ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

松沢溜池

2023-10-09 17:00:19 | 山形県
2016年7月10日 松沢溜池
2017年5月27日
2023年7月26日
 
松沢溜池は左岸が山形県上山市細谷、右岸が同市皆沢にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば、大正期に約130ヘクタールの山野の開拓のために溜池築造が企図され、1921年(大正10年)に松沢耕地整理組合の事業により竣工と刻されています。
一方ダム便覧には1920年(大正11年)に松沢土地改良区の事業で竣工と記されており、竣工年度に1年のずれはありますが大正末期に耕地整理組合の事業、つまり受益農家の持ち出しで建設されたのは間違いなさそうです。
現在の管理者は上山市土地改良区です。
直近の改修で東北では2例目となるラビリンス洪水吐が設置されたことで、溜池ではありますがダム愛好家の中ではよく知られた存在となっています。
松沢溜池には改修工事終了間際の2016年(平成28年)7月に初訪、2017年(平成29年)の改修工事竣工を受け、同年5月に再訪、さらに2023年(令和5年)7月に3度目の訪問をしました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
 
上山市街から大規模農道フルーツラインを西に向かうと左手に松沢溜池が見えてきます。
溜池を運用しながらの改修のため、改修工事は主として非灌漑期に行われます。
初訪時は灌漑期ということで工事は中断中。
(2016年7月10日)

 
堤体下を横断し全長200メートルに及ぶ洪水吐導流部。
形状の異なるエンドシルが2基設置されています。
(2016年7月10日)

 
洪水吐斜水路。
減勢工にはシュートブロックとバッフルブロックが並びます。
洪水吐はここからL字に折れて、上の写真の導流部へと続きます。
(2016年7月10日)


灌漑期のため貯水池はほぼ満水。
堤体の土はむき出しで、洪水吐にはまだラビリンスは設置されていません。
(2016年7月10日)

 
刷新された斜樋
左岸の山留も今回の改修で施工されました。
(2016年7月10日)

 
ここからは再訪時の写真です。
堤体には芝が張られています。
(2017年5月27日)

 
新たに設置されたラビリンス越流頂。
(2016年7月10日) 

 
(2017年5月27日)

 
天端はアスファルト舗装
前回よりも水位が低いため、コンクリートブロックの護岸がよく見えます。
(2017年5月27日)

 
ここからは3度目の訪問時の写真
下流面の芝はしっかりと根付き洪水吐には手すりが設けられています。
一方でぴかぴかだったコンクリートは汚れが目立ちます。
(2023年7月26日)

 
洪水吐斜水路とシュートブロック、バッフルピア。
(2023年7月26日)


洪水吐はダム下でL字に折れ約200メートルの導流部を流下します。
堤体は右岸側で緩やかに屈曲
一応『カド』。
(2023年7月26日)

 
1962年(昭和37年)建立の記念碑
溜池築造からの経緯が詳細に刻されています。
(2023年7月26日)


2017年(平成29年)の改修竣工により新たに設置された記念碑。
(2023年7月26日)


ラビリンス越流頂
(2023年7月26日)


アングルを変えて
(2023年7月26日)


上流面にもずいぶん草が生えました。
(2017年5月27日)

 
天端から先は立ち入り禁止ですが、事前に許可を頂いています。
両側に手すり。
(2023年7月26日)

 
洪水吐を見下ろす。
下からは気づきませんでしたが、バッフルピアの下流にエンドシルがあります。
シュートブロック、バッフルブロック、エンドシルの3点セット装備。
(2023年7月26日)


天端からの眺め
池の下流には特産のサクランボ畑が広がります。
(2023年7月26日)

 
総貯水容量38万3000立米(ため池データベース)の貯水池。
(2023年7月26日)

 
上流面。
(2023年7月26日)

 
3度目の訪問でようやく完全完成形の池を目にすることができました。
 
0404 松沢溜池(0486)
ため池コード
左岸 山形県上山市細谷
右岸     同市皆沢
最上川水系思川
23.91メートル(ため池データベース 21.1メートル)
213メートル(ため池データベース 191メートル)
294千㎥(ため池データベース 383.9千㎥)/294千㎥
上山市土地改良区
1920年(記念碑1921年)


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