ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

高根第二ダム

2016-10-17 21:17:00 | 岐阜県
2016年10月15日 高根第二ダム
 
高根第二ダムは岐阜県高山市高根町下之向の一級河川木曽川水系飛騨川にある中部電力が管理する発電目的の中空重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編成により新たに誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため各地で新規電源開発に邁進、包蔵電力豊富な飛騨川では1953年(昭和28年)に朝日ダム秋神ダム、1962年(昭和37年)に久々野ダムを建設します。
一方1960年代より発電の主力は火力に移りますが、電化製品の普及による電力需要の日量格差拡大受け余剰電電力の有効利用が可能な揚水式発電が着目されます。
中部電力も飛騨川最上流部への新規揚水式発電所建設に着手し1968年(昭和43年)に竣工したのが高根第二ダムです。
当ダムを下部調整池、翌年に完成した高根第一ダムを下部調整池とする高根第一発電所で最大34キロワットのの混合揚水式発電を行うほか、高根第二発電所で最大2万5100キロワットのダム水路発電を行います。。

高山市から国道361号を東進、道の駅『飛騨たかね工房』を過ぎ下之向橋で右手の側道に入ると高根第二ダム直下に到着します。
クレストは2門のラジアルゲート、減勢工はジャンプ台式。
 
堤体頂上部まで傾斜が付いているのが中空式の特徴です。
向かって左に高根第2発電所があります。
 
堤体下流面。
堤体左岸が緩やかに湾曲しています。
 
天端は立ち入り禁止。
 
上流面。
ラジアルゲートはブラックゲート。
水位が低ければ中空式特有のダイヤモンドヘッドが見れるのですが・・・。
 
 
ゲート右手の二つの窪みの下には取水設備が2基隠れています。

(追記)
高根第二ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1106 高根第二ダム(0645)
岐阜県高山市高根町下之向
木曽川水系飛騨川
HG
69メートル
232メートル
11927千㎥/5875千㎥
中部電力(株)
1968年
◎治水協定が締結されたダム

秋神ダム

2016-10-17 19:49:00 | 岐阜県
2016年10月15日 秋神ダム
 
秋神ダムは岐阜県高山市朝日町古瀬ヶ洞の一級河川木曽川水系飛騨川左支流秋神川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵水力豊富な飛騨川での新規電源開発や既設発電施設の再開発に邁進します。
その端緒として1953年(昭和28年)に飛騨川最上流部に秋神ダムと朝日ダムが建設されました。
両ダムは連絡導水路により一体運用され、両ダム合わせて約4300万立米の貯水容量により飛騨川流量の季節変動を平準化し、下流各発電施設の発電効率を向上させるのが最大の目的です。
 
朝日ダムと秋神ダムを結ぶ導水路(国土地理院地形図)。
 
高山から国道361号を東進し秋神トンネル手前の路肩に駐車して旧道を歩くと秋神ダムが見えてきます。
ちょっと逆光で堤体がつぶれ気味の写真になってしまいました。
 
秋神トンネルを抜けると秋神ダム右岸に到着します。
天端は立ち入り禁止。
ゲートの上が階段になっているのが特徴です。
 
上流面。
 
ゲートの右手は2つの放流管の取水設備?
 
ゲートをズームアップ
中電ですがブラックゲート。
ゲート上が階段になっています。
 
ダム湖と秋神ダム管理事務所。
秋神ダムのみならず中部電力の飛騨川流域の発電施設の中枢になっています。
 
上流から。
 

(追記)
秋神ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。 
 
1085 秋神ダム(0644)
岐阜県高山市朝日町古瀬ヶ洞
木曽川水系秋神川
74メートル
192メートル
17584千㎥/16976千㎥
中部電力(株)
1953年
◎治水協定が締結されたダム

朝日ダム

2016-10-17 18:55:57 | 岐阜県
2016年10月15日 朝日ダム
 
朝日ダムは岐阜県高山市朝日町寺附の一級河川木曽川水系飛騨川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令で誕生した中部電力は戦後の電力不足に対処するため包蔵水力豊富な飛騨川での新規電源開発や既設発電施設の再開発に邁進します。
その端緒として1953年(昭和28年)に飛騨川最上流部に秋神ダムと朝日ダムが建設されました。
両ダムは連絡導水路により一体運用され、両ダム合わせて約4300万立米の貯水容量により飛騨川流量の季節変動を平準化し、下流各発電施設の発電効率を向上させるのが最大の目的です。
さらに朝日発電所で最大2万500キロワットのダム式発電がおこなわれます。
 
朝日ダムと秋神ダムを結ぶ導水路(国土地理院地形図)。
 
高山から国道361号を東進、竜宮橋手前で左手の飛騨川沿いの道に入るとすぐに久々野ダムに到着、さらにそのまま飛騨川沿いを東進すると朝日ダムに到着します。
 
右岸プラント跡。
 
上流からはこれが精一杯。
葉が落ちればもっとよく見えるかも?
 
下流からは樹間から辛うじて見える程度。
 
朝日発電所。
 
27人の殉職者の慰霊碑。
 
(追記)
朝日ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1083 朝日ダム(0643)
岐阜県高山市朝日町寺附
木曽川水系飛騨川
87メートル
189.5メートル
25513千㎥/22513千㎥
中部電力(株)
1953年
◎治水協定が締結されたダム

久々野ダム

2016-10-17 17:53:36 | 岐阜県
2016年10月15日 久々野ダム
 
久々野ダムは岐阜県高山市朝日町浅井の一級河川木曽川水系飛騨川にある中部電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
戦後の電力不足を受け飛騨川最上流部では1953年(昭和28年)に朝日ダム秋神ダムが建設されます。
さらに東京五輪に向けひっ迫する電力需要を賄うために新たな電源開発が進められ1962年(昭和37年)に竣工したのが久々野ダムです。
でここで取水された水は約11キロの導水路で高山市久々野町にある久々野発電所に送られ最大3万4800キロワットのダム水路式発電を行います。

中部電力ではダム名はダムの立地場所ではなく送水先の発電所名を付けることが多く、ダム名と立地場所が一致しないケースが多々あります。
当ダムも立地は高山市朝日町ですが、ダム名は数キロ下流の久々野になっておりダム名と立地場所が不一致の好例です。
 
高山から国道361号を東進、竜宮橋手前で左手の飛騨川沿いの道に入るとすぐに久々野ダムに到着します。
グリーンのラジアルゲートが2門。
 
 
減勢工。
 
 
天端は立ち入り禁止。
もろ逆光でフレアが出ました。
 
久々野発電所への取水口。
 
上流面と取水口
明暗差が大きく露出が難しいアングルとなりました。
 
ダム湖にある不思議な構造物?
 
上流から。

(追記)
久々野ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1097 久々野ダム(0642)
岐阜県高山市朝日町浅井
木曽川水系飛騨川
26.7メートル
72.2155.7メートル
1247千㎥/395千㎥
中部電力(株)
1962年
◎治水協定が締結されたダム

下小鳥ダム

2016-10-17 16:24:43 | 岐阜県
2016年10月15日 下小鳥ダム
 
下小鳥ダムは岐阜県飛騨市河合町保の一級河川神通川水系宮川左支流小鳥川にある関西電力(株)が管理する発電目的のロックフィルダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編成により全国に9電力会社が誕生します。
岐阜県内の神通川水系宮川流域は中部電力の営業管区でしたが戦前日本電力が建設した蟹寺発電所が阪神地区向けに送電していたことから、潮流主義により関西電力が宮川流域での水利権を獲得しました。
同社は朝鮮戦争特需による電力ひっ迫を受け1950年代初めに打保、坂上、角川の3ダム及び発電所を建設、さらに支流の小鳥川での電源開発に着手し1973年(昭和48年)に竣工したのが下小鳥ダムです。
ここで取水された水は約8キロの導水路で下小鳥発電所に送られ最大14万2000キロワットのダム水路式発電を行います。
下小鳥という名前が示すように当初は上流から上小鳥、中小鳥、下小鳥3基のダムと発電所を建設する予定でしたが、地盤に問題などがあり結果としてロックフィルの下小鳥ダムのみが建設された経緯があります。
 
今回は国道41号の鷹狩橋から県道75号を西進、保峠を越えて下小鳥ダムへ向かいました。
右岸に巨大な2門の関電ブラックのローラーゲートがあります。
 
 
洪水吐導流部。
 
下小鳥発電所への取水設備
 
右岸上流から。
 
ロックフィルの堤体
逆光のためフレアが出まくり・・・。
 
天端は時間限定で地元の住民のみ通行可能です。
早朝の訪問のため天端のゲートは閉められたままでした。
 
右岸から上流面。
 
左から管理事務所、インクライン、取水設備。
 
奥飛騨の山中深く非常に素晴らしいロケーションのダムでしたが、ほぼすべてのアングルで逆光になってしまいまともな写真がほとんど撮れず終いでした。
とくに下流からの写真はまともに逆光となり全く使い物になりません。
できれば紅葉の盛りや初春に再訪してダム周辺の素晴らしい眺めを記録に残したいものです。

(追記)
下小鳥ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1112 下小鳥ダム(0641)
岐阜県飛騨市河合町大字保
神通川水系小鳥川
119メートル
289.2メートル
123037千㎥/94958千㎥
関西電力(株)
1973年
◎治水協定が締結されたダム

角川ダム

2016-10-17 12:51:37 | 岐阜県
2016年10月15日 角川ダム
 
角川ダムは左岸が岐阜県飛騨市古川町谷、右岸が同町野口の一級河川神通川水系宮川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編成により全国に9電力会社が誕生します。
岐阜県内の神通川水系宮川流域は中部電力の営業管区でしたが戦前日本電力が建設した蟹寺発電所が阪神地区向けに送電していたことから、潮流主義により関西電力が宮川流域での水利権を獲得しました。
同社は朝鮮戦争特需による電力ひっ迫を受け蟹寺発電所上流に打保、坂上、角川の3基のダム・発電所建設に着手し1955年(昭和30年)に竣工したのが角川ダムです。
ここで取水された水は約1.6キロの導水路で角川発電所に送られ最大2万3000キロワットのダム水路式発電を行います。
 
坂上ダムから国道360号を南下、角川駅を過ぎ野口トンネル手前の旧道を右折すると前方に角川ダムが見えてきます。
同時期に建設されたため坂上ダムとよく似た構造で、7門の関電ブラックのラジアルゲートと左岸の補助ゲートはほぼ同じ配置です。
 
左手から導水路が伸びていますがこれは??
 
ダムの直下で川原へ下りるルートを見つけました。
 
左岸の緩やかな水叩きに特徴があります。
 
直下流で川原へ下りることができた一方で天端や上流からの見学はほぼ不可能。
ダム左岸からの導水路が気になります。

(追記)
角川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1087 角川ダム(0640)
左岸 岐阜県飛騨市古川町谷
右岸        同町野口
神通川水系宮川
21.5メートル
221.7メートル
879千㎥/458千㎥
関西電力(株)
1955年
◎治水協定が締結されたダム

坂上ダム

2016-10-17 12:23:18 | 岐阜県
2016年10月15日 坂上ダム
 
坂上ダムは左岸が岐阜県飛騨市河合町角川、右岸が同市宮川町落合の一級河川神通川水系宮川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編成により全国に9電力会社が誕生します。
岐阜県内の神通川水系宮川流域は中部電力の営業管区でしたが戦前日本電力が建設した蟹寺発電所が阪神地区向けに送電していたことから、潮流主義により関西電力が宮川流域での水利権を獲得しました。
同社は朝鮮戦争特需による電力ひっ迫を受け蟹寺発電所上流に打保、坂上、角川の3基のダム・発電所建設に着手し1954年(昭和29年)に竣工したのが坂上ダムです。
ここで取水された水は坂上発電所に送られ最大8600キロワットのダム水路式発電を行います。
 
打保ダムから国道360号を南下、岸奥トンネルの手前で右手の旧道に入ると坂上ダムが見えてきます。
7門の関電ブラックのラジアルゲートと左岸の補助ゲートが並びます。
 
傾斜が緩やかな越流面。
 
天端は立ち入り禁止。
 
左岸の取水口。
 
右岸上流から。
 
 
電力会社の発電ダムではダムの名前は送水する発電所の名前を付けることが多く、ダムのある地名とダム名が一致しないことがよくあります。
坂上ダムもその一つで、ダムがあるのは河合町角川、角川ダムがあるのは古川町谷となっています。

(追記)
坂上ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1082 坂上ダム(0639)
左岸 岐阜県飛騨市河合町角川
右岸     同市宮川町落合
神通川水系宮川
23.5メートル
100メートル
1839千㎥/853千㎥
関西電力(株)
1953年
◎治水協定が締結されたダム

打保ダム

2016-10-17 11:30:55 | 岐阜県
2016年10月15日 打保ダム
 
打保ダムは左岸が岐阜県飛騨市宮川町高牧、右岸が同町丸山の一級河川神通川水系宮川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編成により全国に9電力会社が誕生します。
岐阜県内の神通川水系宮川流域は中部電力の営業管区でしたが戦前日本電力が建設した蟹寺発電所が阪神地区向けに送電していたことから、潮流主義により関西電力が宮川流域での水利権を獲得しました。
同社は朝鮮戦争特需による電力ひっ迫を受け蟹寺発電所上流に打保、坂上、角川の3基のダム・発電所建設に着手し1954年(昭和29年)に竣工したのが打保ダムです。
ここで取水された水は打保発電所に送られ最大2万4300キロワットのダム水路式発電を行います。
 
今回は猪谷から国道360号を南下、新宮川大橋から打保ダムを見ることができます
9門のラジアルゲートが並び左岸には取水口があります。
 
ゲートはもちろん関電ブラック。
 
 
取水口
 
 
下流500メートルくらいに河原への下り口があり、そこから河原を遡上すれば下流からダムを見ることもできたのですが、ちょっと水かさが多かったので断念しました。

(追記)
打保ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1081 打保ダム(0638)
左岸 岐阜県飛騨市宮川町高牧
右岸        同町丸山
神通川水系宮川
25.5メートル
155.7メートル
4524千㎥/1685千㎥
関西電力(株)
1954年
◎治水協定が締結されたダム