2017年7月17日 島地川ダム
山口県中部を南北に流下する佐波川は、流域に広がる県内有数の穀倉地帯を潤す一方で幾多の洪水被害をもたらしてきました。
1956年(昭和31年)に佐波川本流上流部に山口県によって佐波川ダムが建設されますが、本流に匹敵する流入量のある島地川は手つかずのままで佐波川水系の洪水対策は万全とはいえない状況でした。
一方で高度経済成長に伴う沿岸部への工場集積はとどまるところを知らず、併せて人口も増加の一途を辿り新たな都市用水の水源確保が喫緊の課題となってきました。
おりしも1966年(昭和41年)の河川法施工により佐波川水系は一級河川に指定され、建設省(国交省)は『佐波川総合開発事業』を策定、その中核事業として佐波川の主要左支流である島地川上流部に1981年(昭和56年)に竣工したのが島地川ダムです。
島地川ダムは世界で初めて堤体本体をRCD工法によって建設されました。
島地川ダムは島地川および佐波川の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水への補給と適正な河川流量の保持、防府市・周南市・山口市徳地地区への上水道用水及び工業用水の供給を目的としています。
工業用水については山口県企業局が周南市の旧新南陽地区および旧徳山地区向けの工業用水の水源として島地川ダムを利用しており、佐波川下流で取水された水は導水路で富田川にある山口県営の川上ダムへと送水されています。
今回は徳地から国道376号線を東進、国道が島地川ダムの天端を通っているのでアプローチは簡単です。
ダム右岸の管理事務所前の竣工記念碑。
RCD記念碑
そういえば同じRCD工法で建設された秋田の玉川ダムにも同じようなモニュメントがあったような?
下流面。
上流面
国交省直轄ですが、ゲートレスダムのため構造はシンプルです。
自由越流式洪水吐が4門とオリフィスゲート1門 右手に取水設備があります。
エレベーター棟
なんか半べそかいた顔に見えます。
ダム湖(高瀬湖)総貯水容量2060万立米
雨が上がった直後で空気が洗われ、スッキリした景色が広がりました。
減勢工
右手が利水放流設備で、河川維持放流が行われています。
天端は国道376号線
国道ですが交通量は非常に少なく見学中にほんの数台通っただけ。
下流から
前夜の雷雨で水位が上がったのか?オリフィスから放流されています。
ズームアップ
国交省直轄ダムだと、ゲートがごちゃごちゃあるイメージなのですが島地川ダムはゲートレスのスッキリした構造
V字の導流壁が格好いい!!
追記
島地川ダムには720万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに413万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
2086 島地川ダム(1086)
山口県周南市高瀬
北緯34度10分13秒,東経131度46分31秒
佐波川水系島地川
FNWI
G
89メートル
240メートル
20600千㎥/19600千㎥
国交省中国地方整備局
1981年
◎治水協定が締結されたダム
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