ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

泰阜ダム

2016-10-26 14:46:39 | 長野県
2016年10月23日 泰阜ダム
 
泰阜ダムは長野県下伊那郡泰阜村(右岸は下伊那郡阿南町)の天竜川本流にある中部電力の発電用重力式コンクリートダムです。
1931年(昭和6年)に天竜川電力と統合した矢作水力は天竜川本流での水力発電事業に乗り出し、同年に着工1936年(昭和11年)に竣工したのが泰阜ダムで、天竜川本流に建設された最初の本格的ダムとなります。
ここで取水された水は泰阜発電所に送られ最大5万2500キロワットの発電を行っています。
 
泰阜ダムは県道83号線沿いにあり、堤体直下まで接近することができます。
地形に合わせて角度を変える左岸の導流面の作りがなんとも言えません。
 
 
消しゴムの様な石は放流水の減勢工の役目です。
 
仮排水路でしょうか?
 
泰阜発電所とダム。
 
左岸の発電所に通じる道からもダムが望めます。
 
 
ゲートをズームアップ
扶壁に階段がついています。
 
水に削られたせいでしょうか?導流面はうねっています。
この凹凸がコンクリートをまるで生き物のように見せます。
 
天端通路の上流面はアーチになっています。。
 
0989 泰阜ダム(0673)
近代土木遺産
長野県下伊那郡泰阜村
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
天竜川水系天竜川
50メートル
143メートル
中部電力(株)
1935年
◎治水協定が締結されたダム

平岡ダム

2016-10-26 13:28:37 | 長野県
2016年10月23日 平岡ダム
 
平岡ダムは長野県下伊那郡天龍村の天竜川本流にある中部電力の発電用重力式コンクリートダムです。
天竜川流域では大同電力系列の天竜川電力が電源開発を進め、のちに同社と統合した矢作水力が事業を継承します。
矢作水力は天竜川本流で1935年(昭和10年)に泰阜ダムを建設、ついで1938年(昭和13年)に平岡ダム建設に着手しますが、翌年電力事業の国家統制により日本発送電が誕生し平岡ダム建設事業も含めて矢作水力の発電事業はすべて接収されました。
建設は戦中戦後も続き、1952年(昭和27年)に日本発送電の解体により事業を引き継いだ中部電力の手によりようやく完成しました。
運用開始当初は平岡発電所で最大6万1500キロワットの発電を行っていましたが、1976年(昭和51年)に発電機が増強され最大出力10万1000キロワットとなっています。
 
天竜川沿いの県道1号を南下すると平岡ダムに到着します。
まずは下流から
暴れ天竜を堰き止める16門のラジアルゲート。
 
天竜川に現れた真っ白い堤体と中電レッドのゲートが秋空に映えます。
 
ゲートをズームアップ。
 
左岸から。
 
 
右岸の取水口
取水ゲートが8門。
 
左岸上流から。
 
中電のダムとしては珍しく天端は開放されています。
これは右岸の天龍村が整備した遊歩道への連絡通路になっているためです。
 
ダム湖
紅葉はまだまだです。
ダム湖は国交省により直轄管理されています。
 
右岸から。
 
1001 平岡ダム(0672)
長野県下伊那郡天龍村
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
天竜川水系天竜川
62.5メートル
258メートル
中部電力(株)
1951年
◎治水協定が締結されたダム

和知野ダム

2016-10-26 11:16:01 | 長野県
2016年10月23日 和知野ダム
 
和知野ダムは長野県下伊那郡阿南町の天竜川水系和知野川にある中部電力の発電用重力式コンクリートダムです。
矢作川の電源開発を進めていた大同電力系列の矢作水力は1931年(昭和6年)に天竜川水力と合併し天竜川の開発にも乗り出します。
矢作水力は岩倉ダムと豊発電所に続いて1938年(昭和13年)に和知野ダムと和知野発電所の建設に着手、翌1939年(昭和14年)に竣工しますが、その間に日本発送電が設立され運用は日本発送電で開始されました。
和知野ダムで取水された水は約3.3キロの導水路を経て和知野発電所に送られ最大6300キロワットの発電を行っています。
和知野ダムは戦後の電力分割民営化で中部電力が事業継承しています。
和知野ダムは堤高が8.5メートルのため河川法では堰堤となりダム便覧には掲載されていません。
 
県道46号線から和知野ダムと正対できます。
4門のブラックのローラーゲートに魚道と沈砂池が並ぶさまはとても堤高8.5メートルには見えません。
大同電力系の矢作水力が手掛けたのでブラックゲートなんでしょうね?
 
ゲートと魚道、沈砂池のバランスが素晴らしいダムです。
 
右岸の塵芥流路。
 
魚道と沈砂池。
 
アングルを変えて。
 
取水口をズームアップ。
 
和知野ダム
長野県下伊那郡阿南町
北緯度分秒,東経度分秒
天竜川水系和知野川
8.5メートル
47.5メートル
千㎥/千㎥
中部電力(株)
1939年

岩倉ダム

2016-10-26 09:57:56 | 長野県
2016年10月23日 岩倉ダム
 
岩倉ダムは長野県下伊那郡売木村の天竜川水系売木川支流岩倉川にある中部電力の発電用重力式コンクリートダムです。
矢作川の電源開発を進めていた大同電力系列の矢作水力は1931年(昭和6年)に天竜川水力と合併し天竜川の開発にも乗り出します。
岩倉ダムは1936年(昭和11年)に下流の豊発電所とともに矢作水力によって建設されました。
岩倉ダムは取水ダムではなく、増水期に貯留を行い渇水期に放流をし、売木川の水量を平準化することで年間を通して安定した発電を行う目的で建設されました。
岩倉ダムと豊発電所は日本発送電を経て戦後は中部電力が事業継承しました。
建設当初はクレストに3門のローラーゲートを備えていましたが、2000年(平成12年)の改修でゲートが撤去され現在は自由越流式ゲート3門となっています。
 
国道418号に岩倉ダムの表示がありこれに従うと岩倉ダム右岸に到着します。
2000年(平成12年)の改修のせいか、ゲートの扶壁のコンクリートだけが白くなっています。
 
天端は立ち入り禁止。
 
ダムの銘板にはローラーゲート3門と記されています。
 
堤体下流面。
 
ゲートをズームアップ。
戦前戦中のダムらしくゲート部分は階段で高くなっています。
ここだけ白くなっており改修の跡がよくわかります。
 
取水ダムではないせいか、中電のダムとしては珍しく堤体直下が開放されています。
3門のゲートから放流されていました。
 
 
下からもゲートをズームアップ。

(追記)
岩倉ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0990 岩倉ダム(0671)
長野県下伊那郡売木村
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
天竜川水系岩倉川
25メートル
100.9メートル
千㎥/千㎥
中部電力(株)
1936年
◎治水協定が締結されたダム