ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

金山ダム

2021-07-22 03:24:15 | 北海道
2021年7月16日 金山ダム 
 
金山ダムは北海道空知郡南富良野町金山の石狩川水系空知川上流部にある多目的中空重力式コンクリートダムです。
空知川は石狩川水系最大支流で、流域の富良野盆地や石狩平野は北海道有数の農耕地帯となっており、戦後の食糧増産機運を受け農林省(現農水省)による灌漑目的のダム建設が企図されました。
しかし1955年(昭和30年)の豪雨災害を受け建設省による『空知川総合開発事業』が採択され、多目的ダムとしての金山ダム建設が決定しました。
金山ダム建設に際しては当時まだ高価であったコンクリートの節減を目的に中空重力式が採用され、1963年(昭和38年)に本体工事着工、1967年(昭和42年)に竣工しました。現在でも金山ダムは北海道唯一の中空式ダムとなっています。
金山ダムは国交省北海道開発局建設部が直轄管理する特定多目的ダムで、空知川の洪水調節、富良野盆地及び石狩平野の農耕地約2万8000ヘクタールへの灌漑用水の供給、滝川市への上水道用水の供給、北海道電力金山発電所での最大2万6000キロワットのダム水路式発電を目的としています。
その後1999年(平成11年)に空知川下流に滝里ダムが完成したことで、同ダムと連携して空知川のみならず石狩川下流部の洪水調節も担うことになります。
 
ダム湖のかなやま湖は総貯水容量1億5045万立米と中空ダムでは最大、北海道のダムとしても第4位の規模を誇っています。
さらにダム建設の際の地元との協定により湖面及び湖畔の環境整備が進められ、1993年(平成15年)には建設省(現国交省)より『地域に開かれたダム』の指定を受け、現在では北海道有数のアウトドア・レジャースポットとなっています。
これらを評価し金山ダムは日本100ダムに、かなやま湖はダム湖百選に選ばれているほか2020年(令和2年)には土木学会選奨土木遺産にも選定されました。
 
国道237号線の『かなやま湖』の標識に従って道道465号線を東に進むと金山ダムに到着します。
ダム下から
洪水吐はクレストのローラーゲート3門のみ。
河川法改正により後付けされた放流設備から河川維持放流が行われています。 
 
右岸高台の展望台からダムとダム湖を俯瞰。
 
同じく展望台から見た上流側と取水塔。
 
右岸から
中空ダムらしく堤頂部には襟がなく堤頂からすぐにスロープが始まります。
洪水吐導流部の膨らみも中空ダムならでは。
 
発電所への取水塔
発電後の放流水は灌漑用水に利用されるため、水温の高い表層水を取水するためフローティング方式を採用。
後付けの河川維持放流水もここで取水されます。
 
天端からは夕張山地が一望できます。
右手は芦別岳。
 
眼下の北海道電力金山発電所。
半地下のダム水路式発電所で、この放流水が利水利用されます。
 
貯水池のかなやま湖と繋留された巡視艇
総貯水容量は1億5045万立米で北海道第4位、中空ダム最大。
かなやま湖上流では湖面のレジャー・アウトドア利用が盛んでダム湖百選に選ばれています。
 
上流面
中空ダムおなじみの『たこ足』は水の中。
 
円形のモダンな管理事務所兼資料館。
 
選奨土木遺産のプレート。

 (追記)
金山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0073 金山ダム(1649)
北海道空知郡南富良野町金山
石狩川水系空知川
FAWP
HG
57.3メートル
288.5メートル
150450千㎥/130420千㎥
国交省北海道開発局
1967年
◎治水協定が締結されたダム


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