ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

ななせダム

2023-01-08 17:32:28 | 大分県
2022年11月18日 ななせダム
 
ななせダムは大分県大分市下原の一級河川大分川水系七瀬川にある多目的ロックフィルダムです。
大分川の治水や大分市への上水及び工水供給を目的として1978年(昭和53年)に大分川ダム建設事業が着手されますが、補償交渉の長期化や社会情勢の変化による利水需要の鈍化などもあり2005年(平成17年)にダムの目的がFNWIからFNWに変更されます。
本体工事着工は2013年(平成25年)にずれ込み、2020年(令和2年)にようやく大分川ダムが竣工しました。 
さらに大分川右支流七瀬川に建設されたにもかかわらず『大分川ダム』と命名されたことで各所からの異論が多く運用開始後に『ななせダム』に名称変更されました。
ななせダムは国交省九州地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムで、七瀬川および大分川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、大分市への一日最大3万5000立米の上水道用水の供給を目的としています。 
洪水調節については洪水時にダムで毎秒400立米をカットすることで、  芹川ダムと併せて下流の大分川基準地点で毎秒700立米の洪水調節を行い大分市街を洪水から守ります。    

ななせダムは建設にあたり景観や生態系などに配慮したダム造りが進められ日建連による土木賞を受賞、また湖畔への道の駅の設置や多目的広場の建設などダムを拠点にした地域活性化にも積極的に取り組んでいます。

ダム左岸を通る国道442号のダム下への入り口。


ダム下展望台から
右岸側には地山が残り下流からダムの全貌を見ることはできません。


日建連土木賞のプレート。


左岸のバスタブ型洪水吐
非常用・常用兼用で上流の青いゲートが常用洪水吐になります。


洪水吐導流部。


天端から見た洪水吐
中央の穴が常用洪水吐。


放流設備と河川維持放流。


天端は車両通行可能
正面は管理事務所で山の上に多目的広場があります。


総貯水容量2400万立米
所在地が合併前の旧野津原町であることから『のつはる湖』と命名されました。
ダム湖に架かるのはまんじゅう大橋。


堤頂長は496.1メートル
歩いて往復1キロ、約15分。
奇麗なリップラップは出来立てほやほや感。


上流面
堤体は中央右岸寄りでわずかに屈曲しています。


取水塔とバスタブ型洪水吐。


ダム湖畔の第2展望台にある『ダム式万歳』の図
ダム関係者の飲み会ではこれが必ず行われるという噂は真実なのか?


ななせダムの完成により、既設の芹川ダムと併せて下流の大分川府内大橋地点では最大毎秒700立米の洪水調節が可能となり、大分川の治水能力は大きく向上しました。

(追記)
ななせダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2793 ななせダム(1937)
大分県大分市下原 
大分川水系七瀬川 
FNW 
 
91.6メートル 
400メートル 
24000千㎥/22400千㎥ 
国交省九州地方整備局 
2020年 
◎治水協定が締結されたダム 


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