ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

糠平ダム

2021-08-13 14:06:02 | 北海道
2021年7月19日 糠平ダム
 
糠平ダムは北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷の十勝川水系音更川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電気事業再編令により新たに北海道電力が誕生しますが、包蔵電力豊富な北海道の電源開発を同社のみで行うのは不可能で、公営発電である北海道企業局や半官半民の電源開発(株)による電源開発が併せて進められました。
電源開発(株)は十勝川支流の音更川や利別川での電源開発に注力し、1956年(昭和31年)に同社として北海道2番目のダムとして完成したのが糠平ダムです。
ここで取水された水は糠平発電所に導水され最大4万2000キロワットのダム水路式発電を行います。
さらに1960年(昭和35年)には糠平ダム下流5キロ地点に元小屋ダムが完成し、糠平発電所の放流水を流域変更して美里別川にある芽登第1・第2発電所に送り計5万5500キロワットのダム水力発電に供され、糠平ダムの巨大な貯水容量のより効率的運用が可能となりました。
現在電源開発(株)は計7基の発電所を十勝川水系に建設し、計18万キロワットを超える発電能力を持つに至っています。
なお糠平ダムは2021年(令和3年)に土木学会選奨土木遺産に選ばれました。
 
糠平ダム直下に国道273号線糠平大橋が架かりダムと正対できます。
広角レンズでダムと糠平大橋をワンフレームに。
 
糠平大橋はかなり高い位置にあるので、通常とは異なる位置でダムを眺めることができます。
 
北海道の厳冬に耐えるためか重厚感あふれる堤体。
1950年代のダムらしく直線状の導流壁は田子倉奥只見を彷彿させます。
導流部中段の穴は排砂ゲートでしょうか?
 
3門のクレストラジアルゲート。
 
ダム右岸に駐車場があります。
音更川の電源開発のダムの説明板。
 
上流面
ゲート両側の建屋が管理事務所を兼ねています。
 
糠平発電所の取水口
1950年代らしく大掛かりな設備です。
 
天端はゲート部分だけわずかに上流側にクランクしています。
 
天端からの眺め
正面が糠平大橋。
 
天端上流側の円形のバルコニー
昭和20~30年ごろの発電ダムでよく見られる作り。
 
ダム湖の糠平湖
湛水面積822ヘクタールは日本13位、北海道4位
総貯水容量1億9390万立米は日本19位、北海道4位。
 
佐久間田子倉奥只見など同時期建設された電源開発の巨大ダムに比べればスケールでは及ばないものの、糠平大橋の眺めや周辺の豊かな自然環境などトータルで見た魅力はそれらのダムに勝るとも劣ることはありません。
 
(追記)
糠平ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0047 糠平ダム(1680)
北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷
十勝川水系音更川
76メートル
293メートル
193900千㎥/160500千㎥
電源開発(株)
1956年
◎治水協定が締結されたダム


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