ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

山田池

2017-03-22 17:44:45 | 兵庫県
2017年3月18日 山田池
 
山田池は兵庫県の吞吐ダム南側、神戸市北区山田町衝原の加古川水系一ノ瀬谷川にある灌漑目的の表面石張粗石モルタル工ダムです。
粗石モルタル工というのは粗石とセメントを水で練り混ぜたもので、堤体表面は花崗岩の間知石が布積みされています。
竣工年度はダム便覧では1932年(昭和7年)、現地案内板では1933年(昭和8年)となっており、香川県の豊稔池ダムや兵庫県南あわじ市の上田池とともに日本最古の農業用コンクリートダムの一つとなります。
完成後は山田川疎水を通じ三木市から兵庫県西区に至る約800ヘクタールの農地に灌漑用水を供給していましたが、吞吐ダムの完成によりその役割を終えました。
しかしその土木技術的価値からBランクの近代土木遺産に選定されています。
 
山田池へは吞吐ダム左岸の県道85線沿いにある展望駐車場から車道を約1キロ、さらに『太陽と緑の道』と書かれた山道を約500メートル歩いて到着できます。
県道脇にあるこの標識が山田池への『太陽と緑の道』の入口です。
 
諸先輩方の訪問記を拝見すると『どこがハイキングコース!』とか『悪路』といった表現が出てきますが、登山をしていれば全く問題ない初心者コースの山道を歩くこと10分ほどで山田池に到着します。
円形の取水設備と3門の洪水吐の橋脚に目が行きます。
 
天端。
 
クレストの自由越流式洪水吐。
 
高欄のデザインもシンプルだけどお洒落。
 
取水設備も花崗岩の布積。
 
 
樹木が邪魔をしますが辛うじて下流面を撮影することができました。
高欄から下の緩やかなカーブは西洋の城壁のようです。
 
右岸側から堤体直下に下りることができます。
下から見上げると直線状の堤体は実際の堤高よりも高く見えます。
堤体中央の穴は排砂口でしょうか?
 
布積をズームアップ。
 
洪水吐と扶壁。
 
減勢工の水はここからトンネル式導水路で下流に流下します。
 
吞吐ダムの完成です一線を退いた山田池堰堤ですが、現地の表示を見るとどうやら昨年所有者の変更があったようです。
新しい所有者がどういう個人or法人なのかはわかりませんが、この素晴らしい建築物をいつまでも保存そして開放していただけることを願うばかりです。
 
1473 山田池(0862)
兵庫県神戸市北区山田町衝原
加古川水系一ノ瀬谷川
27.3メートル
78メートル
424千㎥/360千㎥
1932年


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