ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

須恵ダム

2017-10-04 17:58:16 | 福岡県
2017年9月20日 須恵ダム
 
須恵ダムは左岸が福岡県糠屋郡宇美町宇美、右岸が糟屋郡須恵町佐谷の多々良川水系須恵川上流部にある須恵町上下水道課が管理する上水道用水目的のアーチ式コンクリートダムです。
須恵町が位置するいわゆる福岡県福岡地区は大河がない上に中小河川の集水域が小さく、町は高度成長期まで上水道水源の大半を地下水(井戸水)や簡易水道に依存していました。
しかし福岡の衛星都市として人口が増加した上に生活様式の変化により水需要が急拡大し、水道整備に合わせて安定した水源確保に迫られることになります。
須恵町では既存の灌漑用溜池を再開発して上水道容量を確保する一方、同町唯一の上水専用ダムとして1964年(昭和38年)に建設されたのが須恵ダムです。
ここで取水された水はダムと同時に建設された第二浄水場に送られたのち、須恵町東部地域に給水されています。
 
福岡県は県内に84基のダムが立地する西日本有数のダム県ですが、県内にあるアーチダムは須恵ダム1基だけです。また全国的に見ても町が所有するアーチダムは非常に珍しいのではないでしょうか?
 
須恵ダムは隣接する宇美町の境界上、県道60号沿いにあり道路わきにあるこの石碑が目印となります。 
 
しかし県道沿いの上水道水源ということでガードは非常に厳しく、道路とダムの間には2メートルを超えるフェンスが続いています。
保安上の問題もあるでしょうし過去には不法投棄などがあったのでしょう。
今回はフェンスの網目の隙間から何とか撮影することができました。
クレストには2門の自由越流式洪水吐がありその下に放流管と思しき小さな穴があります。
 
天端は下流側が手すり、上流側がコンクリート壁になっています。
 
辛うじて取水設備を捉えることができました
堤高21メートルに対して堤頂長144.5メートルとかなり横長のアーチダムです。
 
上水道水源ですのでガードが堅いのはやむをえません。
見学会等の機会があればいいのですが・・・・。
 
追記
須恵ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3347 須惠ダム(1132)
左岸 福岡県糠屋郡宇美町宇美
右岸 福岡県糠屋郡須恵町佐谷
多々良川水系須恵川
21メートル
144.5メートル
120千㎥/80千㎥
須恵町上下水道課
1965年
◎治水協定が締結されたダム

久原副ダム

2017-10-04 16:50:57 | 福岡県
2017年9月20日 久原副ダム
 
久原(くばら)副ダムは福岡県粕屋郡久山町久原の多々良川水系穴口川源流部にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的のアースフィルダムで本堤の久原ダムとともに久原ダム貯水池を形成しています。
 
久原ダムと副堤の位置関係
赤線が本堤、緑線が副堤。 
 
久原副ダムの天端はダムの管理道路が通っています。
 
下流面。
 
ダム下から。
 
本当はダム下からもっと引いて撮影すればよかったのですが後の祭りです。
 
3379 久原副ダム(1131)
福岡県粕屋郡久山町久原
多々良川水系多々良川
25メートル
85メートル
1600千㎥/1460千㎥
福岡市水道局
1970年

久原ダム

2017-10-04 15:51:20 | 福岡県
2017年9月20日 久原ダム
 
久原(くばら)ダムは福岡県粕屋郡久山町久原の多々良川水系久原川左支流穴口川源流部にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。 
戦後の復興から高度成長期にかけ福岡市の人口は大きく増加、これに合わせて都市用水需要も急拡大してきました。
これに対し大河川がない上に中小河川の集水域が小さいという地理的条件もあり、福岡市では慢性的な水不足が続き、水源確保を求めるための拡張事業は19回にも及びました。
久原ダムは1968年(昭和43年)に事業着手された第11回拡張事業(久原取水)の中核施設として1970年(昭和45年)に竣工しました。
福岡市が水利権を持つ多々良川の山田取水場で取水した水を久原ダムに揚水していったん貯留、その後多々良浄水場を経由して福岡市内に給水しています。
一方で自己流域である穴口川の水は河川維持放流として流下させるため既得取水権への干渉はなく事実上の河道外貯留ダムとなっています。
 
久原ダムには重力式コンクリートの本堤のほかに、左岸にアースフィルの副ダムがあり、ともに堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
久原ダム本堤と副ダムの位置関係
赤線が本堤、緑線が副ダム 。 
 
通常久原ダムへは、県道547号線から妙法寺を経由して左岸ダムサイトに向かいますが、今回は工事により通行止めだったためダム北側から隘路の林道経由でダム右岸に到着しました。
ダムの銘板。
 
天端は車両進入禁止。
 
上流面。
 
取水設備機械室
堤体に比べて建屋が新しい。
 
導流面と減勢工。
 
ダム湖は総貯水容量146万立米。
多々良川で取水した水を揚水してここに貯留します。
 
左岸から上流面。
 
水利使用標識。
ダムがあるのは穴口川ですが、貯水池の水は多々良川から揚水して貯留されるのでダムとしての水系は多々良川水系多々良川となります。
一方穴口川の流入分は河川維持放流としてそのまま下流に流下させ、流域の既得取水権への干渉はありません。
 
ダムの諸元塔が書かれた竣工記念碑
読めない!!
 
高台から上流面を俯瞰
上水道目的のダムということでゲートはクレストの2門の自由越流式洪水吐だけ。
 
 
ダム下へ向かう道もあるようですが、入口が分からず断念しました。
貯水池水源を市外に求め、揚水によって河道外貯留する上水道ダムとしては珍しいスタイルのダムとなっています。
 
2419 久原ダム(1130)
福岡県粕屋郡久山町久原
多々良川水系多々良川
42.3メートル
117メートル
1600千㎥/1460千㎥
福岡市水道局
1970年

鳴淵ダム

2017-10-04 12:24:27 | 福岡県
2017年9月20日 鳴淵ダム
 
鳴淵ダムは左岸が福岡県糠屋郡篠栗町篠栗、右岸が篠栗町金出の多々良川水系鳴淵川にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、多々良川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、福岡地区水道企業団への上水道用水の供給を目的として2001年(平成13年)に竣工しました。
 
ダム建設に際し『地域に開かれたダム』をコンセプトに堤体各所にRを多用した柔和なデザインと化粧型枠を採用、また付随施設は篠栗町の町木である杉をモチーフに円形茶色の建屋と八角錐グリーンの屋根で統一し、まるでダム全体が欧州の童話をモチーフにしたメルヘンの国のテーマパークのようになっています。
一方町内の公園面積が少なかった篠栗町もダム建設に合わせてダム周辺を『清流公園』として整備、福岡市街から電車で20分で来れるという言う地理的条件もあり、小中学校の遠足や社会見学でも人気スポットになっています。
 
国道201号線の篠栗インターで国道を下り鳴淵ダム入口交差点を北に折れるとすぐにダムが見えてきます。
ダム下は河川公園、堤体直下をダムへ続く道路橋が横断しています。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを13門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲートを1門装備、さらにダム下に利水放流設備があります。
いずれの建屋も尖がり頭のおとぎの世界。
 
堤体には城壁風の型枠が施されこれまた西洋の城郭の様
ダム下のループもいいアクセントになっています。。
 
竣工記念碑もメルヘン調、でもなんとなく弥生時代の壁画の雰囲気も。
 
上流面にも化粧型枠が施され尖がり屋根と見事にマッチしています。
手前が取水設備、奥にオリフィスゲート。
 
天端は車両通行可能
左はエレベータ塔、右手は取水設備操作室
照明のカバーも凝ってます。
余談すでがこのダム旅が9年間乗ってきたBMWE92M3のラストランとなりました。
 
天端から
ダム下は河川公園になっており、ダムへ通じる道路がループを描いています。
 
利水放流設備・バルブ室をズームアップ。
 
総貯水容量440万立米のダム湖、名前はありません。
ダム湖にもメルヘンぽい名前を付けてあげればいいのにね?
 
左岸の管理事務所
こちらはちょこっと教会風。
 
左岸展望台から俯瞰
堤体は左岸がわずかに屈曲しています。
 
追記
鳴淵ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2443 鳴淵ダム(1129)
福岡県糠屋郡篠栗町篠栗
多々良川水系鳴淵川
FNW
 
67.4メートル
308メートル
4400千㎥/4160千㎥
福岡県県土整備部
2001年
◎治水協定が締結されたダム

切畑ダム

2017-10-04 11:21:35 | 福岡県
2017年9月20日 切畑ダム
 
切畑ダムは福岡県飯塚市内住の遠賀川水系大分川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた福岡県の事業で1975年(昭和50年)に建設され、運用開始後は飯塚市が受託管理を行っています。
竣工記念碑や水利使用標識等がなく詳細は不明です。
 
県道90号を南に進み、JR篠栗線筑前大分駅を過ぎ郵便局の先の交差点を右折して市道を西に向かい切畑集落を抜けると切畑ダムに到着します。
ダム下への道もありましたが悪路のため断念、樹間から下流面を何とか撮影しました。
 
左岸から。
 
天端は立ち入り制限はありません。
両側にガードレールがあり轍が残ります。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
右岸の斜樋。
 
洪水吐は堤体と離れた左岸上流側にあります。
 
洪水吐導流部
堤体は北向きですが、洪水吐は西の大分川方向へ流下します。
 
天端から。
ダム下に底樋があるようですが、草が深く確認できませんでした。
 
総貯水容量36万1000立米。
 
天端から見た洪水吐
非常に小さな洪水吐です。
 
追記
切畑ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに6万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2423 切畑ダム(1128)
福岡県飯塚市大分
遠賀川水系大分川
38メートル
140.4メートル
361千㎥/336千㎥
飯塚市
1975年
◎治水協定が締結されたダム

久保白ダム

2017-10-04 01:02:38 | 福岡県
2017年9月20日 久保白ダム
 
久保白ダムは福岡県飯塚市久保白の遠賀川水系内住川右支流久保川にある灌漑・上水・工水目的のアースフィルダムです。
農林省の補助を受けた福岡県の農業水利事業に、当時の飯塚市が水道事業者として事業参加し1970年(昭和45年)に竣工しました。
貯水池は飯塚市から桂川町にまたがり総貯水容量416万4000立米、湛水面積50ヘクタールとアースフィルダムとしては屈指の規模を誇っています。
ダムは水道事業者である飯塚市企業局が受託管理し飯塚市に上水道用水・工業用水を、久保白ダム土地改良区に灌漑用水を供給しています。
 
 
ダム下は小公園になっており、車2台の駐車スペースがあります。
堤頂長304メートルの長大な堤体。
 
ダム下右岸側に余水吐トンネル導流部の吐口があります。
 
天端の周辺案内図
本堤のほかに4基の副堤がありますがいずれも堤高15メートル未満。
 
竣工記念碑。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
天端は車道
ダム湖を巡る5.7キロの周回道路はすべて車両通行可能。
 
天端からの眺め。
 
左岸の斜樋
こちらは飯塚市水道の取水設備。
 
総貯水容量416万4000立米はアースダムとしてはかなりのスケール
福岡県内では北九州の頓田貯水池に次ぐ規模で、貯水池には中島もあります。
 
右岸の横越流式余水吐。
 
ここから流下した水は上から2番目の写真のトンネル出口へと向かいます。
 
ダム湖インレット部分の内住川からの導水路
自己流域はわずか1.4平方キロで、貯水容量の大半は内住川からの補給に依存しており、実質的には河道外貯留ダムです。
 
地図では本堤対岸にある第1号副堤そばに土地改良区向け取水設備がありますが、現地では確認できませんでした。
 
追記
久保白ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに74万7000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2420 久保白ダム
福岡県飯塚市久保白
遠賀川水系内住川右支流久保川
AWI
25メートル
304メートル
4164千㎥/4150千㎥
飯塚市企業局
1970年
◎治水協定が締結されたダム