ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

大松川ダム

2016-08-30 13:01:56 | 秋田県
2016年8月27日 大松川ダム
 
大松川ダムは秋田県横手市大松川の一級河川雄物川水系横手川右支流松川にある秋田県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、横手川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、新規灌漑用水の供給、横手市への上水道用水の供給、秋田県公営企業大松川発電所(最大出力1000キロワット)でのダム式水力発電を目的として1998年(平成10年)に竣工しました。
 
国道107号線から県道273号を北上すると大松川ダムに到着します。
クレスト自由越流頂11門、自然調節式オリフィス3門を装備。
 
上流面
手前に選択取水設備
左手に常用洪水吐のオリフィスが3門、うち洪水期用1門、非洪水期用2門でそれぞれ予備ゲートを備えています。
 
天端親柱にはユキツバキの装飾。
 
天端は歩行者のみ開放。
手前は取水設備操作室、右手はエレベーター棟。
 
減勢工と秋田県公営企業大松川発電所。
発電所は利水従属発電で最大出力1000キロワット。
 
総貯水容量1215万立米のダム湖(みたけ湖)
左手に艇庫とインクラインがあります。
 
左岸から下流面。
左右非対称で屋根が淡い紫色で統一された建屋群がアクセント。
 
左岸から上流面。
  
 
追記
大松川ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合に事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0391 大松川ダム(0505)
秋田県横手市山内大松川
雄物川水系松川
FNAWP
65メートル
296メートル
12150千㎥/11000千㎥
秋田県建設部
1998年
◎治水協定が締結されたダム

奥只見発電所見学会

2016-08-09 10:21:09 | ダム見学会
2016年8月6日 奥只見発電所見学会
 
魚沼スタンプラリーの一環で奥只見ダムの電力館を訪問したら発電所の見学会があるということで参加してきました。
事前に見学会があることなど露知らず、『重力式コンクリートダムの堤高日本一のダムを下流から見上げてみたいなあ』と思っていた矢先の僥倖です。
 
奥只見ダム左岸高台にある電力館。
 
奥只見ダムを俯瞰できます。
 
堤体高欄に埋め込まれた鹿島建設の銘板。
 
それでは見学会スタート。
まずはダムの概要説明から。
 
立入禁止エリアへ。
 
堤高157メートルを見下ろします。
川を挟んで左が新潟県、右が福島県
発電所は右手の山中地下にあります。
 
エレベーター棟の窓から。
 
エレベーターへ。
天端が1階、下に向かうにつれ数字が増えてゆく変わったエレベーター。
 
ダム最下層11階へ。
 
監査廊へ
30度の外界に比べて寒い!!
 
気温は10度。
 
さらにエレベーターで下に下り発電所へ。
これは発電所への物資を下すための立坑。
 
いよいよ一般水力発電日本最大出力を誇る奥只見発電所です。
 
発電所のクレーン。
 
建設当初からの1号機から3号機はそれぞれ13万7000キロワットの出力。
 
 
2003年(平成15年)に増設された4号基。
出力20万キロワット。
この増設により田子倉発電所を抜き、一般水力発電日本一となりました。
 
水力発電機の模型。
 
水車と発電機のシャフト。
この下に水車が、上に発電機があります。
 
3号機と4号基の間にある斜坑。
この斜坑の先で映画ホワイトアウトで織田裕二演じる富樫が放流管で流されるシーンを撮影したそうです。
 
このバイクは大鳥ダムとの往来に使うそうです。
 
エレベーターで上に上がり搬入路へ。
 
発電所は大成建設施工。
 
搬入路を出ると・・・
重力式コンクリートダム堤高日本一の奥只見ダムを直下から見上げます。
ちなみにこちらは福島県。
 
ゲートをズームアップ。
 
ジャンプ台式減勢工。
 
これにて約1時間ちょっとの奥只見発電所見学会は終了です。
予想していなかった見学会だけに参加できて本当にラッキー。
一般水力発電日本最大出力の奥只見ダムと、Gダム堤高日本一の奥只見ダムを十二分に見学できて満足このうえなし。

奥只見ダム

2016-08-08 19:01:27 | 新潟県
2016年8月6日 奥只見ダム
 
奥只見ダムは左岸が新潟県魚沼市湯之谷芋川、右岸が福島県南会津郡桧枝岐村の阿賀野川水系只見川源流部にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
水量豊富で急流河川の只見川では戦時中から日本発送電(株)により電源開発が進められてきましたが、一方で各種利権の対立もあり尾瀬分水や只見川分流など様々な開発案が検討され混迷を極めていました。
1953年(昭和28年)に只見川上流域は電源開発、中下流から阿賀野川については東北電力というすみ分けが決まったことを受け両社は積極的な電源開発に邁進します。
電源開発は最上流部に奥只見、上流部に田子倉という日本屈指のダム・発電所建設を同時に進め、まず1960年(昭和35年)に奥只見ダム・発電所が、翌1961年(昭和36年)に田子倉ダム・発電所が完成しました。
奥只見ダムは総貯水容量6億100万立米(全ダム中第2位)、湛水面積1150ヘクタール(全ダム中4位)、堤高157メートル(重力式コンクリート第1位)と日本屈指のスケールを誇っています。
またダム直下の奥只見発電所は当初の最大出力32万キロワットから2003年(平成15年)の4号発電機増設により最大56万キロワットに増強され、これは一般水力発電としては日本最高出力となっています。
奥只見ダムは日本ダム協会により日本100ダムに選ばれているほか、豪雪地帯の水資源と地形を巧みに利用したダム・電源開発等の河川史や地域資産として高く評価され2023年(令和5年)に『只見川ダム施設群』として土木学会選奨土木遺産に選定されました。
またダム湖の奥只見湖もダム湖百選に選ばれています。
 
今回は訪問時に偶々発電所見学会が実施されており、一般水力発電日本一の発電所内部や、堤高Gダム日本一の堤体を直下から見上げることができました。
見学会についてはこちらをご覧ください。
 
小出から国道352号~シルバーラインが車でのアクセスルートとなります。
クレストにはラジアルゲート2門装備
すっきりとした堤体や直線状の導流壁など同時期に建設され田子倉ダム との共通点が多いデザイン。
 
電源開発のダムではおなじみ、ダムの銘版プレートが埋め込まれています。
 
天端はゲート手前で立ち入り禁止。
右岸にはガントリークレーンが鎮座。
 
減勢工はジャンプ台式、
河川維持放流を利用した小水力発電もおこなわれています。
小水力とはいえ落差157メートルを生かして最大出力は2700キロワットもあります。
 
導流部と減勢工
重力式コンクリートダム日本最高、堤高157メートルの迫力!
 
総貯水容量6億100万立米と日本第2位の貯水量を誇るダム湖(奥只見湖)
右奥のなだらかな山は日本百名山の平ヶ岳、その彼方は尾瀬になります。
 
上流面。
 
左岸から俯瞰。
日本屈指の豪雪地帯、ダム下流右岸側にはアバランチシュートが幾筋もできています。
 
今回は発電所見学会に参加できたので、普段は立ち入れないダム直下から見上げることができました。
導流部中段にハウエルバンガーバルブがあります。
 
ゲートをズームアップ。隣はエレベーター棟。
 
ジャンプ台式の減勢工。
 
(追記)
奥只見ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0500 奥只見ダム(0504)
左岸 新潟県魚沼市湯之谷芋川
右岸 福島県南会津郡桧枝岐村
阿賀野川水系只見川
157メートル
480メートル
601000千㎥/458000千㎥
電源開発(株)
1960年
◎治水協定が締結されたダム

黒又ダム

2016-08-08 18:00:00 | 新潟県
2016年5月21日 黒又ダム
     8月 6日 

黒又ダムは左岸が新潟県魚沼市大栃山、右岸が同市穴沢の一級河川信濃川水系破間川左支流黒又川にある東北電力(株)が管理する発電目的の表面石貼り玉石コンクリート造重力式ダムです。
破間川水系では融雪による豊富な水量に着目して戦前より電源開発が進められますが、黒又ダムもそんな発電施設の一つで1926年(大正15年)に北越水力(株)によって建設されました。
ダムおよび発電所は日本発送電による接収ののち1951年(昭和26年)の電気事業再編成により東北電力が事業を継承しました。
破間川から導水された水が黒又川に貯留されたのち、約3.1キロの導水路で上条発電所に送られ最大8000キロワットの水路式発電を行っています。
黒又ダムは黒又川にありますが、発電用水は破間川から導水されているため発電用取水ダムではなく発電調整池と言う括りになり上条発電所も水路式発電所になります。
なお黒又ダムは戦前の貴重な石積み堰堤としてBランクの近代土木遺産に選定されています。
 
入広瀬で国道252号から県道500号に右折し黒又川沿いに進むと左手に黒又ダムが見えてきます。
これまで大湊堰堤や青下ダムなど石貼りのダムをいくつか見てきましたが、黒又ダムもそれらと並ぶビンテージの石貼りダムです。
残念ながら越流はしていませんが、草が生え赤茶けた堤体はこれはこれでなかなかいいものです。
 
2度目の訪問、水量が多いせいか右岸から越流しています。(2016年8月6日)
 
ズームアップ(2016年8月6日)
 
左岸にクレストゲートがありますが、クレスト放流が行われることはめったにないようです。
1門だけのゲートビアですが、被覆されているのは雪国ならではですね。
 
丸みを帯びた越流面と前面に突き出た導流壁のアンバランスが目を惹きます。 
 
右岸の洪水吐
直角に折れ曲がった越流面も堤体です。
 
同じアングルで越流バージョン(2016年08月6日)
 
上流から
右岸側の洪水吐への越流面も玉石貼りとなっています。
 
ダム湖は堆砂が進み中州が出来上がっています。
発電ダムなので問題ないのですが、このまま堆砂が進めば湿原になりそう。
 
左岸の取水口
 
沈砂池への流入口
 
沈砂池
右手は余水吐のようです。
左手のスクリーンが上条発電所への導水路の呑口です。
 
一度見てみたかったビンテージダムです。
石貼りもさることながら、堤体が右岸の洪水吐に沿って長く折れ曲がり珍しいスタイルなのも目を引きました。
堤体から沁み出た錆色の骨材成分など見どころたっぷりでしたが、次回はぜひ豪快な放流を見てみたいですね。
 
この後は黒又川第一ダムへ向かおうとしましたが、ダムへの道の冬期通行止めが解消されていませんでした。
 
(追記)
黒又ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0722 黒又ダム(0397)
左岸 新潟県魚沼市大栃山
右岸     同市穴沢
信濃川水系黒又川
24.5メートル
228.4メートル
1454千㎥/469千㎥
東北電力(株)
1926年
◎治水協定が締結されたダム

黒又川第二ダム

2016-08-08 15:10:58 | 新潟県
2016年8月6日 黒又川第二ダム
 
黒又川第二ダムは新潟県魚沼市大栃山の信濃川水系破間川左支流黒又川にある電源開発(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
融雪による豊富な水量に着目して破間川流域では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した東北電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で尾瀬を水源とする周辺各河川の埋蔵電力は豊富で、只見川上流部や黒又川については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
事業に際して同じ電源開発の奥只見ダムから導水路で黒又川に分水し、信濃川を通じて新潟平野の灌漑用水供給を行うという『只見川分流案』も遡上に上がりましたが、関係自治体や企業間の利害対立もあり計画は混迷、結局電源開発が黒又川に巨大貯水ダムを建設することで事態の収拾が図られました。
電源開発(株)は1954年(昭和29年)より黒又川の発電事業に着手し、1958年(昭和33年)の黒又川第一ダムおよび発電所に次いで、1964年(昭和39年)に竣工したのが黒又川第二ダムです。
運用開始当初は最大1万7000キロワットの混合揚水式発電が行われていましたが、現在はコストの問題もあり一般水力のダム式発電のみとなっています。
 
黒又川第一ダムから第二ダムに通じる県道は2004年(平成16年)の新潟福島豪雨と中越地震により通行不能となり現在も通行止めが継続しています。
 
ダムには行けないのに電源開発小千谷電力所でダムカードが配布されています。
 
(追記)
黒又川第二ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0752 黒又川第2ダム
新潟県魚沼市大栃山
信濃川水系黒又川
82.5メートル
235.2メートル
60000千㎥/50000千㎥
電源開発(株)
1964年
◎治水協定が締結されたダム

黒又川第一ダム

2016-08-08 15:02:01 | 新潟県
2016年8月6日 黒又川第一ダム
 
黒又川第一ダムは新潟県魚沼市大栃山の信濃川水系破間川左支流黒又川にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
融雪による豊富な水量に着目して破間川流域では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した東北電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で尾瀬を水源とする周辺各河川の埋蔵電力は豊富で、只見川上流部や黒又川については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
事業に際して同じ電源開発の奥只見ダムから導水路で黒又川に分水し、信濃川を通じて新潟平野の灌漑用水供給を行うという『只見川分流案』も遡上に上がりましたが、関係自治体や企業間の利害対立もあり計画は混迷、結局電源開発が黒又川に巨大貯水ダムを建設することで事態の収拾が図られました。
電源開発(株)は1954年(昭和29年)より黒又川の発電事業に着手し、1958年(昭和33年)に竣工したのが黒又川第一ダムです。
ここで取水された水は約4.6キロの導水路で黒又川第一発電所に送られ最大6万1500キロワットのダム水路式発電が行われています。
さらに1964年(昭和39年)には第一ダム上流5キロ地点に黒又川第二ダムと第二発電所が完成、当初は最大1万7000キロワットの混合揚水発電(現在はダム式発電)が開始されました。
両ダム合わせて約1億立米の貯水容量により破間川は言うに及ばず下流の魚野川や信濃川の河川流量の季節変動を平準化し、結果として流域の減災や既得取水権への補給の安定化にも貢献しています。
 
黒又川第一ダムには2016年5月に訪問を試みますが、この時は道路がまだ冬期通行止めのため叶わず、8月の再訪でダムに到達できました。
5月21日は下流の黒又ダムの先でゲートアウト。
 
下流から遠望
昭和30年代の電源開発のダム共通の直線状の導流壁。
クレストにはラジアルゲート2門、このほか写真では見えませんが、常用洪水吐として低水位放流管も備えています。
 
 
右岸から。
 
電源開発のダムではおなじみ、ダム名の銘版プレート。
 
貯水池は総貯水容量4284万立米
対岸に大がかりな取水設備があります。
 
天端は車両通行可。
 
管理事務所を兼ねた黒又川第一発電所への取水設備。
 
ゲート操作室。
 
減勢工はジャンプ台でした。
 
管理事務所。取水口を兼ねています。
立入禁止エリアで釣りをするバカ1名。
 
上流の黒又川第二ダムへの道は依然がけ崩れのため通行止めです。
 
(追記)
黒又川第一ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0745 黒又川第一ダム(0503)
新潟県魚沼市大栃山
信濃川水系黒又川
91メートル
276メートル
42845千㎥/30627千㎥
電源開発(株)
1958年
◎治水協定が締結されたダム

二津野ダム

2016-08-05 10:16:24 | 奈良県
2016年8月1日 二津野ダム
 
風屋ダムは左岸が奈良県吉野郡十津川村山手谷、右岸が同村桑畑の一級河川新宮川本流(十津川)にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
日本屈指の降水量を誇る紀伊山地各河川では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した関西電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で当地域の埋蔵電力は豊富で、新たな電源開発を関西電力のみで行のは財務的、物理的にも困難で、一級河川新宮川水系については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
同社は昭和30年代より新宮川水系での電源開発に着手し1960年(昭和35年)に風屋ダムと十津川第一発電所が完成、次いで1962年(昭和37年)に竣工したのが二津野ダムです。
ここで取水された水は約8キロの導水路で同時に完成した十津川第二発電所に送られ、最大5万8000キロワットのダム水路式発電が行われています。
この後電源開発は新宮川水系に5基のダムと4箇所の発電所を建設し、併せて一般水力24万5000キロワット、混合揚水35万キロワットの発電能力を有するに至りました。
 
十津川村中心部から国道168号線を南下すると眼下に二津野ダムが見えてきます。
国道からアーチダムを俯瞰できるのは珍しい。
プランクトンの影響か水は濃いエメラルドグリーン。
対岸に八角形の取水設備と取水ゲートが見えます。
 
取水設備をズームアップ。
ここから十津川第二発電所へ送水されます。
 
放流設備としてクレストに7門のローラーゲートを装備。
ゲートとピアはグリーンで統一されています。
また右岸側1門に河川維持放流用のオリフィスゲートが2門ついています。
 
河川維持放流。
対岸上流側に集落があるため、天端は車両通行可能。
 
仮排水路跡。
 
 
総貯水容量4300万立米のダム湖(二津野貯水池)
水の緑色が濃い。
 
左岸から
 
上流面
対岸の管理事務所裏手にインクラインが見えます。
 
ダム湖は緑、森も緑、ゲートとゲートビアも緑
まさにグリーンのアーチダムでした。
 
追記
二津野ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1562 二津野ダム(0501)
左岸 奈良県吉野郡十津川村山手谷
右岸         同村桑畑
新宮川水系十津川
76メートル
210.6メートル
43000千㎥/11000千㎥
電源開発(株)
1962年
◎治水協定が締結されたダム

奥里ダム

2016-08-05 10:12:01 | 奈良県
2016年8月1日 奥里ダム
 
奥里ダムは奈良県吉野郡十津川村内原の新宮川水系滝川にある電源開発(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
新宮川水系での電源開発に着手した電源開発(株)は風屋ダムの貯水容量確保のため、ダム下流で熊野川(十津川)本流に合流する支流の滝川から風屋貯水池への導水を図ります。
その取水ダムとして1960年(昭和35年)に建設されたのが奥里ダムで、ここで取水された水は約4キロの導水路で風屋ダムに送られます。
 
国道168号の風屋大橋北詰を東に折れ、滝川沿いの村道を進むと左手に奥里ダムが現れます。
訪問時は全面越流しており、恰もアーチのナイアガラと言うべき眺め。
堤体両岸が高くなっているうえに堆砂が進んでいるので、ぱっと見アーチ状の砂防ダムに見えます。
 
水叩きは中央に向けて傾斜しており越流した水は中央に集まります。
 
 
ズームアップ
とにかく水がきれい!!
 
 
越流部左手に排砂ゲート。
取水口は写真真下手前側にあります。
 
 
 
堆砂率100%
総貯水容量17万6000立米に対し有効貯水容量はゼロ。
でも取水できればいいという判断なんでしょう。
 
3598 奥里ダム(0500)
奈良県吉野郡十津川村内原
新宮川水系滝川
20.5メートル
81.3メートル
176千㎥/0千㎥
電源開発(株)
1960年

風屋ダム

2016-08-04 19:19:50 | 奈良県
2016年8月1日 風屋ダム
 
風屋ダムは奈良県吉野郡十津川村風屋の一級河川新宮川本流(十津川)にある電源開発(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
日本屈指の降水量を誇る紀伊山地各河川では戦前より電源開発が進められ、これらの発電施設は1951年(昭和26年)の電気事業再編令により誕生した関西電力(株)が事業を引き継ぎました。
一方で当地域の埋蔵電力は豊富で、新たな電源開発を関西電力のみで行のは財務的、物理的にも困難で、一級河川新宮川水系については電源開発(株)によって発電事業が進められることになりました。
同社は昭和30年代より新宮川水系での電源開発に着手し、同水系同社初のダムとして1960年(昭和35年)に竣工したのが風屋ダムです。
ここで取水された水は約8.5キロの導水路で同時に完成した十津川第一発電所に送られ、最大7万5000キロワットのダム水路式発電が行われています。
この後電源開発は新宮川水系に5基のダムと4箇所の発電所を建設し、併せて一般水力24万5000キロワット、混合揚水35万キロワットの発電能力を有するに至りました。 
 
国道168号で十津川村に入り、十津川沿いを南下すると風屋ダムに到着します。
天端は車両通行可能で両岸に駐車場がありますが、今回は左岸に車を止めてダムを見学します。
駐車場の脇に巨大な予備ゲートが横たわっています。
 
ケーブルクレーン台座跡。
 
左岸から
 
天端は車両通行可能。
 
右岸には管理事務所と十津川第一発電所への取水口。
 
天端から下流を眺めると・・・。
 
総貯水容量1億3000万立米のダム湖(風屋貯水池)
右手は風屋集落。水没家屋の多くがここに移住したようです。
 
堤体上流面。
鉄骨トラスのゲートビアが特徴的。
 
下流の風屋大橋から
クレストローラーゲート4門と導流部中央にハウエルバンガーバブルを装備。
 
追記
風屋ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1561 風屋ダム(0499)
奈良県吉野郡十津川村風屋
新宮川水系十津川
101メートル
320.5メートル
130000千㎥/89000千㎥
電源開発(株)
1960年
◎治水協定が締結されたダム

旭ダム

2016-08-04 15:37:45 | 奈良県
2016年8月1日 旭ダム
 
旭ダムは奈良県吉野郡十津川村旭の新宮川水系旭川にある関西電力(株)が管理する発電目的のアーチ式コンクリートダムです。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
奥吉野発電所は関西電力3番目の純揚水式発電所として1983年(昭和58年)に完成し、旭ダムは同発電所の下部調整池として前年の1982年(昭和57年)に竣工しました。
上部調整池である瀬戸ダムと有効落差505メートルを利用して最大120万6000キロワットの純揚水式発電を行っています。
旭ダムはドーム型アーチダムで、ダム中央部はオーバーハングになっているのが特徴です。
また堆砂対策として日本で初めて排砂バイパストンネルが併設されました。
一方上部調整池である瀬戸ダムは管理道路入り口が閉鎖され関係者以外立ち入ることができません。
 
国道168号線の田長瀬トンネルの先から村道を旭川沿いに進むと旭ダムに到着します。
ダム中央がオーバーハングになったドーム式アーチ。
 
放流設備としてはクレストラジアルゲート3門のほか、堤体下部にホロージェットバルブ2条を装備。
 
クレストラジアルゲートはもちろん関電ブラック。
 
堤体下部にはホロージェットバルブが2条
奥は常用洪水吐に相当し最大放流量100㎥/秒、手前は河川維持用で10㎥/秒。
 
天端は立ち入り禁止で見学は左岸からのみ。
 
上流面をみるとドーム型アートであることがよくわかります。
訪問したのは夏の午前、電力需要が高まる午後に備えて夜間のうちに上部ダムに揚水されたため水位は低くなっています。
 
インクライン。
 
ダムの説明板。
 
東日本大震災前までは奥吉野発電所に隣接した旭エレハウスで地下発電所や瀬戸ダムの見学を受けてけていました。
しかし原発停止による関西電力の収益悪化で、旭エレハウスは閉鎖、見学も中止されています。 
 
追記
旭ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1571 旭ダム(0498)
奈良県吉野郡十津川村旭
新宮川水系旭川
86.1メートル
199.4メートル
16920千㎥/12500千㎥
関西電力(株)
1978年
◎治水協定が締結されたダム

池津川取水ダム

2016-08-04 14:04:23 | 奈良県
2016年8月1日 池津川取水ダム
 
池津川取水ダムは左岸が奈良県吉野郡野迫川村中津川、右岸が同村立里の新宮川水系池津川にある国交省近畿地方整備局が管理する重力式コンクリートダムです。
猿谷ダム下流で新宮川に合流する支流の川原樋川流域の水を猿谷貯水池へ導水するための川原樋川導水トンネルを構成する4基の取水堰堤の一つで、4基の中で唯一堤高15メートルを超えています。
ダムの目的は猿谷ダム同様不特定利水と関西電力西吉野第一発電所でのダム水路式発電です。
 
川原樋川導水トンネルと池津川取水ダムの概略図(国交省近畿地方整備局の説明図より)
 
五条市大塔町国道168号線から県道734号に入り県道とは名ばかりの悪路を池津川沿いに遡上すると池津川取水ダムに到着します。
路上の落石が多くあまりにもひどい道路状況に何度も引き返そうかと迷いましたが、無事到着できてホッとしました。
見た目の堆砂率は100%。
貯水池はなくほぼ砂に覆われていますが取水できればOKということなんでしょう。
 
堆砂が進みダムのすぐそばまで接近できます。
 
土砂吐ゲートと取水口。
 
左手が沈砂池。ダム下を川原樋川導水トンネルが通っており、ここで取水した水は猿谷ダムへ送られます。
 
小さなダムですが、これでも国交省直轄ダムです。
 
3593 池津川取水ダム(0497)
左岸 奈良県吉野郡野迫川村中津川
右岸         同村立里
新宮川水系池津川
NP
16.8メートル
42.7メートル
--千㎥/--千㎥
国交省近畿地方整備局
1956年

九尾ダム

2016-08-04 11:17:50 | 奈良県
2016年8月1日 九尾ダム
 
九尾(つづらお)ダムは奈良県吉野郡天川村九尾の新宮川水系十津川左支流天の川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
全国屈指の多雨地帯である紀伊半島では、その豊富な水量を生かして戦前から各河川で電源開発が進められてきました。
九尾ダムもそんな発電施設の一つで、1937年(昭和12年)に戦前の五大電力の一つ宇治川電気によって建設され、ここで取水された水は和田発電所(最大出力2100キロワット)と長殿発電所(完成当時最大出力1万5300キロワット)に送られ計1万5400キロワットのダム水路式発電が開始されました。
天の川流域の発電施設は日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業を継承しています。
しかし2011年(平成23年)の紀伊半島大水害により長殿発電所は全壊、2018年(平成30年)に出力を1万6200キロワットに増強して復旧工事が竣工しました。
 
天川村中心部から天の川沿いに県道53号を進むと左手に九尾ダムが見えてきます。
 
関電ブラックのラジアルゲートが5門。
訪問時は長殿発電所停止中のためゲートはすべて開放。
 
和田発電所への取水口。
取水も中断中。
 
天端。
 
5門のゲートは開放されたまま
奥に排砂ゲートがあります。
 
 
高速でシャッターを切ると鱗が現れました。
 
2018年(平成30年)の長殿発電所再建までゲートの開放は続きました。
 
追記
九尾ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1553 九尾ダム(0496)
奈良県吉野郡天川村九尾
新宮川水系天の川
26.5メートル
98.2メートル
1137千㎥/648千㎥
関西電力(株)
1937年
◎治水協定が締結されたダム

川迫ダム

2016-08-04 10:55:32 | 奈良県
2016年8月1日 川迫ダム
 
川迫(こうせ)ダムは奈良県吉野郡天川村北角の新宮川水系十津川左支流天の川にある関西電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムです。
全国屈指の多雨地帯である紀伊半島では、その豊富な水量を生かして戦前から各河川で電源開発が進められてきました。
川迫ダムもそんな発電施設の一つで、1940年(昭和15年)に戦前の五大電力の一つ宇治川電気によって建設され日本発送電の接収ののち、1951年(昭和26年)の電気事業再編政令により関西電力が事業を継承しています。
天の川および弥山発電所の放流水がダム湖に貯留され、ここで取水された水は約4.4キロの導水路で川合発電所に送られ最大7000キロワットのダム水路式発電が行われています。
 
天川村中心部から国道とは名ばかりの国道309号を東に進むと川迫ダムに到着します。
右岸から。
 
国道を挟んだ斜面にプラント跡と思われる施設が残り、巡視船が置かれています。
 
上流から
関電なので当然ゲートは黒なんでしょう
管理橋はゲート部分だけが高くなった戦前、戦中に多く見られる形状。
 
ずいぶん堆砂が進んでいます。
この貯水池左手に関西電力弥山発電所があるんですが、写真を撮るのを失念してしまいました。
 
追記
川迫ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1556 川迫ダム(0495)
奈良県吉野郡天川村北角
新宮川水系天の川
36.5メートル
111.6メートル
476千㎥/400千㎥
関西電力(株)
1940年
◎治水協定が締結されたダム

上津ダム

2016-08-03 23:53:37 | 奈良県
2016年7月31日 上津ダム
 
上津ダムは奈良県山辺郡山添村西波多の淀川水系遅瀬川にある灌漑・上水目的の重力式コンクリートダムです。
奈良県北東部に位置する大和高原は標高200~500メートルの隆起準平原で冷涼な気候と多発する朝霧を利用して茶栽培が盛んな一方、複雑な地形と乏しい水利により農業経営は零細で生産性向上のため灌漑施設の整備が重要課題となっていました。
1975年(昭和50年)に農水省による国営大和高原北部地区農業総合開発事業が着手され、その水源として2000年(平成12年)に竣工したのが上津ダムです。
運用開始後は関係自治体である奈良市・天理市・宇陀市・山添村が管理を受託していますが、実際の管理は山添村に委任され、約1800ヘクタールの農地に灌漑用水を供給するほか、山添村簡易上水道に上水道用水を供給しています。
また2014年(平成26年)には河川維持放流を利用した上津ダム小水力発電所(最大出力53キロワット)が増設されました。
 
名阪国道山添インターから県道80号を西に向かい村道を南に折れると上津ダムに到着します。
農業用ダムらしく洪水吐はクレスト自由越流頂3門のみ。
水質によるものか導流部が茶色になっています。
 
天端親柱にはツツジの装飾。
 
天端は車両通行可。
 
取水設備。
ダム湖の水はずいぶん濁っています。
導流部の着色は水質によるものなんでしょう。
 
インクラインはなく、左岸に桟橋。
 
減勢工。
手前は河川維持放流を利用した小水力発電所
奥は灌漑用水の機場
訪問時は小水力発電所からの放流に加え下部放流設備のジェットフローゲートからも放流されていました。
 
見づらいですが奥の建物から斜面に沿って鉄管が伸びています。
ここをポンプで揚水して灌漑用水を送水します。
 
下流面。
 
上流から。
 
追記
上津ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1577 上津ダム(0494)
奈良県山辺郡山添村西波多
淀川水系遅瀬川
AW
63.5メートル
264メートル
5600千㎥/5120千㎥
奈良市・天理市・宇陀市・山添村
2000年
◎治水協定が締結されたダム

比奈知ダム見学会

2016-08-03 19:46:12 | ダム見学会
2016年7月31日 比奈知ダム見学会
 
7月31日は三重県名張市の水資源機構が管理する比奈知ダムの見学会に参加してきました。
比奈知ダムといえば全国に4基しかない天端側水路が特徴で、例年見学会では天端側水路を歩けるということで、奈良への帰省に合わせてこの見学会にはぜひ参加したいと考えていました。
近鉄橿原神宮前駅で8月半ばからアメリカへ留学する姪っ子と落ち合い見学会開始時間の9時にダムへ到着。
受付時点でダム湖の巡視船乗船イベントはすでに満員、ということで10時からのダム見学会に参加しました。
 
控室で職員の方から比奈知ダムの説明を受けます。
 
10時から見学会がスタート、ここで今年は改修のため天端側水路の見学はないと知らされかなりがっかり!!
気を取り直してフーチングから堤体直下へと下ります。
 
洪水吐導流部を間近で見上げます。
 
クレストをズームアップ。
 
次は発電所の見学。
 
発電所へと向かいます。
 
中電の職員さんからの説明。
 
発電所の中も見学できましたが写真掲載は自粛。
 
利水放流設備バルブ室。
 
監査廊へ。
 
堤頂へ続く240段の階段、今回は見上げるだけ。
 
B2監査廊は気温16度、湿度95%。
 
コンジットゲート操作室。
 
最後の階段。
 
これにて見学会は終了。
天端を歩きます。
 
日本で4基しかない天端側水路。
歩きたかったなあ・・・。
 
左から比奈知発電所、発電所バルブ室、利水放流設備バルブ室。
 
11時30分スタートの見学者がフーチングを下りてゆきます。
 
天端も車でいっぱい。
 
減勢工。
 
ダム湖(ひなち湖)。
 
体験乗船の巡視船が取水設備に接近しています。
乗りたかったなあ・・・。
 
船に乗れず、楽しみにしていた天端側水路の見学もなく、ちょっと消化不良な見学会となってしまいました。
ただ初めてダムの見学会に参加した姪っ子は大喜び、ダムマニアに引き込めるかな?
来年も同じ時期に見学会があるので来年こそ天端側水路を歩きたいと思います。