ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

御前山ダム

2015-12-05 11:00:00 | 茨城県
2015年12月04日 御前山ダム
 
御前山ダムは左岸が茨城県常陸大宮市上伊勢畑、右岸が同市下伊勢畑の一級河川那珂川水系相川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
那珂川沿岸一帯は肥沃な土壌と温暖な気候を生かし、江戸期より新田開発が進み県下有数の農業地帯となっています。
しかし灌漑施設の老朽化に加え、台地上の畑地帯や中小支川沿いの水田の多くは利水に乏しく生産性向上のため灌漑施設の刷新、整備が強く求められてきました。
1987年(昭和62年)に農水省による国営農業水利事業那珂川沿岸地区が着手され、 その灌漑用水源として2012年(平成24年)に竣工したのが御前山ダムです。
ダムは2014年(平成26年)より運用が開始されていますが、農業水利事業全体はいまだ継続中のため一部受益農地への補給に留まっています。
現在の管理は農水省関東農政局が行っており、事業竣工の暁には約8500ヘクタールを超える広大な農地に灌漑用水が供給される見通しです。
事業の概要については下記リンクをご覧ください。
 
那賀川沿いの国道123号から県道39号を南に進むと右手に御前山ダムが見えてきます。
下流の相川橋から洪水吐と正対できますが、堤体と洪水吐の間に地山があるため堤体が見えません。
 
洪水吐をズームアップ。
 
ダム本体は立ち入り禁止のため、フェンス越しに見るのみ。
春秋に見学会が実施されるようです。
 
右岸に横越流式洪水吐があります。
 
総貯水容量720万立米と関東の農業用ダムとしてはかなり大規模。
管理事務所に斜樋が併設されています。
 
周辺は那珂川が大きく蛇行し北関東の嵐山と呼ばれる美しい景観が続いています。
ダムはフェンスに閉ざされていますが、開放すれば周辺の観光拠点の一つとして活用できると思うのですが。
 
追記
御前山ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

3154 御前山ダム(0082)
左岸 茨城県常陸大宮市上伊勢畑 
右岸       同市下伊勢畑 
那珂川水系相川
52メートル
298メートル
7200㎥/6500㎥
那珂川沿岸土地改良区
2012年
◎治水協定が締結されたダム


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