ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

広川ダム

2020-10-07 14:40:47 | 和歌山県
2020年9月27日 広川ダム
 
広川ダムは和歌山県有田郡広川町下津木の広川水系広川上流部にある和歌山県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
1953年(昭和28年)の7・18水害(紀州大水害)により和歌山県各河川で甚大な洪水被害が発生し、県は各河川の治水対策に乗り出します。
広川ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで、広川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1974年(昭和49年)に竣工しました。
和歌山県営ダムとしては唯一の治水専用ダムです。
 
広川町下津木の県道26号線から『ほたるの湯』の標識に従って東に折れ、広川沿いを進むと広川ダムに到着します。
ダム手前の分岐を右手に採り落石だらけの悪路を進むとダム下に着きますが、木とフェンスで邪魔をされダム全体を見ることはできません。
ダム下の木は桜なので落葉すればもう少し見通しが良くなるかもしれません。
 
なんとかゲートだけズームアップ。
写真には収められませんでしたが左岸には常用洪水吐としてホロージェットバブルがあります。
 
ダムサイトへ向かいますが、ダムを下流から見れる場所はありません。
上流から
2門のラジアルゲートの右手には利水放流用の取水設備、左手には常用洪水吐であるホロージェットバルブの取水ゲートがあります。
 
右岸の管理事務所
このアングルで見ると銀河帝国艦隊の艦船のようです。
 
上流面
治水ダムということで、堤体の高さに比べて常時満水位はかなり低くなっています。
 
ぱっと見、立禁かと思いましたがよく見ると車両通行止め。
徒歩はOKです。
 
天端から
ダム直下で川はS字に蛇行しています。
右手から河川維持放流が行われ、手前の建屋がホロージェットバブルになります。
 
ダム湖は総貯水容量350万立米。
全長19キロ弱、流域面積52平方キロの川の治水ダムなのでこんなものなんでしょう。
 
取水設備建屋は昭和前半の面影を彷彿とさせる半円形。
 
左岸から下流面
対岸の建物が写真4枚目の管理事務所になります。
 
1648 広川ダム(1567) 
和歌山県有田郡広川町下津木
広川水系広川
FN
53.5メートル
166メートル
3500千㎥/3200千㎥
和歌山県県土整備部
1974年 

大正池

2020-10-07 14:33:27 | 和歌山県
2020年9月27日 大正池
 
大正池は和歌山県有田郡広川町下津木の有田川水系猿川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では所在地は広川町前田となっていますが、これは下津木の誤りです。
ダム便覧によれば広土地改良区の事業で1939年(昭和14年)に竣工とありますが、戦前に土地改良区はありませんので前身となる耕地整理組合の団体営事業によって建設されたと思われます。
ダム便覧には全国で9基の『大正池』が登録されていますが、その多くが大正時代の着手もしくは築造が『大正池』の名前の由来になっています。
当池についても便覧の竣工は1939年ですが、建設着手が対象で完成まで時間がかかったのか?1939年はあくまでも改修でもともと当地には大正時代を起源とする池があったか?
竣工記念碑や改修記念碑等は見当たらないため詳細は不明です。
現在は広・南広土地改良区が管理を行っています。
 
広川町前田の県道21号線前田バス停から東に折れ、猿川沿いの隘路を進むとどん詰まりに大正池があります。
ダム下から
堤体は三段になっており、右岸側にダム下に下りる道路がつけられています。
 
右岸の余水吐導流部。
 
右岸から余水吐越しに
上流面はコンクリートで護岸されています。
天端に軽トラが止まっていますが、無人で山林作業か釣り師のものと思われます。
 
余水吐導流部。
 
右岸の横越流式余水吐
越流部が上流側で湾曲しています。
 
左岸に斜樋があります。シャフトが4本、右手は古い斜樋のあとです。
 
ダム下の様子
整地されており、改修工事の際の建機や資材置き場になっていたのかもしれません。
猿川右岸の南向き斜面は和歌山らしくミカン畑が続きます。
 
総貯水容量23万1000立米と谷池としてはほどほどの規模です。
 
天端は車両通行可能ですが、斜樋の先は悪路の為普通の車では走れません。
 
斜樋のスピンドル。
 
広川流域はさほど溜池は多くなく、支流の沢沿いに谷池が5~6基点在する程度です。もともと農耕地が広くない上に広川の水を灌漑用に利用できたため溜池は必要なかったのでしょう。
 
1638 大正池(1566)
ため池コード 303620103
和歌山県有田郡広川町下津木
広川水系猿川
18.6メートル
92.5メートル
231千㎥/232千㎥
広・南広土地改良区
1939年