(↑もちろん格さんの口調で。)
またしてもこの語学番組ネタですが、今週紹介されたのは南米諸国の中でも日本での知名度が下から数えた方が早いであろうパラグアイ。しかしながら、私にとっては日本に次いで滞在期間の長い国。ということで、ほとんど手ぐすねを引いて何かやらかしてくれるのを待っていました。そしてその期待は裏切られませんでした。しかも放送前に予想していた通りに。
アルゼンチンとウルグアイでのマテ茶の淹れ方を紹介した後、「先ほどの二つの国よりも気温が高いため、熱々ではなく、冷たーいマテ茶が好まれています」に続けて画面が切り替わり・・・・・
「それがこのテレレという飲み方」と女声のナレーター。アルファベット表記の最後にちゃんとアクセント記号が振ってあるのに無視しやがって!(ただし、以前見た旅番組でも同様の読まれ方をしていたので驚きはありませんでした。)
以下余談:この「テレレ」という単語はパラグアイなどで話されているグアラニ語に起源を持っていますが、この言語では原則として単語の最後の音節にアクセントが置かれます。けれども、それをスペイン語(とくに指定がなければ最後から2番目の音節を強く読む)で表記する場合には例外的な強勢位置を示すため "tereré" となる訳です。
上は私が持っているグアラニ語→スペイン語の辞書から。このようにグアラニ語では強勢位置が自明なのでアクセント記号は不要。逆に末尾以外を強く読む必要がある場合には付けます。例えば "Aha"(私は行く)に未来形の助動詞 "ta" を付けて「私は行くでしょう」にする場合は、"ha" にアクセントが残るので "Aháta" と書きます。(なお元々は文字を持たない言語ゆえ、スペイン語の表記法に無理矢理合わせている感は否めませんが。)
閑話休題。番組後半のロールプレイングで登場したパラグアイ人のゲスト(ミュージシャン)はもちろん「テレレ」と発音していました。一方、生徒役のタレントは最後の独白のシーンでやっぱり「テレレ」。なお例の講師は「マテ茶」は何度か言ったものの "tereré" を口にする機会は一度もなく、ボロを出さずに済みました。ホンマ運のええ奴っちゃ。
まあ今回の「テレレ」は過去に放送されたペルーの国名の由来とか "chela"(ビールの別称)と比べたら「微罪」レベルだと思いますが、他にも残念なところがありました。まずマテ茶は(ポルトガル語圏ではありますが)ブラジルの南部(パラグアイに近い地域)でも結構嗜まれていることに全く触れなかったのが一つ。(ちなみにこれはパラグアイ製より安いので何度か買いましたし、ここやここでも採り上げていました。)あとパラグアイでも冬は結構寒いので当然ながら熱いお湯を注いで飲みます。(氷水なんか入れてたら凍えてしまうわ。)ここでも対比を強調しようとするあまり片手落ちの説明になっていたのが気に入りませんでした。
おまけ
ここで発音が確認できますが、中南米に多い女性名 "María" も「マリア」ではなく「マリア」もしくは「マリーア」と読んで(呼んで)もらいたいです。英語の "Mary"(メアリー)とは違うんですから。
おまけ2
グアラニ語の特徴に一人称複数の代名詞が二通り存在することが挙げられます。"ñande"(ニャンデ)と"ore"(オレ)で、どちらも「私たち」ながら、前者が聞き手をも含むのに対し後者は含まない。動詞にもそれらに対応した活用形があります。例えば・・・・・
Jaháta. → 行きましょう。(聞き手も同行する。)
Rehóta. → 行ってきます。(聞き手は残る。)
これを知った後ではスペイン語に一人称複数が1種類しかないのを不便に感じました。その場の状況で "Vamos." が上のどちらなのかは大抵判るんですけど・・・・・
おまけ3
上は昨日の講義(栽培植物各論)でも触れた世界のマテ茶生産量(2020年)。いつもFAOSTAT Database Collections(国連食糧農業機関のデータベース)を利用させてもらっています。「世界三大飲料」の一つに数えられることがあっても、特定地域に限定された作物であることがよくわかりますね。データなしながらアフリカの2ヶ国(ブルンジとエチオピア)が出てきたのは驚き。また一大消費国のウルグアイが上がってこないので、これはもしかしたら、と思い・・・・・・
続いて貿易統計も当たってみました。左が輸出量、右が輸入量(ともに2020年)で先の生産量とはだいぶ様相が異なっています。ウルグアイの輸入量は予想通りでしたが、それを上回り、しかも輸出ランキングにも顔を出しているシリアは意外も意外。(途中で切れている備考欄には推計値である旨が記されていますが。)政情不安を抱えている国だけに南米からの出稼ぎ労働者が大量に押しかけている訳でもなさそうですし・・・・・ちなみに日本は輸入では42位で数量は36トンでした。
またしてもこの語学番組ネタですが、今週紹介されたのは南米諸国の中でも日本での知名度が下から数えた方が早いであろうパラグアイ。しかしながら、私にとっては日本に次いで滞在期間の長い国。ということで、ほとんど手ぐすねを引いて何かやらかしてくれるのを待っていました。そしてその期待は裏切られませんでした。しかも放送前に予想していた通りに。
アルゼンチンとウルグアイでのマテ茶の淹れ方を紹介した後、「先ほどの二つの国よりも気温が高いため、熱々ではなく、冷たーいマテ茶が好まれています」に続けて画面が切り替わり・・・・・
「それがこのテレレという飲み方」と女声のナレーター。アルファベット表記の最後にちゃんとアクセント記号が振ってあるのに無視しやがって!(ただし、以前見た旅番組でも同様の読まれ方をしていたので驚きはありませんでした。)
以下余談:この「テレレ」という単語はパラグアイなどで話されているグアラニ語に起源を持っていますが、この言語では原則として単語の最後の音節にアクセントが置かれます。けれども、それをスペイン語(とくに指定がなければ最後から2番目の音節を強く読む)で表記する場合には例外的な強勢位置を示すため "tereré" となる訳です。
上は私が持っているグアラニ語→スペイン語の辞書から。このようにグアラニ語では強勢位置が自明なのでアクセント記号は不要。逆に末尾以外を強く読む必要がある場合には付けます。例えば "Aha"(私は行く)に未来形の助動詞 "ta" を付けて「私は行くでしょう」にする場合は、"ha" にアクセントが残るので "Aháta" と書きます。(なお元々は文字を持たない言語ゆえ、スペイン語の表記法に無理矢理合わせている感は否めませんが。)
閑話休題。番組後半のロールプレイングで登場したパラグアイ人のゲスト(ミュージシャン)はもちろん「テレレ」と発音していました。一方、生徒役のタレントは最後の独白のシーンでやっぱり「テレレ」。なお例の講師は「マテ茶」は何度か言ったものの "tereré" を口にする機会は一度もなく、ボロを出さずに済みました。ホンマ運のええ奴っちゃ。
まあ今回の「テレレ」は過去に放送されたペルーの国名の由来とか "chela"(ビールの別称)と比べたら「微罪」レベルだと思いますが、他にも残念なところがありました。まずマテ茶は(ポルトガル語圏ではありますが)ブラジルの南部(パラグアイに近い地域)でも結構嗜まれていることに全く触れなかったのが一つ。(ちなみにこれはパラグアイ製より安いので何度か買いましたし、ここやここでも採り上げていました。)あとパラグアイでも冬は結構寒いので当然ながら熱いお湯を注いで飲みます。(氷水なんか入れてたら凍えてしまうわ。)ここでも対比を強調しようとするあまり片手落ちの説明になっていたのが気に入りませんでした。
おまけ
ここで発音が確認できますが、中南米に多い女性名 "María" も「マリア」ではなく「マリア」もしくは「マリーア」と読んで(呼んで)もらいたいです。英語の "Mary"(メアリー)とは違うんですから。
おまけ2
グアラニ語の特徴に一人称複数の代名詞が二通り存在することが挙げられます。"ñande"(ニャンデ)と"ore"(オレ)で、どちらも「私たち」ながら、前者が聞き手をも含むのに対し後者は含まない。動詞にもそれらに対応した活用形があります。例えば・・・・・
Jaháta. → 行きましょう。(聞き手も同行する。)
Rehóta. → 行ってきます。(聞き手は残る。)
これを知った後ではスペイン語に一人称複数が1種類しかないのを不便に感じました。その場の状況で "Vamos." が上のどちらなのかは大抵判るんですけど・・・・・
おまけ3
上は昨日の講義(栽培植物各論)でも触れた世界のマテ茶生産量(2020年)。いつもFAOSTAT Database Collections(国連食糧農業機関のデータベース)を利用させてもらっています。「世界三大飲料」の一つに数えられることがあっても、特定地域に限定された作物であることがよくわかりますね。データなしながらアフリカの2ヶ国(ブルンジとエチオピア)が出てきたのは驚き。また一大消費国のウルグアイが上がってこないので、これはもしかしたら、と思い・・・・・・
続いて貿易統計も当たってみました。左が輸出量、右が輸入量(ともに2020年)で先の生産量とはだいぶ様相が異なっています。ウルグアイの輸入量は予想通りでしたが、それを上回り、しかも輸出ランキングにも顔を出しているシリアは意外も意外。(途中で切れている備考欄には推計値である旨が記されていますが。)政情不安を抱えている国だけに南米からの出稼ぎ労働者が大量に押しかけている訳でもなさそうですし・・・・・ちなみに日本は輸入では42位で数量は36トンでした。