先日、フォーブス恒例の長者番付が発表された。アメリカ合衆国では、この20年、ビル・ゲーツ氏が1位を独占してきた。今やその総資産は日本円で7兆6000億円だそうだ。大方は、この金額に驚嘆するだろう。しかし、彼の凄さは、ベーシック・インタープリタ―を4Kで書きあげたことだ。これが1975年頃のこと。アルテアという8ビット機に雑誌で懸賞付きで、募集がかかった。アルバイトで使っていた、PDP9でクロス開発環境を作り、Z80用のベーシックインタープリターを作成した。アルテア開発会社に送ったところ、ノーミスで動いたという。4kという極めて小さな主記憶で動くところが天才的なプログラムの本領といえる。同じように、最小サイズのベーシックインタープリターを当時の東大でも開発した人がいた。後に東大大型計算センター所長となられた、石田晴久先生だった。6kを切ったが、とても4k以内に収めることは至難の業だったと、ビル・ゲーツのソフト作成能力に驚嘆されていた。石田先生はその後、共立出版から「プログラミング言語C」を翻訳出版された。カーニハン&リッチー(通称K&R)著作の本で、コンピュータプログラムのバイブルと言われた。皆さんもご承知の通り、C言語はシステム記述言語として、あらゆるコンピュータのOS開発、システム開発に現在でも必須言語の地位を得ている。
なお、石田先生は、UNIX、C言語、そしてインターネットの普及に尽力され、インターネットの殿堂入りを果たされている。サイバー大学の部長を務めて見えたが、2009年惜しくも亡くなられた。いろんな面で、コンピュータの進む道を指示していただいた、偉大な研究者かつ教育者だった。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。