ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

牛頸ダム

2017-10-05 12:53:21 | 福岡県
2017年9月20日 牛頸ダム
 
牛頸ダムは福岡県大野城市牛頸の御笠川水系左支流牛頸川上流部にある福岡県県土整備部が管理する治水目的のロックフィルダムです。
建設省の補助を受けて建設された補助治水ダムで、牛頸川および御笠川の洪水調節、両河川の安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1991年(平成2年)に竣工しました。
水道事情が苦しい福岡県にあっては数少ない上水道目的のない県営ダムで、ダムの完成により福岡のベッドタウンとして急速に宅地化が進んでいた御笠川及び牛頸川流域の治水能力は大きく向上しました。
 
ダム建設に合わせて周辺一帯は大野城いこいの森として整備が行われ、中央公園や水辺公園、さらに牛頸川源流部にキャンプ場などが設けられ筑紫地区有数のレクリエーションエリアを形成しています。
またダム湖上流はホタルの生息地としても知られています。
 
県道505号線に牛頸ダムへの標識があり、これに従って南に折れると牛頸ダムが見えてきます。
管理事務所への道が洪水吐減勢工を跨いでおり、ここが下流からの展望ポイントとなります。
 
リップラップには草木が茂り、一見しただけではロックフィルダムと見分けがつかなくなっています。
 
右岸の横越流式洪水吐
写真ではちょっとわかりづらいですが、洪水吐の奥の小さな穴が常用洪水吐になります。
 
導流部は大きく湾曲しながら斜水路へと続きます。
 
 
上流面
こちらもずいぶん草木が茂っています。
 
天端は車両進入禁止。
 
ダム下は芝生の公園で東屋もあります。
 
洪水吐脇の管理事務所
事務所からはインクラインと斜樋が並んでいます。
 
通称大野貯水池と呼ばれるダム湖は総貯水容量228万立米。
治水ダムですが、不特定利水容量分が貯水されています。
 
ダムのすぐ下流には福岡地区水道企業団の牛頸浄水場がありますが、牛頸ダムと水のやり取りはありません。
 
追記
牛頸ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2440 牛頸ダム(1135)
福岡県大野城市牛頸
御笠川水系牛頸川
FN
 
52.7メートル
383メートル
2280千㎥/2100千㎥
福岡県県土整備部
1998年
◎治水協定が締結されたダム

大佐野ダム

2017-10-05 11:26:31 | 福岡県
2017年9月20日 大佐野ダム
 
大佐野ダムは福岡県太宰府市大佐野の御笠川水系大佐野川源流部にある太宰府市上下水道課が管理する上水道用水目的のアースフィルダムです。
高度成長以降、大宰府周辺は福岡のベッドタウンとして人口急増が続き上水道の給水能力がひっ迫する事態が慢性化していました。。
これを受け当時の太宰府町の事業により1974年(昭和49年)に完成したのが大佐野ダムです。
大佐野ダム完成により新たに日量2400立米の給水能力が確保されましたが、太宰府の人口増加は留まる事を知らず、ダム完成前年の1973年(昭和48年)から実に30年にわたって給水制限が続く異常事態が継続しました。
その後も新たな水源確保は続きますが、太宰府市の給水制限が解除されるのは2002年(平成14年)水資源機構の大山ダムを水源とする福岡地区水道企業団からの受水開始まで待つことになります。
 
太宰府市大佐野の県道505号線から太宰府メモリアルパークの標識に従って南に折れ住宅街を抜けると大佐野ダムに到着します。
上水道水源のため堤体への立ち入りは制限され右岸から眺めるのみです。
洪水吐越しに
上流面はコンクリートで護岸。 
 
横越流式洪水吐。
 
 
 
総貯水容量は17万5000立米。日量2400立米の水を給水します。
 
左岸の斜樋。
 
竣工記念碑
ダムの諸元が記載されています。
 
水利使用標識。
 
 大佐野ダム訪問をきっかけに太宰府市水道事業の歴史を調べると、福岡の他の自治体同様水不足解消のための闘いの歴史であったことがよくわかります。
 
追記
大佐野ダムには洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2426 大佐野ダム(1134)
福岡県太宰府市大佐野
御笠川水系大佐野川
25.5メートル
77.5メートル
195千㎥/175千㎥
大宰府市上下水道課
1974年
◎治水協定が締結されたダム

北谷ダム

2017-10-05 00:07:14 | 福岡県
2017年9月20日 北谷ダム
 
北谷ダムは福岡県太宰府市北谷の御笠川水系山の神川源流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、御笠川上流域の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、大宰府市への上水道用水の供給を目的として1998年(平成10年)に竣工しました。
太宰府では上水道の需給ひっ迫から給水制限が30年も続くという異常事態となっていましたが、小規模ダムである北谷ダムの給水能力は限定的で、太宰府市の給水制限が解除されるのは2002年(平成14年)に水資源機構大山ダムを水源とする福岡地区水道企業団からの受水開始まで待つことになります。
 
太宰府市北谷の県道35号に北谷ダムを示す標識があり、これに従って山道を登ってゆくと北谷ダムに到着します。
左岸ダムサイトにある竣工記念碑。
 
下流面
右岸に管理事務所があります。
 
普段は天端は立ち入り可能ですが、訪問時はオオスズメバチが巣を作ったとのことで立ち入り禁止。
 
上流面。
 
上流から
クレストには自由越流式洪水吐が1門、その下にオリフィスゲートが見えます。
訪問直前に九州を襲った台風に備え水位を下げたんでしょうか?ずいぶん貯水位が低くなっています。
 
右岸から下流面。
 
天端親柱の装飾
こちらも天端は立ち入り禁止。
 
管理事務所屋上が展望台になっています
生活貯水池事業で建設された小規模ダムで総貯水容量はわずか25万1000立米。
 
天端はスズメバチの巣のため立ち入り禁止、ダム下への道も通行止め。やむを得ないとはいえちょっと残念。
管理事務所の屋上が展望台になっており空気が澄んでいれば遠く博多湾まで遠望できるそうですが、この日は霞みが酷くそれも叶わず。
うーーん・・・の連続の北谷ダムです。
 
追記
北谷ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3049 北谷ダム(1133)
福岡県太宰府市北谷
御笠川水系山の神川
FNW
 
39メートル
145メートル
195千㎥/175千㎥
福岡県県土整備部
1998年
◎治水協定が締結されたダム

須恵ダム

2017-10-04 17:58:16 | 福岡県
2017年9月20日 須恵ダム
 
須恵ダムは左岸が福岡県糠屋郡宇美町宇美、右岸が糟屋郡須恵町佐谷の多々良川水系須恵川上流部にある須恵町上下水道課が管理する上水道用水目的のアーチ式コンクリートダムです。
須恵町が位置するいわゆる福岡県福岡地区は大河がない上に中小河川の集水域が小さく、町は高度成長期まで上水道水源の大半を地下水(井戸水)や簡易水道に依存していました。
しかし福岡の衛星都市として人口が増加した上に生活様式の変化により水需要が急拡大し、水道整備に合わせて安定した水源確保に迫られることになります。
須恵町では既存の灌漑用溜池を再開発して上水道容量を確保する一方、同町唯一の上水専用ダムとして1964年(昭和38年)に建設されたのが須恵ダムです。
ここで取水された水はダムと同時に建設された第二浄水場に送られたのち、須恵町東部地域に給水されています。
 
福岡県は県内に84基のダムが立地する西日本有数のダム県ですが、県内にあるアーチダムは須恵ダム1基だけです。また全国的に見ても町が所有するアーチダムは非常に珍しいのではないでしょうか?
 
須恵ダムは隣接する宇美町の境界上、県道60号沿いにあり道路わきにあるこの石碑が目印となります。 
 
しかし県道沿いの上水道水源ということでガードは非常に厳しく、道路とダムの間には2メートルを超えるフェンスが続いています。
保安上の問題もあるでしょうし過去には不法投棄などがあったのでしょう。
今回はフェンスの網目の隙間から何とか撮影することができました。
クレストには2門の自由越流式洪水吐がありその下に放流管と思しき小さな穴があります。
 
天端は下流側が手すり、上流側がコンクリート壁になっています。
 
辛うじて取水設備を捉えることができました
堤高21メートルに対して堤頂長144.5メートルとかなり横長のアーチダムです。
 
上水道水源ですのでガードが堅いのはやむをえません。
見学会等の機会があればいいのですが・・・・。
 
追記
須恵ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3347 須惠ダム(1132)
左岸 福岡県糠屋郡宇美町宇美
右岸 福岡県糠屋郡須恵町佐谷
多々良川水系須恵川
21メートル
144.5メートル
120千㎥/80千㎥
須恵町上下水道課
1965年
◎治水協定が締結されたダム

久原副ダム

2017-10-04 16:50:57 | 福岡県
2017年9月20日 久原副ダム
 
久原(くばら)副ダムは福岡県粕屋郡久山町久原の多々良川水系穴口川源流部にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的のアースフィルダムで本堤の久原ダムとともに久原ダム貯水池を形成しています。
 
久原ダムと副堤の位置関係
赤線が本堤、緑線が副堤。 
 
久原副ダムの天端はダムの管理道路が通っています。
 
下流面。
 
ダム下から。
 
本当はダム下からもっと引いて撮影すればよかったのですが後の祭りです。
 
3379 久原副ダム(1131)
福岡県粕屋郡久山町久原
多々良川水系多々良川
25メートル
85メートル
1600千㎥/1460千㎥
福岡市水道局
1970年

久原ダム

2017-10-04 15:51:20 | 福岡県
2017年9月20日 久原ダム
 
久原(くばら)ダムは福岡県粕屋郡久山町久原の多々良川水系久原川左支流穴口川源流部にある福岡市水道局が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。 
戦後の復興から高度成長期にかけ福岡市の人口は大きく増加、これに合わせて都市用水需要も急拡大してきました。
これに対し大河川がない上に中小河川の集水域が小さいという地理的条件もあり、福岡市では慢性的な水不足が続き、水源確保を求めるための拡張事業は19回にも及びました。
久原ダムは1968年(昭和43年)に事業着手された第11回拡張事業(久原取水)の中核施設として1970年(昭和45年)に竣工しました。
福岡市が水利権を持つ多々良川の山田取水場で取水した水を久原ダムに揚水していったん貯留、その後多々良浄水場を経由して福岡市内に給水しています。
一方で自己流域である穴口川の水は河川維持放流として流下させるため既得取水権への干渉はなく事実上の河道外貯留ダムとなっています。
 
久原ダムには重力式コンクリートの本堤のほかに、左岸にアースフィルの副ダムがあり、ともに堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
久原ダム本堤と副ダムの位置関係
赤線が本堤、緑線が副ダム 。 
 
通常久原ダムへは、県道547号線から妙法寺を経由して左岸ダムサイトに向かいますが、今回は工事により通行止めだったためダム北側から隘路の林道経由でダム右岸に到着しました。
ダムの銘板。
 
天端は車両進入禁止。
 
上流面。
 
取水設備機械室
堤体に比べて建屋が新しい。
 
導流面と減勢工。
 
ダム湖は総貯水容量146万立米。
多々良川で取水した水を揚水してここに貯留します。
 
左岸から上流面。
 
水利使用標識。
ダムがあるのは穴口川ですが、貯水池の水は多々良川から揚水して貯留されるのでダムとしての水系は多々良川水系多々良川となります。
一方穴口川の流入分は河川維持放流としてそのまま下流に流下させ、流域の既得取水権への干渉はありません。
 
ダムの諸元塔が書かれた竣工記念碑
読めない!!
 
高台から上流面を俯瞰
上水道目的のダムということでゲートはクレストの2門の自由越流式洪水吐だけ。
 
 
ダム下へ向かう道もあるようですが、入口が分からず断念しました。
貯水池水源を市外に求め、揚水によって河道外貯留する上水道ダムとしては珍しいスタイルのダムとなっています。
 
2419 久原ダム(1130)
福岡県粕屋郡久山町久原
多々良川水系多々良川
42.3メートル
117メートル
1600千㎥/1460千㎥
福岡市水道局
1970年

鳴淵ダム

2017-10-04 12:24:27 | 福岡県
2017年9月20日 鳴淵ダム
 
鳴淵ダムは左岸が福岡県糠屋郡篠栗町篠栗、右岸が篠栗町金出の多々良川水系鳴淵川にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、多々良川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、福岡地区水道企業団への上水道用水の供給を目的として2001年(平成13年)に竣工しました。
 
ダム建設に際し『地域に開かれたダム』をコンセプトに堤体各所にRを多用した柔和なデザインと化粧型枠を採用、また付随施設は篠栗町の町木である杉をモチーフに円形茶色の建屋と八角錐グリーンの屋根で統一し、まるでダム全体が欧州の童話をモチーフにしたメルヘンの国のテーマパークのようになっています。
一方町内の公園面積が少なかった篠栗町もダム建設に合わせてダム周辺を『清流公園』として整備、福岡市街から電車で20分で来れるという言う地理的条件もあり、小中学校の遠足や社会見学でも人気スポットになっています。
 
国道201号線の篠栗インターで国道を下り鳴淵ダム入口交差点を北に折れるとすぐにダムが見えてきます。
ダム下は河川公園、堤体直下をダムへ続く道路橋が横断しています。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを13門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲートを1門装備、さらにダム下に利水放流設備があります。
いずれの建屋も尖がり頭のおとぎの世界。
 
堤体には城壁風の型枠が施されこれまた西洋の城郭の様
ダム下のループもいいアクセントになっています。。
 
竣工記念碑もメルヘン調、でもなんとなく弥生時代の壁画の雰囲気も。
 
上流面にも化粧型枠が施され尖がり屋根と見事にマッチしています。
手前が取水設備、奥にオリフィスゲート。
 
天端は車両通行可能
左はエレベータ塔、右手は取水設備操作室
照明のカバーも凝ってます。
余談すでがこのダム旅が9年間乗ってきたBMWE92M3のラストランとなりました。
 
天端から
ダム下は河川公園になっており、ダムへ通じる道路がループを描いています。
 
利水放流設備・バルブ室をズームアップ。
 
総貯水容量440万立米のダム湖、名前はありません。
ダム湖にもメルヘンぽい名前を付けてあげればいいのにね?
 
左岸の管理事務所
こちらはちょこっと教会風。
 
左岸展望台から俯瞰
堤体は左岸がわずかに屈曲しています。
 
追記
鳴淵ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2443 鳴淵ダム(1129)
福岡県糠屋郡篠栗町篠栗
多々良川水系鳴淵川
FNW
 
67.4メートル
308メートル
4400千㎥/4160千㎥
福岡県県土整備部
2001年
◎治水協定が締結されたダム

切畑ダム

2017-10-04 11:21:35 | 福岡県
2017年9月20日 切畑ダム
 
切畑ダムは福岡県飯塚市内住の遠賀川水系大分川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた福岡県の事業で1975年(昭和50年)に建設され、運用開始後は飯塚市が受託管理を行っています。
竣工記念碑や水利使用標識等がなく詳細は不明です。
 
県道90号を南に進み、JR篠栗線筑前大分駅を過ぎ郵便局の先の交差点を右折して市道を西に向かい切畑集落を抜けると切畑ダムに到着します。
ダム下への道もありましたが悪路のため断念、樹間から下流面を何とか撮影しました。
 
左岸から。
 
天端は立ち入り制限はありません。
両側にガードレールがあり轍が残ります。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
右岸の斜樋。
 
洪水吐は堤体と離れた左岸上流側にあります。
 
洪水吐導流部
堤体は北向きですが、洪水吐は西の大分川方向へ流下します。
 
天端から。
ダム下に底樋があるようですが、草が深く確認できませんでした。
 
総貯水容量36万1000立米。
 
天端から見た洪水吐
非常に小さな洪水吐です。
 
追記
切畑ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに6万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2423 切畑ダム(1128)
福岡県飯塚市大分
遠賀川水系大分川
38メートル
140.4メートル
361千㎥/336千㎥
飯塚市
1975年
◎治水協定が締結されたダム

久保白ダム

2017-10-04 01:02:38 | 福岡県
2017年9月20日 久保白ダム
 
久保白ダムは福岡県飯塚市久保白の遠賀川水系内住川右支流久保川にある灌漑・上水・工水目的のアースフィルダムです。
農林省の補助を受けた福岡県の農業水利事業に、当時の飯塚市が水道事業者として事業参加し1970年(昭和45年)に竣工しました。
貯水池は飯塚市から桂川町にまたがり総貯水容量416万4000立米、湛水面積50ヘクタールとアースフィルダムとしては屈指の規模を誇っています。
ダムは水道事業者である飯塚市企業局が受託管理し飯塚市に上水道用水・工業用水を、久保白ダム土地改良区に灌漑用水を供給しています。
 
 
ダム下は小公園になっており、車2台の駐車スペースがあります。
堤頂長304メートルの長大な堤体。
 
ダム下右岸側に余水吐トンネル導流部の吐口があります。
 
天端の周辺案内図
本堤のほかに4基の副堤がありますがいずれも堤高15メートル未満。
 
竣工記念碑。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
天端は車道
ダム湖を巡る5.7キロの周回道路はすべて車両通行可能。
 
天端からの眺め。
 
左岸の斜樋
こちらは飯塚市水道の取水設備。
 
総貯水容量416万4000立米はアースダムとしてはかなりのスケール
福岡県内では北九州の頓田貯水池に次ぐ規模で、貯水池には中島もあります。
 
右岸の横越流式余水吐。
 
ここから流下した水は上から2番目の写真のトンネル出口へと向かいます。
 
ダム湖インレット部分の内住川からの導水路
自己流域はわずか1.4平方キロで、貯水容量の大半は内住川からの補給に依存しており、実質的には河道外貯留ダムです。
 
地図では本堤対岸にある第1号副堤そばに土地改良区向け取水設備がありますが、現地では確認できませんでした。
 
追記
久保白ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに74万7000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2420 久保白ダム
福岡県飯塚市久保白
遠賀川水系内住川右支流久保川
AWI
25メートル
304メートル
4164千㎥/4150千㎥
飯塚市企業局
1970年
◎治水協定が締結されたダム

日の岡溜池

2017-10-03 23:13:30 | 福岡県
2017年9月20日 日の岡溜池
 
日の岡溜池は福岡県嘉穂郡桂川町内山田の遠賀川水系泉河内川左支流内山川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1910年(明治43年)に桂川町の事業で建設となっています。
桂川町中心部を形成する土師地区は平坦地にもかかわらず水源の確保が困難で新田開発がままならないままでした。そこで桂川町の事業で泉河内川支流内山川に日の岡溜池を建設して水源を確保するとともに、下流に杉ノ木井堰という取水堰を設け灌漑用水路を土師地区に引いて新田開発に成功しました。
現在も土師地区にはきれいに区画整理された水田が並び日の岡溜池はその貴重な水源となっています。
ため池データベースでによれば池は桂川町の管理となっています。。
 
県道66号を南下し、桂川町内山田で県道439号を交差したすぐ先を右に取ると日の岡溜池直下に出ます。
左岸に余水吐があり、減勢工のすぐ下で底樋と合流します。
直近の台風で水位が上昇したせいもあり、底樋からは勢いよく放流されています。
向かって右手のバルブは灌漑用水路へのゲート、手前は泉河内川への流路になっています。
 
下流面
西日本では一般に池の草刈りは稲刈り終了後に行われます。
そのため堤体はまだ草ボウボウ。
 
上流面はコンクリートブロックで護岸
対岸に横越流式余水吐がありますが、直近の台風のせいで水位が越流直前まで上昇しています。
 
貯水容量は20万立米。
 
右岸の斜樋。
 
天端も背の丈近い草でジャングル状態
左岸に辿りつくのにかなり骨を折りました。
西日本の溜池巡りは草刈りが終わった秋冬に限ります・・・・。
 
左岸の横越流式余水吐。
 
余水吐導流部
この下が一番上の写真になります。
 
非常に歴史の古い日の岡溜池です。
もっと下調べしてゆけば杉ノ木井堰なども訪問したのですが・・・・。
 
2365 日の岡溜池(1125)
ため池コード 404210001
福岡県嘉穂郡桂川町内山田
遠賀川水系泉河内川左支流内山川
25.5メートル
145メートル
200千㎥/200千㎥
桂川町
1910年

尾崎ダム

2017-10-03 17:20:10 | 福岡県
2017年9月20日 尾崎ダム
 
尾崎ダムは福岡県直方市山部の遠賀川水系遠賀川左岸にある直方市上下水道・環境部が管理する上水道用水目的の重力式コンクリートダムです。
ダム便覧では直方市の事業で1978年(昭和53年)竣工となっています。
遠賀川から揚水した水を当ダムにいったん貯留したのちダム下にある尾崎浄水場を経て市内に上水道用水を供給しています。
 
直方市中心部から国道200号線を南下し岩崎交差点を右折、平成筑豊鉄道の踏切を渡り変電所脇を進むとすぐに尾崎ダムが現れます。 
 
堤体中央に余水吐の穴が一個あいた非常にシンプルな構造。でもちゃんと導流壁がついています。
導流壁左手に太いパイプ、導流壁に沿って細いパイプがありますが、ともに遠賀川からの揚水用パイプです。
 
下流面。
 
ダム直下の尾崎浄水場。
 
右岸の『カド』。
 
上流面
細いほうのパイプから揚水した水が注入されています。
 
近くには尾崎溜池があり、ナビによってはそちらを案内される可能性があるので要注意です。
 
2431 尾崎ダム(1125)
福岡県直方市山部
遠賀川水系遠賀川
27.2メートル
178メートル
386千㎥/363千㎥
直方市上下水道・環境部
1978年

笠城ダム

2017-10-02 21:58:54 | 福岡県
2017年9月19日 笠城ダム
 
笠城(かさぎ)ダムは福岡県飯塚市庄司の遠賀川水系庄司川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1957年(昭和32年)に当時の幸袋町の事業で竣工と記されており、現在は飯塚氏が管理をしています。
 
県道30号線に『笠城ダム公園』の標識がありこれに従って進むとダム左岸の公園入口に到着します。
また県道478号線からダム下へと向かうこともできますが、こちらは標識もなく入口が分かりづらくなっています。
今回はダム公園入口に車を止めダム左岸の遊歩道でダムを見学しました。
ダム周辺は『笠城ダム公園』として整備され、ダム湖を周回する遊歩道や遊具が設置されています。また桜が多く植樹され春には多くの花見客が訪れる周辺住民の憩いの場となっています。
 
写真の並びは実際の見学ルートとは順番が異なります。
まずは下流から
ダム下は芝生広場になっています。
 
堤体直下にある底樋。
 
下流面
三段になっており、きれいに草が刈られています。
 
天端
ダムを周回する遊歩道の一部で歩行者は立ち入り自由。
 
上流面
コンクリートで護岸されています。
 
貯水池の総貯水容量は39万9000立米
灌漑期が終わったのか水抜きされています。
改修工事でもするのかな?
 
右岸の取水塔
水がないので根元まで見えます。
 
右岸の横越流式余水吐
緩やかに湾曲しています。
 
余水吐導流部。
 
上流から遠望。
 
水抜きされており、ちょっと殺伐とした風景です。
ダム公園としてよく整備されており平日の夕暮れ時にもかかわらず多くの方が散歩などを楽しんでいました。
 
2406 笠城ダム(1124)
ため池コード 402050047
福岡県飯塚市庄司
遠賀川水系庄司川左支流
17.9メートル
170メートル
399千㎥/359千㎥
飯塚市
1957年

力丸ダム

2017-10-02 16:09:59 | 福岡県
2017年9月19日 力丸ダム
 
力丸ダムは左岸が福岡県宮若市下、右岸が同市宮田の遠賀川水系犬鳴川右支流八木山川にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、八木山川の洪水調節、北九州市および直方市への上水道用水の供給、北九州市への工業用水の供給を目的とし1965年(昭和40年)に竣工しました。
 
宮若市下の県道471号線に力丸ダムを示す標識があります。
左岸から
洪水吐はクレストにラジアルゲートが2門、オリフィスやコンジットゲートはありません。
洪水吐がクレスト可動ゲートのみというのは南畑ダム油木ます渕ダムなど昭和30~40年代にかけての福岡県営ダムの共通点です。
 
1965年(昭和40年)竣工と福岡県営ダムの中では3番目に古いダムです。
堤体の苔が時代感を醸し出しています。
 
ダム概要の銅板プレート
これも古いダムならでは。
 
貯水位が極端に低下しています。
取水設備は戦前戦中のダムの特徴を残す半円形。
 
 
天端は歩行者のみ通行可能
古い福岡県営ダムではおなじみ天端両側のフェンス。
高欄が低いので事故と不法投棄防止目的だそうです。
 
取水設備操作室。
 
洪水吐導流部と減勢工
導流部の苔もいい感じ。
 
総貯水容量は1320万立米と福岡県営ダムの中ではかなり大きな貯水池です。
右手は管理事務所で力丸ダムと犬鳴ダムを統括管理しています。
 
右岸から上流面。
 
ダム下へも下流からアプローチできたようですが、道路状況が悪い上に徒歩も余儀なくされたので今回はあきらめました。
 
追記
力丸ダムには360万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに229万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2413 力丸ダム(1123)
左岸 福岡県宮若市下
右岸 福岡県宮若市宮田
遠賀川水系八木山川
FWI
 
49.5メートル
160.5メートル
13200千㎥/12500千㎥
福岡県県土整備部
1965年
◎治水協定が締結されたダム

犬鳴ダム

2017-10-02 14:50:27 | 福岡県
2017年9月19日 犬鳴ダム
 
犬鳴ダムは福岡県宮若市犬鳴の遠賀川水系犬鳴川源流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、犬鳴川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、宮若市及び直方市への上水道用水の供給、宮田工業団地への工業用水の供給を目的に1994年(平成6年)に竣工しました。
ダムの管理運用は力丸ダム管理事務所で統合遠隔管理されています。
 
福岡から県道21号の犬鳴トンネルを抜けると左手に犬鳴ダムの堤体が見えてきます。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを8門、常用洪水吐として自然調節式のオリフィスゲート1門を装備しています。
両岸には堤趾導流壁を備え、V字で谷を締める堤体はなかなかの雄姿です。
 
上流面
堤体中央に取水設備、その右手にオリフィスゲート、左岸にインクラインがあります。
 
天端入口では犬鳴という名前に合わせたかわいい犬のモニュメントが出迎えてくれます。
 
総貯水容量500万立米のダム湖
名前は『司書湖』で、幕末の福岡藩家老加藤司書の名前をとって命名されました。
水位がかなり低下しています。
 
天端は歩行者のみ通行可能
せっかくベンチがあるのに両側ににフェンスが張られ物々しい雰囲気。
事故や不法投棄防止目的のようです。
 
天端にはダム湖名の『司書湖』の文字や銀杏の絵が描かれています。
 
 
高覧の装飾。
 
減勢工と利水放流設備。
 
左岸から下流面。
 
上流面。
 
竣工記念碑
ダム竣工を祝う短歌が詠まれています。
 
2019年(令和2年)公開のホラー映画『犬鳴村』はこのダムに沈んだ犬鳴谷村がモチーフとなっていますが、映画のロケは埼玉県の浦山ダムで行われたようです。
 
追記
犬鳴ダムには165万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに134万7000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2439 犬鳴ダム(1122)
福岡県宮若市犬鳴
遠賀川水系犬鳴川
FNWI
 
76.5メートル
230メートル
5000千㎥/4850千㎥
福岡県県土整備部
1994年
◎治水協定が締結されたダム

猪野ダム

2017-10-02 11:28:34 | 福岡県
2017年9月19日 猪野ダム
 
猪野ダムは福岡県糠屋郡久山町猪野の多々良川水系猪野川上流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、県のダム建設事業に福岡市水道局が事業参加して2000年(平成12年)に竣工、猪野川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、福岡市水道局への日量約14万立米の上水道用水の供給を目的としています。
 
久山町の懸社天照皇太大神宮から猪野川に沿って町道を遡上、だしでおなじみの『茅乃舎』を過ぎると猪野ダムの標識が現れます。
左岸ダムサイトの竣工記念碑。
 
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートを2門、常用洪水吐として自然調節式オリフィスゲート1門を装備。
堤体は左右両岸が屈曲しており、これをつなぐ橋をモチーフに堤頂部にはアーチ状の装飾が入っています。
ちょっと、いやかなり埼玉県の浦山ダムに似てるかも?
 
ダム上下流は『ホタルの里』として知られ、豊かな自然が残ります。
ダム各所にそれら豊かな自然を描写した装飾が施されています。
 
 
 
天端は歩行者のみ通行可。
高欄にもアーチの装飾。
 
天端から
ダム下も綺麗に整備され普段は車で行けるのですが、訪問時は九州北部豪雨による土砂崩れで通行止め。
 
左岸のインクラインと艇庫。
 
天端中央にはベンチや休憩舎が設置されています。
 
堤体は両岸ともに湾曲。
 
右岸ダムサイト
こちらもよく整備されています。
 
右岸から下流面
このアングルだと手前が湾曲しているのがよくわかります。
 
さすがバブル真っ盛りのころに計画、着工されただけあって至れり尽くせりのダムです。
 
追記
猪野ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2445 猪野ダム(1121)
福岡県糠屋郡久山町猪野
多々良川水系猪野川
FNW
 
79.9メートル
260メートル
5110千㎥/4910千㎥
福岡県県土整備部
2000年
◎治水協定が締結されたダム