ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

正善寺ダム

2016-05-24 13:00:00 | 新潟県
2016年5月22日 正善寺ダム
 
正善寺ダムは新潟県上越市上正善寺の一級河川関川水系正善寺川にある新潟県土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、正善寺川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、上越市への上水道用水の供給を目的として1984年(昭和59年)に竣工しました。
 
上越市春日山町から県道200号で西に向かうと正善寺ダムに到着します。
クレスト自由越流頂12門、中央ゲートに切欠きがありこれがオリフィスになるようです。
一方堤体下部には利水放流用ジェットフロートゲートがあり、河川維持放流が行われています。


右岸から
堤体下流面の傾斜が緩くなっています。
これはダム建設地点に脆弱地盤があり、ダム下流側全体をフィレットとするために傾斜を緩くしています。


右岸高台から
右手が管理事務所、天端は徒歩のみ開放。

ダムサイトの記念碑。

天端から
中央ゲートの切欠きに合わせて導流部に溝があります。

天端に置かれた予備ゲート。

ダム湖は正善寺湖で総貯水容量460万立米。

右岸の艇庫とインクライン。


左岸から
このアングルで見ると下流面の傾斜の緩さが実感できるでしょう。

上流面。

正善寺ダムのもう一つの特徴はこの取水設備。
ヒンジアーム方式で、このワイヤーで水中の取水設備を上下させて選択取水を行います。

上流から

ダム周辺はアジサイが有名で梅雨時期には多くの人出があるようです。
一方で水中に没した取水設備がどういう構造なのかも気になるところです。
 
(追記)
正善寺ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
0778 正善寺ダム(0405)
新潟県上越市上正善寺
関川水系正善寺川
FNW
47メートル
187.5メートル
4600千㎥/4000千㎥
新潟県土木部
1984年
◎治水協定が締結されたダム

後谷ダム

2016-05-24 12:00:00 | 新潟県
2016年5月22日 後谷ダム
 
後谷ダムは新潟県上越市後谷の桑取川水系網子川にある新潟県企業局が管理する上水・発電目的の重力式コンクリートダムです。
上越市西側山間部を南北に貫流する名立川や有間川は豊富な水量を有する一方灌漑利用が少なく昭和30年代半ばまで未開発状態でした。
高度成長による電力需要拡大を受け新潟県企業局は両河川の包蔵水力に着目し電源開発に着手、これに水道事業者として当時の高田市と直江津市が事業参加し1968年(昭和43年)に後谷ダムが竣工しました。
後谷ダムは取水及び発電調整池ダムで、名立川や桑取川などで取水された水が当ダムで貯留されたのち高田発電所(最大出力1万1500キロワット)および新高田発電所(1984年増設、最大出力2500キロワット)に送られ、ダム水路式発電を行った後、城山浄水場経由で上水として供給されます。
なお新潟県には「後谷ダム」が2基あり、もう1基は柏崎市の灌漑目的のアースフィルダムとなります。
 
右岸から
利水ダムということで洪水吐はクレスト自由越流頂2門だけ。
堤体や導流部の苔が竣工以来の時間経過を感じさせます。
 
下流から
 
右岸から
本体は立ち入り禁止です。
 
堤体は屈曲、『カド』のあるダムです。
 
手前が高田発電所への取水口。
 
対岸に名立川や桑取川からの導水路流入口があります。
発電所の最大使用水量は毎秒最大1.6立米なので、少なくとも毎秒1立米以上の水が流入しています。
 
合併により今は無き直江津市や高田市の名が残るプレート
 
0757 後谷ダム(0404)
新潟県上越市後谷
桑取川水系網子川
WP
20.3メートル
76メートル
86千㎥/68千㎥
新潟県企業局
1968年

柿崎川ダム

2016-05-24 11:00:00 | 新潟県
2016年5月22日 柿崎川ダム
 
柿崎川ダムは左岸が新潟県上越市柿崎区松留、右岸が同区上中山の二級河川柿崎川本流にある新潟県土木部が管理する多目的ロックフィルダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、柿崎川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、上越市への上水道用水の供給を目的として2003年(平成15年)に竣工しました。
本体工事は1989年(平成元年)に着手されますが、建設途中にダム基盤で亀裂やひび割れが発生しその対策に3年の年月を要したことで工事は大幅に遅延、完成までに14年の年月がかかりました。
 
柿崎川ダムは県道25号線沿いにありアプローチは簡単です。
ダム下から
洪水吐直下まで接近できます。


ダムサイトの諸元表。


竣工記念碑。


下流面
奥に洪水吐斜水路が見えます。

歩車分離の広い天端ですが車両は規制され徒歩のみ開放
照明や高欄など手が込んでいます。


天端からダム下を望む
中央の建屋は放流設備。右手の小さな建屋は監査廊入り口。


『かきざき湖』と命名されたダム湖は総貯水容量500万立米
堤体積が160万立米もあるので貯水効率はいいとは言えません。


堤高は54メートルながら堤頂長は424メートルに及びなかなかのスケール。


右岸県道沿いに管理事務所、取水設備、繋留設備が並びます。
奥に聳えるのは米山。


管理事務所と取水設備をズームアップ
取水設備は補助ダムでは珍しい傾斜式。


洪水吐斜水路
減勢工にはシュートブロックとエンドシルを配置。
奥は放流設備。


洪水吐は常用・非常用一体型で奥のスリットが常用洪水吐になります。


上流から見た洪水吐。

事業着手がバブル絶頂期ということもあり天端の設えなど各所に手の込んだ作りが見られ、今どきの大量生産型ダムとは一線を画しています。

0784 柿崎川ダム(0403)
左岸 新潟県上越市柿崎区松留
右岸        同区上中山
柿崎川水系柿崎川
FNW
54メートル
424メートル
5000千㎥/4100千㎥
新潟県土木部
2003年