ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

泉南農業公園調整池

2020-10-03 21:47:02 | 大阪府
2020年9月26日 泉南農業公園調整池
 
泉南農業公園調整池は大阪府泉南市信達岡中にある防災調整池です。
泉南市営農業公園(花咲ファーム)の建設にあたり、山林造成・森林伐採による土砂や雨水流出量の増加に対処する目的で2006年(平成18年)に建設されました。
建設予定地ダムサイトの地盤が脆弱なため、経済効率性や十分な貯水容量確保などを考慮し『鋼製マルチサスペンション型コンクリートバットレス』という非常に珍しい型式が採用されています。
具体的には、堤体本体は圧縮強度の強いコンクリートのバットレス、遮水板は引っ張り強度の強いスチール製というハイブリッド構造で、見た目の姿は下流面は赤い笹流ダム、剛性を高めるために凹凸のついた遮水板はスチール製の豊稔池と言った風です。
泉南農業公園調整池は堤高が14.9メートルと河川法上のダムの要件を満たしていませんが、非常に珍しい型式のダムということでダム便覧には参考掲載で登録されています。
 
泉南市営農業公園の駐車場手前に泉南農業公園調整池があります。
建設から14年経過し、池周辺は草木が伸び全体をすっきりと見渡せるスポットはありません。
なんとか草木の切れ目から下流面を撮影。
直下は溜池の背水になっており、下流側にも水が溜まっています。
堤体は赤く着色され煉瓦風の化粧型枠が施されています。
京都南禅寺の琵琶湖疏水水路閣をモチーフにしたそうですが、せっかくのデザインも草が伸び放題では人目につくこともできません。
 
上流面
道路からはこれが限界。
 
堤頂部
一応天端と呼ぶんでしょうか?
 
防災調整池ということで普段は貯水池は空っぽです。
右手の円筒形のものが洪水吐になり、一定以上の水が溜まるっとここからトンネル導水路で水が流下する仕組みです。
 
 
スチール製の遮水板は剛性を高めるため凹凸がつけられています。
スチールは引っ張強度が強いため、下側がアーチになって凹凸になっています。
 
ダム便覧には草木が伸びる以前の写真が多数掲載されてています。
今は草木が繁茂し写真と同じポイントからダムを眺めることはできません。たぶん日本で唯一と思われる珍しい型式のダムなので、せめて上流側の草を刈って頂ければと思うのですが。
 
S007 泉南農業公園調整池(1560) 
大阪府泉南市信達岡中
男里川水系
14.9メートル
61メートル
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泉南市
2006年