一昨年、群馬の畑からキアゲハの2-3齢幼虫を十数匹連れ帰り、飼育・観察したことがあった。畑では、アシタバの葉に、これを食べる幼虫を見つけたが、自宅では持ち帰ったアシタバから徐々に庭に生えていたミツバに切り替えて育て、ほとんどが無事羽化していった。
この玄関脇のミツバをそのままにしておいたところ、昨年はどんどん増えて、庭はかなり見苦しい状態になってきたが、ちょっとした期待もあって、そのままにしておいた。
今年もまたこれらのミツバが芽を出し大きくなってきていたが、7月初旬の朝、キアゲハの♀が飛来して、妻と私の目の前で、このミツバに産卵を始めた。これこそ、待っていた出来事であり、夕方帰宅後に数えてみると、16個ほどのキアゲハの卵が見つかった。
この16個全てがこの日の朝、産み付けられたものかどうかは定かではない。前日、私たちが気が付かないうちに産んでいたかもしれないし、この日の午後に再びやってきて産卵したかもしれない。卵は1枚のミツバの葉に1個~2個産みつけられていた。そして、卵の下部のミツバの葉は一部変色していた。
キアゲハの卵(2020.7.2 撮影映像を編集)
一昨年は幼虫を見つけて持ち帰ったので、蛹化や羽化の様子を観察・撮影できたものの、孵化の様子や、1齢幼虫の脱皮の様子を撮影することができず、やや中途半端に終わったという印象であった。今回は多くの卵を確保できたので、一連の変化を撮影してみようということになった。
やや黄色くなってきたところで、卵を1個ミツバの葉ごと室内に取り込んでビデオ撮影した。
ただしかし、この卵は残念なことに孵化までには至らなかった。孵化したのは、ぎりぎりまで外にあった卵である。室内に取り込み、照明をあて続けたことが原因したのかもしれないと思っている。次の映像では複数の卵で撮影した映像を組み合わせている。
はじめ、真珠のように美しい光沢があった卵は次第に黄色くなり、さらにまっ黒になっていった。変色してきた卵の中では動きが見られるが、この部分は300倍タイムラプスで撮影した。
キアゲハの卵の変化(2020.7.2-7.10 通常撮影と、30倍、300倍タイムラプス撮影を組み合わせて編集 )
卵の大きさは、直径約1.2mmの真球状である。
卵の大きさ
産卵を目撃してから1週間後の7月9日、庭のミツバの葉上で、卵の1つから幼虫が孵化しているのが見つかった。そこで、この1齢幼虫と共に、庭にあった全ての卵を室内に持ち込んで、様子を見ながら孵化の瞬間の撮影に備えることにした。
ミツバの茎を15-20cmほどの長さに切り、プラスチック容器の蓋に穴を開けてそこに差し込んだ状態で撮影を行った。
観察・撮影用にプラスチック容器にミツバを挿した様子(丸印内は卵)
室内でも最初の1匹の孵化の瞬間は見逃してしまい、すでに卵から這い出しているところを見つけたのであったが、2匹目と3匹目は卵の中から穴を開けるところを撮影することができた。
次の映像は2匹目のもので、前半卵から這い出すまでのところを通常の条件で撮影し、後半の卵の殻を食べるところは30倍のタイムラプスで撮影し、両者を編集してつなぎ合わせている。
キアゲハの孵化-1(2020.7.10 0:15-2:00 前半は標準、後半は30倍タイムラプス撮影)
孵化後、1齢幼虫は卵の殻を丁寧に食べてしまう。食べ終わった跡を見てもほとんど痕跡が残らないほど徹底的に食べる。
この1齢幼虫が、殻を食べ終わるとほぼ同時に、すぐ横でもう1匹の孵化が始まった。こちらは最初から30倍のタイムラプスで撮影した。
キアゲハの孵化-2(2020.7.10 2:05-5:50 30倍タイムラプス撮影後編集)
孵化した直後の1齢幼虫の頭部はまっ黒だが、胴はまだ淡い色をしている。これが、時間が経つに従い全体に黒く変化していく。胴の中ほどには白い紋があるが、境界はあまりはっきりとしない。体長は卵の大きさ(径1.2mm)との比較でわかるが、2.5-3mm程度である。体はジャバラのように伸び縮みするので、厳密なことは判らない。
2匹目、1齢幼虫の孵化後の変化(2020.7.10 撮影映像からのキャプチャー画像)
孵化後、卵の殻を食べ終わると、移動してミツバの葉の表面を齧るようにして食べ始める。次の映像は、屋外で最初に孵化した個体を撮影したもの。
孵化直後のキアゲハの1齢幼虫がミツバの葉の表面を齧っているところ
(2020.7.9、20:40-21:00 30倍タイムラプスで撮影後編集)
続く
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