2020年9月26日 岩出頭首工(岩出統合井堰)
岩出頭首工(岩出統合井堰)は和歌山県岩出市清水の一級河川紀の川本流にある灌漑目的の可動堰です。
江戸時代より紀の川は流域の貴重な水源として多数の灌漑用取水堰(井堰)が設けられ、岩出周辺でも4つの井堰が設置されていました。
1952年(昭和27年)より農林省(現農水省)の十津川・紀の川土地改良事業が着手され、紀の川流域の井堰の統合が計画俎上に上がりました。
しかし、翌1953年(昭和28年)7月の紀州大水害、9月の台風13号により井堰がことごとく破損・流出という事態となり、急遽農林省による国営災害復興事業が採択され、流域に11基あった井堰は4基の頭首工に統合されることになりました。
岩出頭首工もこのうちの一つで1957年(昭和32年)に竣工、左右両岸の取水口より紀の川下流域約2000ヘクタールの農地に灌漑用水の供給を行っています。
管理は紀の川土地改良区連合が受託し、実際の管理は受益団体である六箇井土地改良区、紀の川左岸土地改良区が行っています。
なお岩出頭首工は河川法上のダムの要件は満たしていませんが、紀の川水系最大規模の頭首工ということでダム便覧には参考掲載で登録されています。
京奈和道岩出根来インターから県道63号を南下、紀の川にかかる岩出橋を渡って左折し東に進むと岩出頭首工左岸に到着します。
ピアのアーチ状鉄骨トラスが特徴的。
昭和20年代後半着工、昭和32年竣工ですが、この時期は発電用ダムなどでも鉄骨トラスのピアが多用されています。
堰堤中央に洪水吐4門、その左右に土砂吐各1門が並んでいます。
また写真では分かり辛いですが、左右両岸に魚道が設置されています。
訪問時は前日のまとまった雨で水位が上昇、中央の洪水吐2門と左右の土砂吐が開放されていました。
頭首工のすぐ下流にはJR和歌山線紀ノ川橋梁が架かっています。
JR和歌山線紀ノ川橋梁
1930年(昭和5年)に架橋されたワーレントラス・ガーダー橋
橋脚基部は1900年(明治33年)の初代紀ノ川橋梁のものです。
本当は頭首工と紀ノ川橋梁を一緒に撮りたかったのですが、超広角レンズを持ち合わせていなかったのであきらめました。
天端は立ち入り禁止。
左岸の水利使用標識。
上流から
手前に紀の川左岸土地改良区向けの取水ゲートがあります。
頭首工のトラスとJRのワーレントラスを重ねて撮ってみました。
右岸の取水ゲート
こちらは六箇井土地改良区向けのゲート。
S005 岩出頭首工(岩出統合井堰)(1558)
和歌山県岩出市清水
紀の川水系紀の川
A
MB
2.9メートル
258.2メートル
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紀の川土地改良区連合
1957年