2020年9月27日 二川ダム
二川ダムは和歌山県有田郡有田川町二川の有田川本流中流部にある和歌山県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1953年(昭和28年)の7・18水害(紀州大水害)により和歌山県各河川で甚大な洪水被害が発生し、県は各河川の治水対策に乗り出します。
流域面積が和歌山県全体の1割を占める有田川では1959年(昭和34年)に有田川中流部への治水ダム建設事業が着手され1966年(昭和41年)に二川ダムが竣工しました。
二川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、有田川の洪水調節、関西電力岩倉発電所《2005年(平成17年)に県企業局から関西電力に移管》での最大出力1万1000キロワットのダム水路式発電を目的としています。
なお、河川法改正により河川維持放流が義務付けられたことにより1998年(平成10年)に新たに河川維持放流用設備が増設されました。
さらに2016年(平成28年)には河川維持放流を利用した小水力発電所である有田川町営二川小水力発電所が新設され、最大199キロワットの小水力発電を行っています。
二川ダムは国道480号線沿いにあり、下流に架かる日物川橋からダムを遠望できます。
クレスト2門、オリフィス2門のラジアルゲートを装備していますが、ゲートの並びが特徴的です。
左岸クレストゲート(写真上段右手のゲート)にはフラッシュボードがついています。
現在はダムで捕捉した流木やゴミの下流への流下は禁止されており、フラッシュボードを使う機会はありません。
ダム右岸下流側に展望公園がありますが、訪問時は草が繁茂しとても立ち入れる状態ではありませんでした。
こちらはダム右岸のダム諸元碑。
上流面
ゲート手前の設備が1998年(平成10年)に追加された河川維持放流用の取水設備。
ちょっとわかりづらいですが右岸にインクラインと浮き桟橋があります。
上流から遠望。
天端から
右手奥が2016年(平成28年)に新設された有田川町営二川小水力発電所。
手前の建屋は旧来の放流設備。
ダム湖は総貯水容量3010万立米と県ダムとしてはそこそこ大きなサイズ。
左手は関西電力岩倉発電所の取水ゲート。昭和30年代初頭の代物ということでかなり大掛かりなゲートです。
天端は歩行者のみ通行可能
ゲート部分が上流側にクランクしています。
下流面
左奥に管理事務所が見えます。
堤体は脆弱地盤があるため左岸のみ僅かに湾曲しています。
追記(追記)
二川ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
1647 二川ダム(1565)
和歌山県有田郡有田川町二川
有田川水系有田川
FP
G
67.4メートル
222.8メートル
30100千㎥/19200千㎥
和歌山県県土整備部
1966年
◎治水協定が締結されたダム