2015年11月 7日 生坂ダム
2020年 6月21日
生坂ダムは長野県東筑摩郡生坂村北陸郷の信濃川水系犀川下流部にある東京電力リニューアブルパワーが管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
信濃川の最大支流である犀川(梓川)本支流では北アルプスが生み出す豊富な水量や急流に着目して戦前より各河川で電源開発が進められますが、これらの発電施設の大半は1951年(昭和26年)ので電気事業再編政令によって誕生した東京電力が継承しました。
戦後の経済復興による電力不足解消のため東京電力は会社誕生直後から犀川でのさらなる電源開発を推進し、まず1954年(昭和29年)5月に笹平ダムと笹平発電所が、ついで同年8月に小田切ダムと小田切発電所を、さらに1957年(昭和32年)には水内ダム上流に平ダムと平発電所が完成しました。
そして犀峡エリアでの電源開発の最後を締めくくったのが生坂ダム・発電所で、1961年(昭和36年)に水利権を獲得するとすぐさま建設に取り掛かり1964年(昭和39年)に竣工しました。
生坂発電所も他の発電所と同様半地下式発電所となっており、最大2万1000キロワットのダム式水力発電を行っています。
生坂ダム・発電所の稼働により東京電力による犀川での電源開発は一段落し、5基の発電所で計最大9万9600キロワットの発電能力を持つに至りました。
さらに1978年(昭和53年)には犀川総合制御所が設置され、5発電所の一括遠隔操作が開始されました。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により生坂ダム・発電所をはじめとした犀川流域の東京電力の発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されています。
生坂ダムには2015年(平成27年)11月に初めて訪問、2020年6月に再訪しました。
長野市街から国道19号を松本方面に進み、生坂トンネル手前で『道の駅 いくさかの郷』の表示に従って右手の旧道に入り、道の駅をやり過ごすと生坂ダムに到着します。
ダム下流の犀川の河原に下りると、ダムと正対することができます。
ローラーゲートが6門あり、前日の雨で水位が上がったこともあり1門から放流されています。
発電所はダム右岸(向かって左)にあります。
(2020年6月21日)
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こちらは初回訪問時
6門のローラーゲートが並びますが、よく見るとそれぞれ特徴があるのがわかります。
右岸(向かって左手)1門目は2段ゲートになっており、2門目には河川維持放流用の小さなバブルがあります。
一方左岸(向かって右手)の2門はゲートが大きく越流部が低くなっています。
初回訪問時は右岸2門目のバルブから河川維持放流が行われていました。
生坂発電所の放流水はトンネル導水路で3キロ下流に放流されるため、この間の瀬切れを防ぐために維持放流が行われます。
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右岸の沈砂池と取水ゲート。
(2020年6月21日)
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こちらはスクリーンの除塵機で除去されたごみの選別所
細かい木材は右手のプラントで粉砕され農業用の肥料となります。流木も併せて希望者に無料で配布しているようです。
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天端は車両通行可能ですが道幅は1.5メートル。
軽でもぎりぎりですが、地元の車は慣れたものですいすいと走ってゆきます。
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下流の眺め。
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左岸から
左岸2門はゲートが大きくなっている分、ピアも高くなっています。
(2020年6月21日)
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左岸から上流面
右端に取水口があります。また天端には予備ゲート運搬用と思われるガントリーが留め置かれています。
(2020年6月21日)
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取水口スクリーンをズームアップ
青い機械はスクリーンの除塵機です。
(2020年6月21日)
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対岸中央に取水ゲートがあり、その左手に半地下式の生坂発電所があります。
半地下にすることで有効落差21.4メートルを稼ぎだしています。
(2020年6月21日)
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上流から遠望
(2020年6月21日)
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(追記)
生坂ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
1014 生坂ダム(0048)
長野県東筑摩郡生坂村北陸郷
信濃川水系犀川
P
G
19.5メートル
108.4メートル
3110千㎥/1328千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1964年
◎治水協定が締結されたダム
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