ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

杉安ダム

2021-10-21 06:44:38 | 宮崎県
2021年10月15日 杉安ダム
 
杉安ダムは左岸が宮崎県西都市南方、右岸が同市方内の二級河川一ツ瀬川中流部にある九州電力(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編で誕生した九州電力は戦後の電力不足に対処するため各所で電源開発を進めます。
一ツ瀬川では1959年(昭和34年)より九州最大規模となる一ツ瀬ダム・発電所の建設に着手し、併せて一ツ瀬発電所の逆調整池として1963年(昭和38年)に杉安ダムが竣工しました。
杉安ダムは一ツ瀬発電所の出力調整による水位変動を緩和するとともに杉安発電所(最大出力1万1500キロワット)でダム水路式発電を行います。
さらに1985年(昭和60年)に竣工した国営一ツ瀬川かんがい排水事業により杉安ダム貯水池には一ツ瀬川土地改良区杉安取水口が設けられ約3500ヘクタールの農地への灌漑用水がここで取水されます。
 
一方で一ツ瀬ダム完成以降豪雨等による濁水がダム湖に長期間滞留し下流の利水や河川環境への悪影響が顕在化します。
これに対し九州電力は一ツ瀬ダムの運用の変更や非常用放流設備の改造、当ダムでの底部放流設備の設置等により対応を図っていますが抜本的な解決には至っていません。
 
西都市中心街から一ツ瀬川沿いの国道219号線を北上すると、左手に杉安ダムが姿を現します。
堤高39.5メートル、堤頂長156メートルの小ぶりなアーチダムです。
クレストにはラジアルゲート7門を装備していますが、建屋の陰になり5門しか見えません。
 
訪問時は河川維持放流として右岸ゲートから放流中。
 
ゲートをズームアップ。
アームの傾斜がきつくゲートがそっくり返っているようです。
手前にはきれいな虹が見えます。
 
左岸ダム下流にあるこの設備は、濁水対策として新設された底部放流設備放流口。
 
ダムサイトの宮崎交通『杉安ダム』バス停。
 
ダム上流左岸には二つのゲートが並びます。
こちらは濁水対策として新設された底部放流設備取水ゲート。
貯水池の環境整備のため、貯水池低部の濁水の放流や排砂を行います。
 
こちらは杉安発電所への取水ゲート。
 
ダム上流面。
 
さらに上流から
総貯水容量は876万5000立米
一方有効貯水容量は堆砂が進み224万7000立米に留まり堆砂率は74%。
 
上流から遠望
左手が発電用取水口、右手が底部放流設備。
 
2828 杉安ダム(1699)
左岸 宮崎県西都市南方
右岸     同市方内
一ツ瀬川水系一ツ瀬川
39.5メートル
150.6メートル
8765千㎥/2247千㎥
九州電力(株)
1962年


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