ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

生居川ダム

2023-10-08 17:09:54 | 山形県
2016年7月10日 生居川ダム
2023年7月26日
 
生居川ダムは山形県上山市下生居の一級河川最上川水系須川右支流生居川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
山形盆地を南北に縦断する須川は最上川最大支流ですが、蔵王の火山活動に加え明治以降の硫黄採掘により昭和10年代より酸性化が顕著となり須川を主水源とする流域農地約500ヘクタールに多大な悪影響を与えていました。
1979年(昭和54年)に山形県は農林省の補助を受けた鉱毒対策事業『上山東部地区』に着手、その中核施設として1992年(平成4年)に竣工したのが生居川ダムです。
鉱毒対策事業全体も1994年(平成6年)に完了し、酸性水の源である蔵王沢の水を分離するとともに真水である仙人沢の水を生居川ダムに導水することで灌漑用水の真水化が可能となりました。
運用開始後は上山土地改良区が管理を受託し、現在は約400ヘクタールの水田に灌漑用水を供給しています。
農水省の補助を受けた鉱毒対策事業によって建設されたダムとしては千葉県の荒木根ダム平沢ダム、宮城県の村田ダムがあります。
生居川ダムには2016年(平成28年)7月に初訪、2023年(令和5年)7月に再訪しました。
掲載写真にはそれぞれ撮影日時を記載しています。
 
下流から遠望
堤高41.8メートル、堤頂長は313.7メートルの横長堤体
ダムの下流は水田のほか、フルーツ王国らしくブドウなど果樹園地が並びます。
(2023年7月26日)


ダムを斜めによぎる洪水吐。
(2023年7月26日)


仮排水トンネルを活用した取水設備からの放流口
灌漑期ということで勢いよく放流されています。
(2023年7月26日)

 
左岸ダムサイトに上がります。
ゲートが設けられ徒歩のみ開放。
(2023年7月26日)


左岸の横越流式洪水吐
右手は監査廊入り口。
(2016年7月10日)

 
同じアングルで再訪時
越流はしていませんが水位が高いのがわかります。 
(2023年7月26日)

 
上流から
越流堤手前は石敷きになっています。
(2016年7月10日)

こちらは再訪時。
(2023年7月26日)

 
天端からの眺め
須川流域約400ヘクタールの水田が受益農地となります。
(2023年7月26日)
 
ダム下をズームアップ
2枚目写真は下の橋から撮影
3枚目写真の放流口は中央奥の資材が積まれた先にあります。
(2023年7月26日)


総貯水容量265万立米のダム湖
流域面積11.8平方キロのうち約半分の5.6平方キロは仙人沢からの導水によります。
ダム湖の奥には須川を酸性化させた蔵王主峰群が遠望できます。
(2023年7月26日)


右岸には各種建屋が並びます
左から管理事務所、普段は職員の常駐はありません。
すぐ右手は艇庫とインクライン、右奥は斜樋になります。
(2023年7月26日)


真っ黒なリップラップ
左岸を洪水吐斜水路が流下します。
(2023年7月26日)

 
右岸から上流面。
(2023年7月26日)


水利使用標識。
(2023年7月26日)

 
ダム説明板。 
(2023年7月26日)

 
ダム建設に併せて右岸は公園が整備されましたが、あまり利用されている風はありません。
展望台にある記念碑も草に埋もれがち。
(2023年7月26日)
 
(追記)
生居川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0450 生居川ダム(0484)
山形県上山市下生居
最上川水系生居川
47.8メートル
313.7メートル
2650千㎥/2470千㎥
上山市土地改良区
1992年
◎治水協定が締結されたダム


コメントを投稿