこれで常時満水位。
 
綾里川ダム同様管理事務所がは資料館を兼ねています。
ここも平日ということで管理人さんが駐在されダムカードをもらうことができました。
 
0269 日向ダム(0357)
岩手県釜石市甲子町
甲子川水系小川川
FN
56.5メートル
290メートル
5700千㎥/5000千㎥
岩手県県土整備部
1997年

綾里川ダム

2016-05-09 09:15:00 | 岩手県
2016年5月2日 綾里川ダム
 
綾里川ダムは岩手県大船渡市三陸町綾里坂本の二級河川綾里川にある岩手県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、綾里川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、大船渡市綾里地区への上水道用水の供給を目的として2000年(平成12年)に竣工しました。
堤体直下は公園として整備され、直接堤体に触れることができます。
またダム管理所は県営ダムとしては珍しく資料館を兼ねています。
 
堤体直下から
減勢工直下の河原に下りることができます。
 
オリフィスから放流、堤体にタッチもできます。
 
天端は車両通行禁止
 
小さなダム湖。
周囲の山桜がちょうど満開です。
 
減勢工
 
右岸から
 
上流側
 
ロッジ風のダム管理所は展示室・資料室も兼ねています。
この日は管理人さんが駐在されておりカードを頂けました。
 
洪水調節と綾里地区の水源を兼ねる小さなダムですが、ダム周辺はきれいに整備され好感度の高いダムです。
 
2949 綾里川ダム(0356)
岩手県大船渡市三陸町綾里坂本
綾里川水系綾里川
FNW
43メートル
154メートル
486千㎥/445千㎥
岩手県県土整備部
2000年

鷹生ダム

2016-05-09 09:00:00 | 岩手県
2016年5月2日 鷹生ダム
 
鷹生(たこう)ダムは岩手県大船渡市日頃市町の二級河川盛川水系鷹生川にある岩手県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、鷹生川及び盛川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、大船渡市への上水道用水の供給を目的として2006年(平成18年)に竣工しました。
また河川維持放流を利用した管理用小水力発電も行っています。
ダムの北には名峰五葉山がそびえ周辺は県立自然公園に指定されており、ダム湖(五葉湖)一帯も日帰り温泉等レクリエーションエリア施設が充実しています。
 
ダム下流から
小水力発電所ができ、これ以上先は立ち入り禁止です。
 
右岸から
煙はダム下流の工場の煙突から。
 
円筒形のエレベーター棟は中世ヨーロッパの城郭のようです。
 
上流面
東北とはいえ太平洋沿岸で雪に縁はなく、水位は低くなっています。
 
ダム湖(五葉湖)
湖畔各所に公園が整備され、最奥には日帰り温泉施設があります。
 
減勢工
右手は管理用の小水力発電所
写真左奥に煙の原因となる工場があります。
 
右岸上流から
 
県営ダムでは珍しい資料展示スペースがあります。
 
2923 鷹生ダム(0355)
岩手県大船渡市日頃市町
盛川水系鷹生川
FNW
77メートル
322メートル
9680千㎥/9000千㎥
岩手県県土整備部
2006年

遠野ダム

2016-05-09 08:50:00 | 岩手県
2016年5月2日 遠野ダム
 
遠野ダムは岩手県遠野市遠野町の北上川水系来内川上流部にある岩手県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
遠野市街を南北に貫流する来内川は洪水被害が多い一方河川改修による治水は困難なことから、防災ダムによる治水が図られ1957年(昭和32年)に完成したのが遠野ダムです。
遠野ダムは岩手県で初めて建設省(現国交省)の補助を受けた補助ダムとして建設されました。
しかしその後も計画を上回る洪水被害が発生したことから2010年(平成22年)に当ダム下流1.5キロ地点に新たに遠野第2ダムが建設されました。
 
左岸から
1957年(昭和32年)竣工の古いダムでコンクリートの打設面などがビンテージダムの雰囲気を醸し出しています。
クレストは自由越流式ゲート
コンジットに2門のゲートがあり流入量がそのまま流下するいわゆる『穴あき』ダムです。
 
天端は徒歩のみ通行可
 
上流面
 
流入量に合わせて放流が行われています。
 
総貯水容量103万立米のうち有効貯水容量92万立米はすべて洪水調節容量です。
ダム湖に溜まっている水は堆砂容量および死水容量分11万立米となります。
 
右岸から
 
0241 遠野ダム(0354)
岩手県遠野市遠野町
北上川水系来内川
26.5メートル
181.5メートル
1030千㎥/920千㎥
岩手県県土整備部
1957年

遠野第2ダム

2016-05-09 08:45:00 | 岩手県
2016年5月2日 遠野第2ダム
 
遠野第2ダムは岩手県遠野市遠野町の北上川水系来内川にある岩手県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
遠野市街を南北に縦断する来内川は洪水被害が多く1957年(昭和32年)に上流部に治水専用ダムの遠野ダムが建設されました。しかしその後も洪水が絶えなかったことから2010年(平成22年)に市街地直上に建設されたのが遠野第2ダムです。
遠野第2ダムは国交省の補助を受けた補助治水ダムで、遠野ダムと連携した来内川の洪水調節、安定した河川流量の維持を目的としています。
河川流量が増大した際には当ダムで水量をカットし、カットされた水は市街地を避けトンネル導水路で直接猿ヶ石川に放流させる仕組みになっています。
 
ダムに到着したのは朝の6時半、山にはまだガスがかかっています。
まずは下流から
 
オリフィスからの放流。
 
堤高は高くありませんが複雑な構造になっています。
 
洪水の際には左岸にあるトンネル式の導水路で、水を下流の猿ヶ石川に逃す仕組みになっています。
 
トンネルをズームアップ。
 
天端は車両通行禁止、左岸に管理事務所があります。
 
一番左岸よりの越流面が低くなっており、水位が上がるとここからトンネル式導水路に水が流れる仕組みです。
 
遠野第2ダムの説明板
 
 
(追記)
遠野第2ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3071 遠野第2ダム(0353)
岩手県遠野市遠野町
北上川水系来内川
FN
23.1メートル
87.5メートル
248千㎥/221千㎥
岩手県県土整備部
2010年
◎治水協定が締結されたダム