ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小川下池

2018-01-16 01:38:45 | 香川県
2017年12月22日 小川下池
 
小川下(こかげ)池は香川県木田郡三木町朝倉の新川水系吉田川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
小川下は集落名で豪雨の際に削られやすい土地=『小欠ケ』が由来とされています。
現地案内板によると1939年(昭和14年)の大干ばつをきっかけに朝倉川流域で灌漑用溜池築造の機運が高まり小川下耕地整理組合が設立されます。
そして翌1940年(昭和15年)より県営事業として溜池築造が着手され戦争激化による物資・人員不足に悩まされながらも終戦後の1948年(昭和23年)に小川下池が竣工しました。
その後1977年(昭和52年)に県営事業による部分改修が、2007年(平成19年)には国営総合農地防災事業により全面的な改修が行われ現在に至っています。
池の管理は小川下池水利組合が行い、156ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
なおダム便覧では1973年竣工と記されていますが、これは県営の部分改修事業の着手年度であり竣工年度としては1948年が妥当と思われます。
 
三木町中心部から県道13号~42号線を南下、上吉谷集落の先で左の枝道に入ると小川下池の堤体が見えてきます。
下流面は草刈りののち野焼きされています。
 
堤体中央に取水設備からの底樋樋門、右手(左岸)に洪水吐導流部があり下流で合流しています。
 
道路を進むと堤体左岸に到着します
上流面はコンクリートで護岸、右奥に斜樋が見えます。
 
左岸の越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
天端からの眺め
下の道路が1枚目の写真の撮影場所です。
 
貯水池は総貯水容量は60万立米。
 
天端には記念碑が2基と社が鎮座します。
 
2007年(平成19年)にかけて行われた国営総合農地防災事業の説明板。
 
下流面
刈り払った後野焼きされています。
 
小川下池を水源としていた朝倉川流域の農地では、1976年(昭和51年)から香川用水の補給が開始され水事情は格段に向上しました。
もちろん小川下池が貴重な水源であることに変わりはありません。
 
2162 小川下池(1220)
ため池コード
香川県木田郡三木町朝倉
新川水系吉田川右支流
26.8メートル
156メートル
600千㎥/600千㎥
小川下池水利組合
1948年竣工
2007年改修

二股上池

2018-01-15 16:04:44 | 香川県
2017年12月22日 二股上池
 
二股上池は香川県木田郡三木町鹿庭の新川水系新川右支流五反田川にある灌漑目的のアースフィルダムで、直下にある下池と併せて二股池と呼ばれています。
上池・下池がある場合通常下池の方が大きいのが一般的ですが、二股池の場合はまず新川水系五反田川を堰き止めて下池が作られ、のちに山向こうの鴨部川から取水して上池が作られたため上池の方が大規模になっています。
二股上池の起源は不明ですが、1836年(天保7年)の記録にその名が見え、1908年(明治41年)の嵩上げ工事でほぼ現在の規模になったようです。さらに2002年(平成14年)にかけて農水省の農地防災事業により上下池ともに大規模な改修が行われ、ダム便覧ではこの改修の竣工を竣工年度としています。
なお、香川県のデータとダム便覧では堤高や堤頂長の数字が異なっていますが、ここでは香川県の数字を採用します。
上池下池併せて木田郡二股池土地改良区が管理を行い195ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
下池越しの上池
 
上池天端には社が祀られ二股池が古い溜池であることを示しています。
 
上流面はコンクリートで護岸
堤体はきれいに刈り払われまるで芝生のよう。
 
天端から
真下に下池があります。
 
総貯水容量は60万6000立米。
山向こうの鴨部川から導水しています。
 
ダム湖右岸に突き出た岬の先端に斜樋があります。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐導流部の脇に取水設備からの底樋ゲートがあります。
 
右岸から
左手は斜樋のある岬。
 
斜樋のある岬から見た洪水吐。
 
上下池ともに2002年の国営事業により改修された上に、手入れも行き届き非常に美しい溜池となっています。
上池は江戸時代から続く既得取水権として水系を超え鴨部川から取水していますが、一滴の水の確保にも苦労する讃岐の国で、この権利を獲得するには相当の苦難と紆余曲折があったことと推察されます。
 
2142 二股上池(1219)
ため池コード
香川県木田郡三木町鹿庭
新川水系五反田川
17.4メートル
280.5メートル
606千㎥/606千㎥
木田郡二股土地改良区
1908年竣工
2002年大規模改修工事竣工

前山ダム

2018-01-15 15:07:45 | 香川県
2017年12月22日 前山ダム
 
前山ダムは香川県さぬき市前山の鴨部川水系鴨部川上流部にある香川県土木が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、鴨部川の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水への補給と安定した河川流量の保持、さぬき市への上水道用水の供給をを目的として1974年(昭和49年)に竣工しました。
ダム湖畔には『道の駅 ながお』が開設されているほか、県道3号線が遍路道にあたるため『前山おへんろ交流サロン』やミニ88カ所地蔵などが設置され街道筋のミニターミナルとなっています。
 
ダム手前で左手の枝道に入ると、ダムを下流から眺めることができます。
残念ながらちょっと逆光、
クレストにローラーゲート1門にゲートピア上に頭でっかちの操作室が乗っかる香川県ではおなじみのデザイン。
 
上流から遠望
左手は管理事務所。
 
水色のゲート直上に白い予備ゲートがあります。
右手は取水設備。
 
天端は車両通行可
ゲートピアの階段は香川県ではおなじみの螺旋じゃないのね?
 
白いゲートは実は予備ゲート。
主ゲートは手前の青いガイドレールの下にあります。
 
減勢工と放流設備。
 
総貯水容量は213万立米。
湖畔には道の駅やおへんろ交流サロンなどがあります。
 
旧管理事務所とインクライン。
 
右岸から下流面。
 
こちらも香川ではおなじみ、立派な竣工碑。
 
見た目は大内ダムや大川ダムとそっくりですが、サイズは前山ダムの方が数回り大きくなっています。
 
2184 前山ダム(1218
香川県さぬき市前山
鴨部川水系鴨部川
FNW
38.8メートル
181.5メートル
2130千㎥/1830千㎥
香川県土木部
1974年

石神池

2018-01-15 13:34:08 | 香川県
2017年12月22日 石神池
 
石神池は香川県さぬき市長尾名の鴨部川水系長尾川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
起源は江戸初期寛文2年(1662年)まで遡り、干ばつに悩まされていた庄屋たちが高松藩に陳情し藩の普請で築造されました。
その後数度の改修や補強が行われたのち、1940年(昭和15年)に鴨部川からの水路トンネルが完成し安定した集水が可能となりました。
さらに1963年(昭和38年)の大規模改修により嵩上され貯水容量は従来の約5倍に拡大、ほぼ現在の姿となりました。
ダム便覧ではこの大規模改修の竣工をもって竣工年度としています。
管理はさぬき市長尾土地改良区が行い約220ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
ダム下から
ダム下にトンネル式洪水吐の吐口と底樋があるはずですが確認しませんでした。
 
下流面を車道が斜行しています
天端も含めて車両の通行可能です。
 
右岸にある嵩上記念碑
1963年(昭和38年)の大規模改修の記念碑です。
 
右岸の越流式洪水吐。
 
上流から見た洪水吐
導流部はトンネル
後付けのパイプは維持放流用のものでしょうか?
 
天端からの眺め。
中央を流れる鴨部川流域一帯が池の受益地です。
 
右岸の斜樋。
 
総貯水容量は79万立米
自己流域だけでは集水できないため、鴨部川から導水トンネルを使って集水しています。
 
左岸からみた下流面。
 
池の名前の由来となった左岸にある石神神社。
 
2148 石神池(1217)
ため池コード 372060101 
香川県さぬき市長尾名
鴨部川水系長尾川
21メートル
200メートル
790千㎥/769千㎥
さぬき市長尾土地改良区
1662年築造
1963年大規模嵩上げ改修竣工

門入ダム

2018-01-12 17:16:58 | 香川県
2017年12月22日 門入ダム
 
門入ダムは香川県さぬき市寒川町石田東の津田川水系栴檀川上流部にある香川土木部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
津田川水系では1963年(昭和38年)に本流に治水目的の大川ダムが完成しますが、最大支流の栴檀川は手つかずだったため抜本的な治水対策には至りませんでした。
さらに人口増加や生活様式の変化などから水需要がひっ迫し、新たな水源確保が迫られました。
そこで香川県は栴檀川への多目的ダム建設事業に着手し1998年(平成10年)に竣工したのが門入ダムです。 
門入ダムは建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、栴檀川および津田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と門入池受益農地を含む既得取水権としての灌漑用水への補給、さぬき市への上水道用水の供給を目的としており、既存の灌漑用溜池である門入池を取り込む形で建設されました。
 
また門入ダム建設に合わせて当時の寒川町によりダム周辺の環境整備が行われ、ダム湖一帯は『門入の郷』公園として周辺住民の憩いの場となっています。
門入ダム自身も左岸フーチング階段が開放される一方、管理事務所1階に資料コーナーを設けるなど開かれたダムとなっています。
 
ダム下は『門入の郷花の広場』として整備されていますが、あいにくの逆光でこんな写真が精いっぱい
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートが4門、常用洪水吐として洪水期、非洪水期用に高さの異なる自然調節式オリフィスゲートを2門備えています。
 
ダム左岸の展望広場
モニュメントのほか、ダムに沈んだ門入池の石碑が2基移築されています。
 
上流面。
 
天端。
 
天端からの眺め。
 
減勢工と利水放流設備。
 
門入湖は総貯水容量290万立米
湖畔各所が公園として整備され上流には日帰り温泉施設もあります。
 
ガラス張りの管理事務所
インクラインはなく浮桟橋が設置されています。
 
左岸から
堤体は石積風の化粧型枠が施されています。
またこちら側のフーチング階段が開放されています。
 
左岸から上流面。
 
香川県営ダムとしては珍しいゲートレスダムです。
ダム周辺の環境整備は素晴らしく、時間に余裕があればのんびり一日すごしていたい、居心地のいいダムです。
 
2190 門入ダム(1215
ため池コード 372061374 
香川県さぬき市寒川町石田西
津田川水系栴檀川
FNW
47.3メートル
202.5メートル
2900千㎥/2780千㎥
香川県土木部
1998年

弥勒池

2018-01-12 17:15:59 | 香川県
2017年12月22日 弥勒池
 
弥勒池は香川県さぬき市大川町富田中の津田川水系津田川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
もとは上中下3基の池を総称して弥勒池と呼ばれていましたが、現座下池は消滅しダムとしての弥勒池は上池を指しています。
池の袂に設置された『弥勒池の由来』という案内板では18世紀半ばの宝暦年間にはすでに池の存在が認められおり、『弥勒』という名称は池の掘削工事で仏像を彷彿とさせる多数の凝灰岩が掘り出されたことに由来するそうです。
幕末安政年間に貯水量増加のための隧道水路が完成、これは弥勒石穴として登録有形文化財に指定されています。
1975年(昭和50年)にかけて香川県の事業により大規模な改修工事が行われほぼ現在の姿になり、集水も大川ダムからの補給に変更されました。ダム便覧ではこの大規模改修の竣工年度である1975年を竣工としています。
池の管理は弥勒池水利組合が行い、56ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
池一帯は『みろく自然公園』として整備され、日帰り温泉施設やサッカー場、キャンプ場などが備わっています。
天端は車道で奥の建物が日帰り温泉施設の『ゆーとぴあ みろく』です
総貯水容量23万6000立米と香川県の溜池としては小規模な溜池です。
 
左岸の斜樋
斜樋の手前に小さな洪水吐があります。
 
弥勒池の由来を示す案内板。
 
天端から
すぐ下にあるのが中池。
 
下流面。
 
左岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
斜樋と上流面
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
斜樋のそばには石碑が2基
どちらも読み解くのが難しい。
   
 
堤体下は草が茂り底樋は確認できませんでした。
また貯水池上流部に隧道導水路である『弥勒石穴』があったんですが、予習不足のため見逃してしまいました。
 
2151 弥勒池(1214)
ため池コード 372060010 
香川県さぬき市大川町富田中
津田川水系津田川左支流
16.8メートル
96メートル
236千㎥/236千㎥
弥勒池水利組合
1975年

大川ダム

2018-01-12 17:15:16 | 香川県
2017年12月22日 大川ダム
 
大川ダムは香川県さぬき市大川町田面の津田川上流部にある香川県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
香川県は昭和20年代後半から県内各河川へのダム建設に着手し、津田川では本流上流部への治水ダム建設が進められ1963年(昭和38年)に竣工したのが大川ダムです。
大川ダムは津田川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給を目的としていますが、不特定利水容量が大きく主目的は既得取水権としての灌漑用水の安定した補給です。
その後1998年(平成10年)には最大支流の栴檀川に門入ダムが建設され、津田川水系の治水能力は大きく向上しました。
 
ダム下から
クレストにローラーゲート1門あり頭上に大きなゲート操作室が乗っています。
これは同じ香川県営の大内ダム前山ダムとそっくり。
 
ダム下には放流設備があり河川維持放流が行われています。
隣には常用洪水吐となる低水放流バブルを備えています。
 
堤高は36メートルと小ぶりな堤体。
 
上流面
インクラインはなく右岸に浮桟橋があり、巡視艇が繋留されています。
 
天端は徒歩のみ通行可能
ゲート部分が前面に張り出しクランクになっています。
そまたピア横には香川県営ダムではおなじみ、螺旋階段。
 
減勢工は左に大きく湾曲
左手は2枚目写真の放流設備。
 
ダム湖は総貯水容量76万立米と溜池サイズ。
 
右岸から
右手は管理事務所。
 
あまたでっかちなゲートピアと半円形の取水設備。
上流からの眺めも大内ダムにそっくり。
 
ダムの番猫として有名な猫ちゃん。
ダムカードにも載っています。
 
2176 大川ダム(1213
香川県さぬき市大川町田面
津田川水系津田川
FN
36メートル
124メートル
760千㎥/640千㎥
香川県土木部
1963年

五名ダム(元)

2018-01-12 17:14:04 | 香川県
2017年12月22日 五名ダム(元)
 
五名ダム(元)は香川県東かがわ市五名の湊川本流上流部にある香川県土木部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
香川県は昭和20年代後半から県内各河川へのダム建設に着手しま、湊川水系では本流上流部への治水ダム建設が進められ1961年(昭和36年)に竣工したのが大川ダムです。
五明ダム(元)は湊川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給を目的としています。
しかし五名ダム運用開始後も2年に一度の頻度で干ばつが発生、さらに旧白鳥町での水道需要増加が見込まれたことから、県は1995年(平成7年)に五名ダムの下流約700メートル地点への多目的ダム建設事業に着手します。
しかしバブルの崩壊による社会情勢の変化などから再開発事業は2010年(平成22年)に国交省の検証対象ダムとなり、2016年(平成28年)に事業継承が決定したものの、現在は地質調査や概略設計などに留まり用地取得や工事については全く手付かずの状態です。
 
五名ダム(元)は国道377号線沿いにありアプローチは簡単ですが、下流からの展望ポイントがほとんどなく国道から樹林越しゲートを垣間見るのがやっと。
クレストにローラーゲートが3門並びます。
 
右岸の管理事務所
管理事務所右手に斜樋があります。
重力式コンクリートダムの取水設備に斜樋が設置されるのは珍しいかも。
 
天端は歩行者のみ通行可
ゲート部分は前面に張り出しクランクになっています。
ゲートピアには予備ゲート運搬用のホイストクレーンがついています。
 
予備ゲート。
 
天端から下流の眺め
またこの下流700メートル地点に新ダム建設が計画されています。
 
ダム湖は総貯水容量61万1000立米。
 
左岸から下流面。
 
減勢工はジャンプ台式
ジャンプ台の下に常用洪水吐のホロージェットバルブを2条装備していますが、目にすることはできません。
 
堤体に取水設備はなく管理事務所右手に斜樋があります。
 
左手の予備ゲートは、ピアのグリーンのクレーンで移動する仕組み。
 
 
2175 五名ダム(元)(1212
香川県東かがわ市五名
湊川水系湊川 
FN
27.5メートル
106メートル
611千㎥/536千㎥
香川県土木部
1961年
--------------
3257 五名ダム(再)
香川県東かがわ市五名
湊川水系湊川 
FNW
52.8メートル
237.2メートル
5704千㎥/5254千㎥
香川県土木部
1995年~

鞍谷池

2018-01-12 02:27:08 | 香川県
2017年12月22日 鞍谷池
 
鞍谷池は香川県坂出市高屋町の国分台西斜面標高230メートルの青海川水系明神川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
改修記念碑によれば1917年(大正6年)に明神川下流の高屋町松山地区の灌漑用水源として築造されました。しかし、戦後池の東側の国分台に陸上自衛隊演習場ができたことで、土砂の流入が増加する一方集水に齟齬が生じてきました。
そこで防衛庁(現防衛省)の補助を受けた県の障害防止対策事業により大規模な改修工事が行われ、1986年(昭和61年)に竣工しました。
管理は坂出市松山土地改良区が行っています。
ダム便覧では竣工が1981年(昭和56年)となっていますが、根拠が不明のため改修記念碑に従って1917年竣工、1986年改修と記しておきます。
 
坂出市中心部から県道161号を東進、高屋交差点白峯寺の案内板に従って県道180号に入ります。
連続カーブを登った先、白峯寺の手前で右手に細い枝道に入ると鞍谷池右岸に到着します。
 
下流面はきれいに刈り払われています。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
アングルを変えて。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
総貯水容量11万立米の小さな溜池です。
この貯水池の上流に自衛隊の国分台演習場があります。
 
天端からは瀬戸大橋や瀬戸内海を挟んで遥か岡山方面まで遠望できます。
この日はあいにく霞んでいて視界が不明瞭だったのが残念。
 
堤体を下ってみました
堤体中ほどに底樋樋門があります。
 
堤体中央に斜樋があります。
 
左岸の改修記念碑。
自衛隊の障害防止対策事業で改修が行われたことが記されています。
 
山中の小さな溜池なので、もっと荒れた溜池をイメージしていましたが、よく手入れされいまだに貴重な水源として重宝されていることが伺えました。
 
2155 鞍谷池(1211)
ため池コード
香川県坂出市高屋町
青海川水系明神川
15メートル
100メートル
110千㎥/110千㎥
坂出市松山土地改良区
1917年竣工
1986年改修

府中ダム

2018-01-12 02:24:18 | 香川県
2017年12月21日 府中ダム 
 
府中ダムは香川県坂出市府中町の綾川水系綾川の河口から9キロ地点にある香川県広域水道企業団が管理する工業用水目的の重力式コンクリートダムです。
瀬戸内海沿岸部の臨海工業地帯の整備に合わせ、同地帯への工業用水の供給を目的として当時の通産省(現経産省)の補助を受けて1966年(昭和41年)に竣工し、隣接する綾川浄水場を経由して坂出及び宇多津地区の臨海工業地帯へ工業用水を供給しています。
またダム湖の府中湖はJOC公認の競技場となっており、中四国地区のボート競技のメッカとなっています。
 
県道18号で綾川を渡りすぐに右折すると府中ダム右岸ダムサイトに到着します。
 
下流面。
 
上流側
ゲート右横に取水設備があります。
 
天端は歩行者、軽車両、バイクは通行可。
ゲートピア横には香川のダムでよく見られるらせん階段。
 
減勢工
バッフルピアが横一列に並んでいます。
右手からは河川維持放流が行われています。
下流の右手の建物は綾川浄水場。
 
府中湖は総貯水容量は850万立米、綾川に沿った縦長のダム湖で、上流にはJOC公認のカヌーコースがあります。
 
左岸から
正面の建物は香川県広域水道企業団事務所、ダムカードはここでもらえます。
 
湖畔の府中湖の石碑
桜が多く植えられ春には花見客でにぎわうようです。
 
上流の北條池天端から
府中湖は北條池直下まで迫り地図では一体化した貯水池のように見えます。
 
追記
府中ダムは洪水調節機能を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合に事前放流により新たな洪水調節容量が確保されることになりました。
  
2180 府中ダム(1210
香川県坂出市府中町
綾川水系綾川
27.5メートル
131メートル
8500千㎥/8000千㎥
香川県広域水道企業団
1966年
◎治水協定が締結されたダム

北條池

2018-01-12 02:23:17 | 香川県
2017年12月21日 北條池
 
北條池は左岸が香川県綾歌郡綾川町萱原、右岸が綾川町陶にある灌漑目的のアースフィル堰堤です。
改修記念碑によれば17世紀後半の延宝年間(1673~1681年)に築造され、江戸時代は香川県有数の穀倉地帯である綾北條(現在の坂出平野)を支える貴重なため池として『満濃太郎、北條次郎』と呼ばれてきました。
直近では1998年(平成10年)から2006年(平成18年)にかけて国営総合農地防災事業により大規模な改修が行われています。
管理は北條池土地改良区が行い、537ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
堤高は11.8メートルとダムの要件を満たさずダム便覧にも掲載されていませんが、四国堰堤ダム88箇所巡り第77番札所である府中ダムの奥の院となっていることからこのブログで取り上げることにしました。
また1966年(昭和41年)に綾川下流に香川県水道局による府中ダムが竣工しダム湖の府中湖が北條池直下まで拡大したことで、地図では府中湖と北條池は一体化した貯水池のように見えます。
写真の赤マルが北條池堰堤
 
県道183号が北条池の天端を通ります。
堤右岸に改修記念碑があり北條池の由来等が記されており、四国堰堤ダム88箇所巡りのハンコもこの碑のそばにあります。
 
 
上流面はコンクリートで護岸
右岸の横越流式洪水吐はV字に屈曲しています。
 
 
 
堤頂長は312メートルに及び天端を県道が走っています。
 
総貯水容量131万7000立米
他県だとトップクラスの貯水量ですが、香川県の溜池では12番目。
 
堰堤直下には府中湖が迫っています
ダム湖の小島群はプチ松島的光景。
 
堤高が15メートルに満たないため本来ならスルーする池ですが、四国堰堤ダム巡りに絡んで見学しました。
改修記念碑のおかげで満濃太郎、北條次郎という言葉を知ったのは収穫。
 
北條池
ため池コード
香川県綾歌郡綾川町萱原
綾川水系綾川
11.6メートル
312メートル
1321千㎥/1321千㎥
北條池土地改良区
17世紀後半築造
2006年大規模改修竣工

琴谷池

2018-01-11 16:40:34 | 香川県
2017年12月21日 琴谷池
 
琴谷池は香川県高松市香南町由佐の本津川水系本津川源流部、高松空港北側にある防災・灌漑目的のアースフィルダムです。
もともと当地には灌漑用溜池である琴谷池がありましたが、1980年代より新高松空港移転のための造成工事が始まり、造成に伴う流出量増加に対処するための防災調整池として空港開設の2年前、1987年(昭和62年)に当時の運輸省第三港湾建設局によって建設されました。
空港周辺には琴谷池以外にも多数の防災調整池がありますが、琴谷池のみ堤高が15メートルを超える河川法上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
管理は琴谷池水利組合が管理を行い、灌漑用水の供給のほか高松空港の防災調整池としての機能を持ち合わせています。
 
琴谷池は空港南側に整備された『さぬき空港公園』の敷地内にあり今回は公園駐車場から遊歩道を歩いて池へと向かいました。
堤体下流から
堤体は灌漑用溜池としては珍しく中央で逆V字型に屈曲しており、この屈曲部に洪水吐があります。
通常フィルダムでは堤体中央部に洪水吐を設置することはご法度ですので、琴谷池は屈曲部を中心にした左右2基の堤体で形成されていると見るのが妥当かも?
 
アングルを変えて
右手のパイプは灌漑用水の取水および河川維持放流用。
 
堤体を車道が斜行しています。
ススキが逆光の日差しに映えて美しい眺めです。
 
洪水吐導流部。
 
天端は関係車両以外進入不可能
堤体が中央で屈曲し、屈曲部分に洪水吐があります。
 
堤体中央にある洪水吐
奥の土手の上は滑走路です。
 
ユニークな形状の洪水吐。
 
天端からの眺め
洪水吐が堤体中央にあるのが分かります。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
上流から
総貯水容量は6万5000立米。
 
防災調整池の概念が理解できていればその存在がすぐに納得できる琴谷池です。
さぬき空港公園はよく整備された公園なので時間があればのんびり過ごしたいところですが、ダム巡りをしているとのんびり過ごすことはまずありません(笑)。
 
2945 琴谷池(1209)
香川県高松市香南町由佐
本津川水系本津川
FA
19.3メートル
173メートル
65千㎥/48千㎥
琴谷池水利組合
1987年

新池

2018-01-11 14:25:10 | 香川県
2017年12月21日 新池
 
新池は香川県高松市香川町川内原の香東川水系右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
改修記念碑には江戸初期17世紀中盤の寛文年間に高松藩主松平頼重の命により築造されたと記されています。
その後度々の改修が行われたようですが、1971年(昭和46年)に香川県の大規模老朽溜池事業が竣工しており、便覧ではこれを竣工年度としています。
香川町浅野土地改良区が管理を行い150ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
ダム便覧では堤頂長が710メートルになっていますが、改修記念碑では180メートルの本堤に加えて、堤高15メートル未満の340メートルと190メートルの副堤2基となっており、併せて710メートルとなります。
また2018年(平成30年)には貯水池に大規模な水上メガソーラーが完成し最大出力2700キロワットと日本最大級の水上メガソーラーとなっています。
 
本堤のダム下
堤高は15.1メートルですが、見た目はその半分程度。
基礎地盤が深いのでしょう。
 
右岸から堤体に沿うように洪水吐導流部が設置されています。
 
洪水吐導流部と底樋の合流点。
手前が底樋ゲート。
 
右岸側に築造記念碑と改修記念碑があります
こちらは改修記念碑。
 
右岸の横越流式洪水吐
貯水池のサイズに比べたら小さな洪水吐。
 
天端を県道166号線が走り上流面はコンクリートで護岸されています。
この先副堤を合わせて710メートルの長大な堤体が続きます。
 
本堤上流面の斜樋。
 
高松市中心部に近いことから宅地化が進み、貯水容量100万立米を越える大規模ため池ながら灌漑用水の供給は150ヘクタールにとどまります。
 
総貯水容量120万立米と溜池としては大規模
湖面を埋め尽くす1万枚のソーラーパネル・・・。
 
2018年稼働で最大2700キロワットの発電を行います。
 
江戸時代初期に築造された歴史の古い溜池ですが、湖面を埋め尽くすのは太陽光パネル。
基本的に水を抜かず、また日照率が高い香川県ならではなのでしょう。
 
3627 新池(1208)
ため池コード
香川県高松市香川町川内原
香東川水系厚東川右支流
15.1メートル
180メートル
1200千㎥/1200千㎥
香川町浅野土地改良区
17世後半築造
1970年大規模改修竣工

田渡池

2018-01-11 12:30:12 | 香川県
2017年12月21日 田渡池
 
田渡(たわたり)池は香川県高松市香川町川東上の香東川水系香東川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地由来碑には1500年(明応年間)に田渡池は存在していたと記されている一方、香川県農政局のHPでは1792年(寛政8年)に高松藩の普請で築造となっています。
その後も数度の改修が行われたようですが、ダム便覧では1928年(昭和3年)の改修を竣工年度としています。
もともと香東川から導水して貯留していましたが、内場ダムの完成により既得取水権として同ダムの不特定利水容量からの補給が可能となり水事情は大きく改善しました。
池の管理は田渡池五ヶ村水利組合が行い、192ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
池周辺は田渡池自然公園になっており、大きな駐車場もあります。
駐車場から歩くこと2~3分で池に到着、堤体にはコセンダングサ通称ひっつき虫が密生しています。
 
ベンチが設置され公園の佇まいですが、天端脇や上流面にもひっつき虫が・・・・
 
天端からの眺め
正面に高松空港の進入灯があり彼方には瀬戸内海も望めます。
高松空港への離着陸の際には航空機が間近で見られるそうです。
 
総貯水容量は26万4000立米。
香東川本流からの補給を受けています。
 
堤体中央の斜樋。
 
上流面はコンクリートで護岸されていますが草ボウボウ・・・。
 
左岸の越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部には倒れた竹が覆いかぶさっています。
 
歴史の古い溜池らしく右岸には多くの碑が立ち並んでいます。
 
1992年(平成4年)の改修で撤去された古い樋菅。
 
草刈り前に訪問したため、上下流面とも草が密生。
堤体下へ下りる階段もありましたが、ひっつき虫が繁茂し底樋の確認はできませんでした。
 
2143 田渡池(1207)
ため池コード
香川県高松市香川町川東下
香東川水系香東川右支流
18.4メートル
132メートル
246千㎥/246千㎥
田渡池五ヶ村水利組合
1992年

高橋ダム(遊水林池)

2018-01-11 11:38:10 | 香川県
2017年12月21日 高橋ダム(遊水林池)
 
高橋ダム(遊水林池)は香川県高松市安原下の香東川水系西谷川源流部にある防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムで、ダム便覧には1943年(昭和18年)に香川県の事業で建設と記されています。
コンクリートの状況などを見ると今の堤体は戦後のものと思われ、当初竣工年度とされていた1955年(昭和30年)に大きな改修工事があったと思われます。
灌漑目的もあることからいわゆる農地防災ダムで、管理は高松市塩江町西谷川水利組合が行っています。
また名称については、ダム便覧では遊水林ダムとなっていますが、四国堰堤ダム88カ所巡りではダムは高橋ダム、貯水池は遊水林池と記され、また主要な道路マップなどでも高橋ダムとなっています。
ダム名は高橋、貯水池名が遊水林とするのが妥当かと思います。
 
高松市塩野江町安原下西谷で国道193号線から県道167号線に入り西谷川沿いに南に進みます。
県道からダムは見えず、路肩が広くなったところがダムの入り口となります。そこから山道を50メートルほど下るとダムに到着します。
 
ダム左岸側のゲート操作用のハンドル。
 
越流部。
 
導流面
ちょっとわかりづらいですが高さの違う穴が二つ見えます。
 
減勢工?
直下に副ダムがあるようです。
 
総貯水容量は11万3700立米。
訪問時は水が抜かれていました。
ダム便覧フォトアーカイブスを見ると満水の写真もあるので、需要期に貯水し、非需要期に水を抜くという仕組みのようです。
しかしすごい堆砂。
 
上流面
水が抜かれた状態のこの姿はいかにも防災ダムといった風。
 
水が抜かれていたので貯水池に降りることができました
左岸側の石積みは竣工当時のものでしょうか?
 
3579 高橋ダム(游水林池)(1206)
香東川水系西谷川
FA
20.8メートル
44.5メートル
113.7千㎥/113.7千㎥
高松市塩江町西谷川水利組合
1943年