
私は今まで中国に3回行ったことがあります。
と言っても3回とも北京と天津だけなんですが…。
今度行く時は西域の方まで行って、シルクロードの東の端を見てきたいな、
などと思っているのですが、さて、いつになったら行けることやら。
2度目の時(10年も前)、骨董好きで買い物上手の先輩と一緒でした。
天津でのショッピングの時のことです。
もうただの観光土産に食傷気味だった私は、
ごちゃごちゃ並んだ中には欲しいものが全く見当たらず、困っていました。
そのとき、静かに買い物をしている先輩を発見したのです。
(色白の博多人形みたいに美しい先輩は急ぐとか慌てるとかという仕草を一切見たことがない人だったんです。)
「何か掘り出し物ありませんでした?何買えばいいか分からないんです。」と言ったら、
「急須の素敵なのがあったよ。骨董のスプーンとかもあったけど、皆私が買っちゃったから、もうないよ。」
と教えてもらいました。
集合時間も迫っていたので慌ててその場所へ行ったら、
本当に可愛い手のひらサイズの急須が幾つか並んでいます。
さすが目利きの目線は違う!と感心して気に入ったものを5つ買ってきました。
この急須のことを中国では茶壷(チャフー)と言うそうです。
そのうち3つはお土産にあげました。
残った2つを普段はキッチンカウンターの上に飾り置きしていますが、
時間がたつにつれ、益々つやつやしてきて、私のお気に入りなんです。
ストレスが溜まり、リラックスしたい時、
それでウーロン茶を入れて飲むと、本当に美味しいんですよ。
茶杯と茶盤(茶杯を温める深い器)も用意して沸騰したお湯で温めて、
一煎めはもったいないけど捨てて…と言う風に
丁寧に点てると円やかな甘みが出て本当にホッとします。
一番のお気に入りは柿を模した透かしの入った方なのですが、
お茶の出はシンプルな方の勝ちですね。
美人薄命と言いますが、
先輩は昨年の夏、若くして亡くなってしまいました。
まさか、そんなに大変な病気だとは思っていなかった私達は
御見舞いに行った時、
「あんな綺麗な病人、いないよね。」などと、
今思えば申し訳ないくらいお気楽なことを言ってしまいましたが、
透き通るような白い手の美しさを今でも茶壷を見た瞬間に思い出したりします。