小島教育研究所

教育関連ブログです。数学を筆頭に学問全般に渡る有用な情報を提供致します。
東海生、名高生、半高生に最も読まれています。

今年は天才数学者,ガロア生誕200年。

2011-11-11 | 数学研究

ガロア関連の図書も,最近増えたように思う。

ガロアについて,貴方はご存知ですか。

フランスが生んだ天才数学者であり,若くして決闘により命を落とした血気盛んな若者であった。

悲運が重なり,才能を充分生かさせることなく,亡くなった。しかし彼の残したガロア理論は現代数学に多大な影響を残した。

それまで数学が対象にしていた物は,図形であり,方程式,関数であった。ところが,カロアはある種の「操作」あるいは「操作の構造」を数学の対象として取り上げた。この点が画期的であった。

ガロア拡大体,より基本的には群論の、萌芽といってよいほど、彼の論文は時代を遥かに超越していた。

アカデミーに提出した論文が紛失したり,査読の学者が亡くなって,論文が日の目をみることが遅滞したり,と散々な目にあったガロア。

そんなガロアが想像だにしなかったことが起こりました。それは思いもかけない分野でした。

皆さんが,毎日お世話になっているDVD,CDあるいは,通信の訂正機能には,リードソロモン符号訂正理論が使われています。このリードソロモンの理論的背景に,ガロア理論(有限体理論)が使われているのです。この理論も,早いものでもう50年の歴史があります。

筆者からすると,そろそろ次のブレークスルーが起こる頃。皆さんの果敢なチャレンジを心待ちしています。

 


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夏休みを振り返る。(ちょっと早いですが。)

2011-08-22 | 数学研究

この夏、「絵画の中の数学」というタイトルの講座をとりました。だまし絵で有名なフィーっシャーの作品はどうやって作られているかの舞台裏を教えていただきました。非ユークリッド幾何をつかって模様をデザインするあたり、エッシャーはただものではないことが再認識できました。

受講のおかげで、多くの数学者達の知恵と努力が詰まっている美術作品を鑑賞し解析する新たな楽しみが増えました。

オリジナル作品を作ってみようかといった気分になりました。請う、ご期待。

 


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代数幾何分野における、日本人の活躍。

2011-07-29 | 数学研究

筆者の専門は解析学であるので、代数幾何については、明るくはありません。

しかし、ここ日本では、伝統的に代数幾何の研究が盛んです。

フィールズ賞の受賞者をみても、小平邦彦氏、広中平祐氏、森重文氏と、すべて代数幾何のエキスパートです。

広中氏の論文を松下幸之助記念図書館(慶應義塾大学理工学部)にて目にした私は、そのあまりの長大さに驚きましたが、全体を通してアイデアは平明でした。多くの先達の挑戦を跳ね除けてきた難問を解決した広中の大定理。そのときには、この定理が何かの応用に資するなどとは、失礼ながら思いも付かなかった。後年、学習理論において、この広中の大定理が応用されるのを目にして、どこで応用されるか、証明とか、発見した当人は気が付かないのに、後の世代の人は、優れた応用を考えるものだと、感心した次第です。数学にはこうしたことがえてして起こりやすい。他の例では、ガロア理論(有限体理論)を応用して、誤り訂正理論を形成し、CD、DVDのコレクト機能を実現していることが挙げられる。

一方、森重文氏による双有理幾何学の建設に関して、極小プログラムは三次元までは、森氏自身により完成をみた。これを一般次元まで拡張することが長らく試みられてきたが、ようやく2006年ごろ、ショクロフ氏等により、一応の完成をみたとされる。もちろん、森重文先生のお弟子さんの、藤野修氏等の果たされた役割も見逃せず、筆者などは昨年度のインドにおけるICM(国際数学者会議)で、20年ぶりに日本人のフィールズ賞受賞かと、密かに期待していた。それはかなわぬことでしたが、代数幾何の伝統が、広中平祐先生から森重文先生へ、さらに森先生から藤野修先生へと、着実に受け継げられていることに、伝統の重みを見る思いです。

森重文先生は、優れた研究者であるとともに、優れた教育者であると思います。この4月より、RIMSの所長にも就任され、今後のご活躍がまた一段と楽しみです。


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